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注目の音楽系YouTubeチャンネル、THE FIRST TAKEは何がすごいのか

最近、存在感が増しているなと思って個人的に注目している「THE FIRST TAKE」というYouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q/featured

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「THE HOME TAKE」は、アーティストの自宅やプライベートスタジオから、一発撮りで届けるYouTubeコンテンツ。

ということで、アーティストたちが一発撮りで伴奏に合わせて歌唱するというコンセプトで、実力派かつ様々な個性のアーティストが出演されています。
それだけでなく、企画からマーケティングから制作から、優れた戦略戦術がいくつもあるなと感じたのでいくつか示唆していこうと思います。

解説1年未満にも関わらずすごい勢い

こちらのチャンネル、「2019/11/05 に登録」ということで現在開設してまだ1年経過していませんが、2020/09/10現在で登録者約190万人再生数354,705,959 回視聴ということで音楽系YouTubeチャンネルの中でもかなりの影響力があります。

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最も再生されているLiSAさんの紅蓮華はおよそ6800万再生。文字通り桁が違いますね。

トップ層の動画以外も、大半の動画で平均数百万再生。登録者数に対して100%以上なのでかなりエンゲージの高いチャンネルであると思います。

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数字でみる影響力

画像5ユーチュラより引用:THE FIRST TAKE

数字で見ると改めてすごく、直近でも1日約1万人ずつチャンネル登録者が増えています。200万人を超えるのもあと10日以内といったところです。
100万超え以上のチャンネルの勢いを他と比べてみると

画像6ユーチュラより引用:米津玄師

530万人の登録者を抱える米津玄師さんのチャンネルでも、1日の伸びは数千なので倍以上の勢いがあります。登録者が多いと既に刈り尽くしているのでは?という観点もありますが、登録者が多いと比例して露出機会も増えるので指数関数的に伸びるため一概にネガティブ要素だけじゃないとも思います。

画像7ユーチュラより引用:Pan Piano

同じぐらいの規模のチャンネルだとPanPiano(https://www.youtube.com/channel/UCI7ktPB6toqucpkkCiolwLg)というコスプレをして日本のアニメ曲を演奏する台湾のピアニストのチャンネルがあるのですが、これもまた近ごろ結構な話題性で勢いがあり、同じく1日1万人増加です。このチャンネルはなんで伸びるのかはまぁ見たら解るって感じですが、100万以上の登録者を持ちつつ増加の勢いが衰えないチャンネルというのはかなり強みがハッキリしているんだなと思います。

何が支持されているのか

支持される理由は3つあるかなと思います。

1.一発撮りというコンセプト
「一発撮り」というコンセプトが(実際のところほんとに一発で録っているかどうかはともかく)、実際のライブに近いその瞬間しかないという緊張感と、アーティストから感じる感情やその息づいかいといった空気感が映像越しでも伝わってきます。
好きなアーティストを見るのはもちろん、初めて聞く曲やアーティストでもなんだか特別感を感じますね。

2.オンオフの瞬間が見える
ライブで見るアーティストは幕が開いた瞬間からオンだと思うのですが、THE FIRST TAKEではスタジオでレコーディングスタッフと録っているでしょうから、アーティストによっては最初は非常に自然でリラックスした状態から始まり、歌唱に向かってスイッチが入るオンオフの瞬間があったりと、普段見れない一面を見ている気分になれます。

3.新たな曲やアレンジとの出会い
前述した紅蓮華のような流行りのど真ん中みたいな曲ももちろんあるのですが、清竜人さんの痛いよなんかは10年前の曲です。YouTube上には当時のPVはありますが映像や音質が向上した現代においてリバイバルするのはファンに取っても熱いものがありますし、ここで新たに知った人も多いことでしょう。
また、一発撮りには配信音源にはないアレンジや雰囲気があります。ミスなども含め他には無い「その日バージョン」は普段よく聞く曲でもまた別の良さが見えるのもよいですね。

制作する上で何が優れているのか

もちろん、映像が洗練されているとか、演奏が上手いとか、そんなのはプロが作っているんで当たり前だとは思うのですが、それ以外にもちゃんと手がこんでいて

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例えば字幕が複数の言語で入っています。画像に出しているのはさユりさんの動画で5ヶ国語で入っており、全ての動画で同じだけ入っているわけではないですが、少なくとも日本語と英語だけの2ヶ国は入ってたり、多いと中国語なども含めて約10ヶ国語はいっていたりと、かなり世界の視聴者を意識していると分かります。

ちなみに、YouTubeの字幕ファイルはテキストとそのテキスト表示するタイムコードを所定のフォーマットで指定したファイルをアップロードすることで表示可能です。(作るはわりと手間ですが。)
一応アップせずとも自動認識での字幕は入りますし、そこからの自動翻訳もできますが、翻訳精度を考えると当然最低1ヶ国語はちゃんとした字幕ファイルを制作してアップしたほうが良いです。ちゃんとした日本語字幕を入れておけば自動翻訳でも(少なくとも英語や韓国語なんかは)ほぼ意味が破綻しない形で伝わる字幕が出ます。

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グローバルを意識している以外でもう一点、制作上のところですが、YouTubeはチャンネルの更新頻度やコンテンツ量が非常に重要です。もちろん理想は毎日、最低でも2~3日明けての週2~3本アップするような頻度で更新するに越したことはないです。頻度が上がれば上がるほど視聴者が離脱しにくくなります。
ただ、制作をすると比例して制作費、人員リソースがかかるのは当然のこと。予算が無限であればいいですがそんなこと当然なく、いかにしてクオリティを保ちつつ効率よくスマートに制作していくかがサステナブルな(継続性のある)チャンネル運営をする上では重要だと思います。

その点、チャンネルのコンセプト上一発撮りですから、満足行くテイクがでるまで収録するということもなく、段取りがしやすいだろうということが想像されます。制作上のスマートさとそれをコンセプトとして強みに変えてしまうというシステムを編み出したという点こそがこのチャンネルの強みとして今後も勢いを保ち続けるのではないかなと思います。

まとめとおわりに

コンセプトと実現方法が戦略としてうまくマッチし、さらには新たな価値を生む素晴らしいコンテンツのチャンネルだと思います。
個人的に清竜人さんの痛いよが好きで日常的によく聞いていたのですが、THE FIRST TAKEで改めてスポットライトが当たって嬉しくなった勢いで記事を書き始めたら気づけばやたらと長文になってしまいました。

日頃からWeb担当者フォーラムなどでマーケティングやエンタメに関するコラムを書いていますのでよろしくおねがいします。
Twitterでも気になった記事や情報をまとめてますのでなにとぞ。


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