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ドラマ日記『海のはじまり』(第9話)

大学時代、同級生の南雲水季(古川琴音さん)と付き合い、別れた月岡夏(目黒蓮さん)。7年後、水季が亡くなり、海(泉谷星奈さん)という娘がいたことを知り、さらにその父親が自分だと聞かされて…親子の愛を通して描かれる家族の物語『海のはじまり』の第9話。

夏は、弥生(有村架純さん)と海の3人でショッピングモールに行く。「行こ!」と弥生の手を引く海。微笑みながら明るく振る舞う弥生だが、夏は弥生の表情に違和感を覚える。

夏は気遣いの人ではあるけれど、超絶鈍感なところもあり。それはキャラのブレというよりも、両面あるよねという理解。第7話で津野(池松壮亮さん)が弥生に言った「あの人(=夏)、水季、水季。煩いですよね」という言葉が、伏線のように効いていた第9話。

違和感から、まず「別れたい?」とストレートに訊いた夏でしたが、そこは胡麻化しスルーした弥生。海も含めた3人での食事の誘いを弥生に断わられ、さすがにヤバい状況を察した夏。

「馬鹿正直と馬鹿は紙一重」というか、本音を語ることは相手の為としながら、実は自分が楽になりたいだけだったりして。そんな夏の言葉は、まだ答えに辿り着いていない弥生には届かず。水季からの手紙を読むことだけは了承。

生方美久さんは、言葉(セリフ)を重ねる(繰り返す)ことを効果的に使う脚本家。有名なところでいえば、『silent』における高校時代。想(目黒さん)が彼女だった紬(川口春奈さん)に、笑顔で「うるさい。青羽の声うるさい」というシーン。

その後、別れた二人でしたが、数年後に偶然再会。必死で話しかけてくる紬に、聴力を失っていた想は涙ながらに「うるさい。お前、うるさいんだよ!」と。同じ「うるさい」が対照的に使われていて、初回の白眉でした。

お互い知ることもなく、同じ病院にかかっていて、病院内のノートに中絶した弥生が書き記した「どちらを選択しても、それはあなたの幸せのためです。あなたの幸せを願います」の言葉に後押しされ、海を産むことを決意した水季。

そして、水季が「夏くんの恋人へ」と題した手紙に書いていたのは、「どちらを選択しても、それはあなたの幸せのためです。海と夏くんの幸せと同じくらい、あなたの幸せを願っています」という同様の言葉。これに後押しされ、弥生は夏に別れを告げます。

都はるみさんのミリオンヒット曲『北の宿から』では、「女心の未練」とありありますが、男女問わず未練心はあるもので、ネットニュースで「未練グズグズ男(笑)」と書かれた夏は、そこから延長戦。無論、一度決意を固めた弥生が翻意することはなく。

その後、夏は南雲家を再び訪れ、朱音(大竹しのぶさん)に「二人で暮らしたいと思ってます、一番大切にします。他の何よりも絶対に優先します」と宣言。すぐに全てを察した朱音の「当たり前でしょ、そうじゃないと困ります」の返し方が絶妙でした。

余談:8日放送の『ボクらの時代』に、ドラマ『海のはじまり』関係者ということで、主演の目黒蓮さん、主題歌を担当したback numberの清水依与吏さん、プロデューサーの村瀬健が登場。世代が違う3人のバラバラぶりが、逆に面白かったです。

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