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病気の一枚 5

抗がん剤治療のはじまり。

昨年夏、右胸のしこりに激痛がはしり、検査の結果、乳がん、悪性腫瘍と診断されて、11月に右胸全摘とガンが転移していた右脇下のリンパ節切除手術を受けた。治療は現在進行形であるが、もうすぐ抗がん剤治療も終ろうとしている。

時は、翌月12月。いよいよ抗がん剤治療開始である。
まずはポートという5円玉ぐらいの大きさの柔らかいボタンのような器具を鎖骨に埋める手術を受ける。抗がん剤の点滴はそのポートとやらに針を刺して行うのだとか。

初めての抗がん剤。またもや緊張しながらの入院を迎えたのだが、今回は同室に私とまったく同じ抗がん剤治療を同日スタートする方がいて、それだけで気が楽になっていた。抗がん剤に関する看護師さんや薬剤師さんからのさまざまな説明も二人で一緒に聞くというだけで心強かった。

まずは手術。

今回は2回目の手術ということもあって、前回の右胸摘出手術よりいくらか気分は楽だった。軽い手術ということもあって、手術の前後の記憶もはっきりしている。

手術前は前回と同じく、徒歩で点滴を持って手術室へ。BGMはまた旦那にB'zのCDを借りた。今回はベスト盤。「B'z、好きなんだねえ~」などと主治医の先生に言われながら、麻酔で眠りについた。

麻酔から目が覚めた。自分がまだ手術室にいるのがはっきり分かる。まだBGMが鳴っているのもはっきり聞こえてきた。とっさに「いま、何曲目ですか・・・?」とたずねた。その直後、無性にのどの渇きを感じて、病室に戻るまでずっと「のどが渇いた・・・水が飲みたい」とひたすら訴えていた。

のどに違和感・・・。

手術翌朝、のどの違和感で目が覚めた。ポート埋設手術を受けた同室の方も朝から同じことを言っていた。そりゃそうだ。鎖骨にボタンが入って、そこから首や心臓の方にパスタのような細い管が入っている。下を向くと引っ張られた感じがする。

今日は抗がん剤を受ける前の日で、これから受ける抗がん剤の予習をした。私はこれからEC療法とドセタキセル療法という抗がん剤を3週間ごとに受ける。半年かかるらしい。これも詳細はネットでいろいろ説明されているので、ここでは割愛。

とにかくいま心配なのは、副作用。何が自分の身体にやってくるのか?倦怠感、吐気、嘔吐、下痢、便秘、口内炎、しびれ、味覚障害などなど。説明でいろいろ聞いたが、ガンの診断がくだった時からずっと確実に言われてるのは脱毛。乳がんの抗がん剤はとにかく抜けるよと言われた。

撮った。

翌日、第1回目の抗がん剤投与開始。朝の回診で点滴用の針を先生に刺され、看護師さんが2人やってきて、同室の人と一緒に抗がん剤治療が始まった。向かいのベッドなので、お互いカーテンを開けて、わいわいおしゃべりしながらのスタートとなった。

最初に吐気や嘔吐を抑えるための薬が投与される。それが終わるといよいよ抗がん剤、エピルビシンという赤い液体の薬の投与が始まった。赤という色が毒々しい。いや、ガンに効くんだろうけど、この赤色、毒キノコぐらい怪しく思える・・・。

次にエンドキサンという薬の投与が始まった。こちらは色は透明。透明だからといって、安心はできない。鼻の奥がツーンとする。そして、膀胱炎や排尿障害の予防のため水分を1.5リットル程度摂ってくださいと言われていたので、点滴中ずっと飲み続けていたら、トイレに行きたくなった。

出たよ!

何が出たかって、赤い尿が・・・。最初の薬が体外へ排出されたのだ。よかった~。でも、私は点滴中の間に1.5リットルの水分を飲み干したので、それでお腹がいっぱいになり、その日の夕食が2口しか食べられなかった。

投与した夜、身体が暑くなり、耳鳴りもして、だるさも徐々に出てきたななだか頭も少し重い。そして、いつも眼鏡をかけているのだが、その眼鏡がきつく感じた。もう、早く寝よう。

翌日から、吐気と味覚障害の闘いも始まった。がんばってご飯を食べようと思っても、炊き立てのご飯は胸がむかむかする。加えて味噌汁は味がない。まるで例のウイルスに感染したかのような症状ではあるが、この時はまだそんなことは知るよしもない。

そんな副作用を抱えながら、数日後、退院した。これが今から半年続くのかと思うとぞっとする。同室の方と「がんばりましょうね!」と励ましあってきたが、果たしてがんばれるのだろうか??

ここから怒涛の副作用が始まるのであった。

追伸:病気の一枚は連載モノです。よかったら4もご覧ください。


記事を書くための栄養源にします(^^;)