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公園の木陰で本を読んだ。風がけっこう吹いていて、ずっといると身体が冷えてくる。『内なる島』では著者のネルソン氏が、自宅の窓という窓を開け放って、アラスカ沖を通過する嵐を家の中に迎え入れていた。なんというマッドネス。はしゃいで転げまわる獣のような風と、それに乗って打ちつけられる雨粒とに、歓んだのはネルソン氏だけではなく、家中すべてが輝いたという。家の木材に嵐が触れて、まだ森にいた頃を思い出させているというのだ。その土地で育ち、その土地の建物となって、その土地に根ざし続ける、長い長い木々の年月を思った。森に還ったように息づいて、美しく光る家の中を想像した。この人の感受性と、無邪気な行動力を、改めてすごいと思った。
ずっと高いところにあるケヤキの葉が色濃くなっていて、並木道からのぞく空はうすい水色だった。レンタルショップの駐車場で彩雲がきれいに見えた。そこは実は彩雲スポットなのだった。
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