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女優ノート「朝倉あきさん」

気になる女優さんの出演作についての覚え書き「女優ノート」。今回は、3月30日に放送の映画『七つの会議』に出演している女優「朝倉あきさん」。

日本映画界で一人勝ち状態の東宝が100%出資する芸能事務所「東宝芸能」。3大女優オーディションの一つ「東宝シンデレラ」で知られ、これまで沢口靖子・斉藤由貴・水野真紀・長澤まさみ・上白石萌音・上白石萌歌・浜辺美波・福本莉子らを輩出(敬称略)。朝倉あきさんもその一人。

長澤さんの次の世代のスター候補として売り出され、NHK連ドラ『とめはねっ!』(2010年)に主演すると共に、朝ドラ『てっぱん』(2010年)に出演。映画『神様のカルテ』シリーズ(2011、2014年)に連投、高畑勲監督の遺作であるアニメ映画『かぐや姫の物語』(2013年)に主演しました。

“ポスト長澤まさみ”と目されていた朝倉さんですが、2014年に東宝芸能を退社。一旦芸能活動を休止し、事務のアルバイトなどをして過ごしたとか。2015年には現事務所コニイに所属し女優業再開。日曜劇場『下町ロケット』のメインキャストの一人として、さっそく存在感を発揮します。

その後も『沈まぬ太陽』(2016年)、『雲霧仁左衛門3』(2017年)、『下町ロケット2』(2018年)、『グランメゾン東京』(2019年)、『24 JAPAN』(2020年)とコンスタントに連ドラレギュラーとして活躍。

注目したいのは、BSテレ東で放送された連ドラ『歌舞伎町弁護人 凛花』(2019年)。朝倉さんが弁護士役で主演したのですが、ちょっとセクシーなシーンもあるなどB級感溢れる作品で、東宝芸能にいたらまずやらなかったであろう役で、逆にある種の覚悟を感じました。

六本木の法律事務所の花形女性弁護士として活躍する“美鈴凛花”は、父親の失踪をきっかけに手伝った仕事がもとで事務所を追われ、歌舞伎町の父親が経営する弁護士事務所で働き始める。これまで関わったことのない人々や経験したことのない依頼に戸惑いつつも、困っている依頼人を助けていく…。

最後は、クラウドファンディングも活用した小規模映画ながら、モスクワ国際映画祭で、2つの賞を受賞した『四月の永い夢』(2018年)。中川龍太郎監督が、『かぐや姫の物語』の朝倉さんの声にインスピレーションを受けて書き上げられた本作に主演しました。

3年前に恋人を亡くした27歳の滝本初海(朝倉さん)。音楽教師を辞めてからの穏やかな日常は、亡くなった彼からの手紙をきっかけに動き出し、初海は喪失感から解放されていく。

東宝芸能にそのままいれば、東宝系の大作映画に次々と出演したり、連ドラ主演するなどキャリアを重ねていたでしょうし、そうなれば下の世代の上白石姉妹や浜辺さんも影響を受けていたことでしょう。とりあえず、独立した女優を干すことをしなかった東宝芸能には感謝。

大手事務所の庇護から離れながらも、独自の地位を築きつつある朝倉さん。次回作が楽しみです。

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