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病気の一枚 1

2人に1人・・・ですよね?

昨年、私の人生において、見過ごせない出来事が起こった。まだ治療は現在進行形であるが、ぼちぼち少しずつ話そうかなと思う。どこまで話すかはその時の気分によると思うが・・・。

時は2019年夏にさかのぼる。9月のことだった。朝起きたら胸に激痛がはしった。実は少し前から、右の乳房に石ころのような、つるんとしたしこりに気づいており、やばいな~、病院行かなきゃな~と思いながら、仕事が忙しくて受診を先延ばしにしていた。

でもそんなことより、今はとにかく胸が痛い。起き上がるのがきつい。しんどい。いや、胸というより、正確にはそのしこり部分がとにかく痛い。突き刺さるように痛い。何はともあれ、旦那にかかりつけ医へ連れて行ってもらった。

すみません・・・ベッド貸してください。

かかりつけ医に到着して、座って順番を待っていたが、どうにも痛い。通りすがりの看護師さんにお願いした一言がそれだった。そして言い終わらないうちにベッドに倒れこんでいた。

やがて、先生が診察に来てくれたが、ここじゃ手に負えないというのは一目瞭然だったので、乳腺外科に紹介状を書いてくれることになった。とにかくすぐ診てもらいなさいと。

紹介状を急ぎで書いてもらい、乳腺外科へ。着いたのは大きな総合病院。とりあえず受付を済ませ、座っていられなかったので、そこでもベッドに寝かせてもらった。数時間寝て待った後、先生が来てくれた。

痛い?あー、痛いねー。

触診の結果、とにかく検査を受けようという話になった。胸が痛いのは明確なのでマンモグラフィーは省略して、針生検なら今日空きがあるからできると言われ、もうなんでもいいからどうにでもしてー!などと捨て身のセリフを吐きながら、ベッドの上で唸っていた。

検査まで時間があったので、まずは朝から何も食べていなかったので、売店でおにぎりを買ってきてもらい、それを食べてまた寝た。そして、検査の時間になり、検査室へ。

針生検・・・いま思い出しても、もう二度としたくない。患部に部分麻酔をかけて、5ミリ程度の穴を開け、針を入れて患部の組織を取るという、注射針嫌いの私にとっては拷問のような検査だった。しかも患部のしこりが痛いので、響くかもね・・・と気の毒がられ、案の定検査が終わった後、まともに立てず、車椅子で運ばれてしまった。

え・・・先生、今なんとおっしゃいました?

悪夢のような針生検から2週間後。検査の結果が出たので再び病院へ。検査結果が出るまでの間、あれだけ痛みがあったのに軽く考えていた。いやそうでないと身が持たなかった。まさかガンとかじゃないよね。出産経験がないから乳腺炎とかじゃなかろうかと。

診察室に入って、先生と再会した。再会するなり、先生が早口で話を切り出した。「この前は検査お疲れ様でした。で、検査の結果なんだけど、乳がん、悪性腫瘍ね。で、これからのことなんだけど」いや、先生待って!え・・・先生、今なんとおっしゃいました?「乳がん。悪性の腫瘍ね。で、とにかく治療の作戦を立てたいから、いくつか検査をするんで・・・」

先生はそう言いながら、目の前の紙に説明したことをさらさら書いていく。っていうか、今どきのガンの告知ってこんなにあっさりなの?告知って、もっと神妙に「今日はご家族の方は来てますか?」とか言って家族と一緒に聞くんじゃないの?え?それは昭和の話??

えーっと、追加の検査があるらしい。

検査の結果しだいでは、家族を呼ぶ事態になるかもと思って念のため旦那についてきてもらっていた。診察室を出た後、待合室で待っている旦那にどう言ったものかと考えていたが、考えても話は始まらない。

結局、待っていた旦那にストレートに告げた。乳がんだって。悪性腫瘍だって。で、検査をいろいろ受けなきゃいけないんだけど、今日はとりあえず血液検査と心電図とレントゲン受けてきてって。

旦那はきょとんとしていた。事態がうまく飲み込めないでいた。そりゃそうだ。私自身だって、飲み込めないまま検査へ向かっているのである。とにかく今は検査するしかない。言われた検査を淡々とこなし、病院を後にした。そして、何はともあれ、どこかで一度落ち着こうということで、たまに行っているお食事処へ向かった。

撮った。

抜け殻となっていた私たちに、入店と同時に女将さんから「今日はイカが入ってますよ」と言われて、昼間からイカの活き作りを注文した。今よく考えると、とりあえず大好物のイカでも食べて元気を出そうって、自然とそう考えての注文だったんだろうなと。

イカが来るまでの間、病院で受けた話をあらためて振り返っていた。これからまだ検査がいくつかある。その検査結果を踏まえて治療方針が決まる。手術、抗がん剤、放射線、ホルモン剤・・・うん、まずは検査だね。

旦那はガンになるなら自分だとずっと思い込んでいた。旦那はガンの家系だと聞いていたので、私もそうだと思っていた。ところが、ノーマークだった私がガンになってしまった。2人に1人はガンになるという話を思い出した。人生何があるか分からないとはこのこと。とにかく、なってしまったものは仕方がないので、治療するしかない。

長い闘いの始まりだ。

記事を書くための栄養源にします(^^;)