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すぐ近くでカエルの声がした。見るとベランダの手すりに一匹、ちょこなんとたたずんでいた。毎年ベランダに迷い込むのがいるのだ。二階なのに、どうやって来るのだろうと思うけれど、訪れてくれてうれしいから話しかけている。以前、棉を育てていた時は、その葉っぱの上でじっとしているカエルをとっくり観察していたものだ。カメラを顔の間近に向けても身じろぎもしないので、カエルは悠然としているものなのだと知った。

棉を植えなくなってからは、プランターには乾いた土があるばかりになったのだけれど、いつのまにか運ばれてきた種があったのか、ツユクサが咲くようになった。何も手入れをしない荒れ放題のベランダだと思っていたけれど、自分の手で植えようとしてもきっとできないだろうツユクサが生えてきた時はうれしかった。ツユクサを家のベランダで愛でられる贅沢が、期せずして叶うなんて、夢のような話だと思った。ギフトは思いがけずやってくるものだ。ベランダのツユクサは、まだこれから咲いていく。


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