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病気の一枚 2

まずは連絡から。

昨年夏、右胸のしこりに激痛がはしり、針生検の結果、乳がんだというのが判明した。判明したのは10月初めの頃だった。

乳がんだという事実をよく受け入れられないまま、結果が判明した日に会社へ行き、同じ部署の同僚に結果を告げた。というか、上司をはじめ、これから治療で休むにあたって、迷惑をかけるであろう人たちに連絡しなければ。そんな思いで、先生からもらった告知の紙を持って各方面へ連絡した。

なんだろう。乳がんだから、女性陣に話すと、みんな決まって胸に手を当てる。そうだよね、他人事ではないもの。そしてやっぱり健診はちゃんと受けないといけないよね、という話になる。実際、同僚の一人は私の話を聞いてすぐ健診を受けた。結果は異常なし。

男性陣は、旦那と同じようにきょとんとした顔で言葉少なだった。それも分かる。でもね、男性の乳がんもあるんだよ。そうよ、いつ誰がなってもおかしくない病気だからね。とにかくいま分かっているだけの今後のスケジュールを話して、まずは検査に専念させてもらうことになった。

毎週、検査。

そう、告知された日から2週間後から、毎週検査が始まった。
まずはMRI検査。造影剤込み。確か血管とかを診る検査だったっけ?そのぐらいの医療知識レベルで検査に臨んだ。

看護師さんに呼ばれた。着替えてくださいと言われた。まあ着替えて台に乗るぐらいでいいのだろうと思って着替えた。そうしたら、そこの椅子に座ってくださいと言われた。ん?と思っていたら・・・やられた。造影剤を入れるための細い管を手首付近に入れられた・・・。ただでさえ注射嫌いの私、それを入れられるのも大騒ぎだったのは言うまでもない。

次の週はCT検査と骨シンチグラフィー検査。CT検査は確か輪切り撮影だっけ?骨シンチグラフィーは、骨の状況を診る検査らしい。骨にガンが転移していないか調べる検査らしい。そしてこの週の検査も造影剤込みだった・・・2週続けて準備段階で大騒ぎしてしまった・・・。

結果発表。

検査が終わって翌週、検査結果を聞きに病院へ。いよいよガンの全貌が明らかになる。今度は前もってご家族もご一緒にと言われていたので、旦那についてきてもらった。

検査の結果、しこりは2.7センチで右乳房の乳首下の皮膚にくっついている。右脇下のリンパ節に転移あり。他臓器や骨には転移なし。乳がんといってもいろんなタイプがあるらしく、私はルミナールタイプでHER2は陰性だった。詳しくはネットで語られているので、ここでは割愛。

とにかく、しこりのある位置から右乳房は全摘。あとリンパ節の転移があるので、腋窩リンパ節郭清、要は右のリンパ節を取り除きますよ、という手術をしますと言われた。

で、どっちにする?

ん?何が??先生に急に選択肢を与えられて、はてなマークで頭が埋まりそうになりながら、その選択肢とやらを聞いた。
 ①手術→抗がん剤治療→放射線治療→ホルモン剤
 ②抗がん剤治療→手術→放射線治療→ホルモン剤
手術が先か、抗がん剤が先か。おお~、そんな選択肢が・・・っていうか、手術が先でしょ。だってしこりが痛い!もう早くこのしこりを取ってほしい!

その一言で手術が決まった。よく考えたら人生で初めての手術。もちろん入院も初めて。こんな事はやっぱり突然やってくるんだなあ・・・。人生って分からないなあ・・・。って感慨にふけっている場合ではない。

そうと決まったら、入院の準備だ。2週間ぐらいって言ってたけど、何をどれぐらい持っていけばいいのかな?病院でもらった入院のご案内パンフレットを見るが、乳がんということもやっと受け入れ始めようかしているのに、入院とか想像もつかない。

そんな中、先生のある一言をふと思い出した。「入院前に何か美味しいものでも食べておいで」そうだ!こういう時は美味しいものを食べよう!ぱーっと行こう!

撮った!

せっかくだからと、私のリクエストに応えてもらった。美味しいお肉。それをステーキで。九州にはたくさんの美味しいお肉がある。さんざん悩んだ結果、佐賀の伊万里牛を食べることにした。そして牧場直営のお店に連れてきてもらったのだった。

うん!お肉が柔らかい!美味しい!うまい!しあわせだ~!これで、手術を乗り越えられそうな気がする。いや、乗り越えなくちゃ。ん?待てよ?これって、にんじんを目の前にぶら下げられた馬になってないかい?・・・ま、いっか。

それから、入院ギリギリまで仕事をして、準備も結局ギリギリになり、ドタバタと入院生活へ突入することになった。その頃には「あー、私、乳がんなんだー」とガンを受け入れつつあった。

手術がんばるぞー。

追伸:病気の一枚は連載モノです。よかったら1もご覧ください。


記事を書くための栄養源にします(^^;)