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本の一枚 『小雑誌ウミネコ』九州上陸篇

いつも何かが起っている本屋さん。

そう、この日やっと開店した『本屋アルゼンチン』に顔を出したら、いきなり入り口で草むらに顔を突っ込む親子1組を発見。な、なにごとですか!?
「あっ、こんにちは!今ちょっと、カナヘビを探してて!あ、どうぞどうぞ!」
急に本屋さんらしからぬワードが登場した。え~、カナヘビとは、なんじゃらほい??まあ、いっか。

いや、よくないし!ちょっと待たんかい、ごるぁ!

・・・・・・あ、やっぱり?(笑)
いきなり本屋の話が始まるし、っていうか、ヘッダーの一枚に見慣れた小雑誌が2冊、棚に陳列されてるんですけど、いったいどういうこと!?
というツッコミが冒頭からたくさんちゃんと聞こえてきました、はい。

結論から申し上げますと、ぼんやりRADIOさんが編集長を務めていらっしゃる『小雑誌ウミネコ』がこのたび九州の本屋に上陸したのであります!!!
パチパチパチパチパチ!!!!!
とっても長くなりますが、これからその経緯をお話しますので、頭を一度空っぽにして、できれば地図も用意して、聞いてほしいのであります(^^)
あ、本屋さん情報だけでよかばい!早よ!という方は、途中スクロールして最後部分へどうぞ(^^)

発見!『本屋アルゼンチン』!

桜がわらわら咲き始めて、はらはら散っていた頃。
私は学生時代の友人と、数十年ぶりの温泉旅行へ行っていた。佐賀県は佐賀市からだいぶ山に入ったところにある古湯温泉という温泉街に『泊まれる図書館 暁』という宿があり、友人とずっと泊まりたいねと狙っていた宿なのだ。ま、ここに泊まった時の話はまたいずれ。

さあ、その宿をチェックアウトして、地元の図書館をめぐり、そこから山を越えて福岡県に入り、糸島にある白糸の滝にあるツリーハウスでランチができるというお店でランチを済ませて、車を糸島半島へ向けて走らせていたところからスタート。

山を越えて、かなり平野部に降りてきた私と友人。
「どーする?どこ行く?」
「どうしよっか?」
というセリフを繰り返しながら、私は糸島半島もいいけど、できるなら行ったことないところに行ってみたいなぁと思いながらハンドルを握り、友人は何かあるかな?と助手席で外の景色とスマホ地図を交互に見ている。

しばらく幹線道路を走っていたが、まっすぐ走ることに飽きた私は交差点をひょいと左に曲がった。それは佐賀県の県境がすぐそこにある「二丈にじょう」という地域に向かう道だ。
「二丈ねぇ・・・二丈は何があるかなぁ」
そうつぶやきながら、スマホ地図を見る。しばらく見ていたら、こんなセリフが聞こえてきた。
「二丈に本屋があるよ」
「え?二丈に本屋?そんなんあったっけ?」
「さあ・・・でも本屋って書いてあるよ」
「うーん・・・とりあえず行ってみる?」
「そーだねー」
友人のナビをまかせて、車を二丈の本屋に向けて走らせることになった。

車は平野部をどんどん走り、海へ向かって走っていく。
佐賀県唐津市へ行く有料道路やJR筑肥線ちくひせんも横切り、やがて海が目の前に現われた。
「海だー!」
いや、違う。今の目的は海じゃない。地図で見つけた謎の本屋さんだ。
海に出ると、今度は海沿いの道を唐津方面に向かって走る。走る。走る。
「・・・ていうか、どの辺?」
「えっとね・・・『大入』っていう駅の近くみたいやけど」
「だいにゅう?」
頭の中を疑問符で埋め尽くしながら、とにかく車を走らせる。

十数分ほど走った頃、友人が前方を指をさして、
「そこ!その『大入消防署前』を左ってナビが言っとるよ」
「えっと、大入消防前・・・ここを入っていくと!?」
「そうらしいよ」
ナビに言われるがまま『大入消防署前』を左に曲がり、すぐJR筑肥線の線路を渡り、車が1台ちょっとぐらい通れそうな道をそろそろと進んでいった。本屋はどこだ?さらに道を進むと、民家の奥にちらりと看板らしきものが見えた。しかも青に塗られたガレージやイベントができそうなスペースも見える。
「・・・ここかな?」
「・・・ここじゃね?」
こうして『本屋アルゼンチン』に到着したものの、頭の中はいまだハテナだらけだった。

ようこそ!『本屋アルゼンチン』へ!

青に塗られたガレージにやっとこさ車を停めたら、一軒家のような建物から笑顔満載の人が近づいてきた。
「こんにちは!」
「こ、こんにちは。あのー、本屋に来たんですけど、ここですか?」
「あ!本屋ですね!どうぞどうぞ!」
よーく見ると、何やらイベントができそうなスぺースの端っこにコンテナ1台分ぐらいの大きさの建物を発見。そして、その前には椅子がたくさん並べられている。なるほど、青空の下で本を読むスタイルね。
「あ、すみません、今日開いてるんですけどね、いま掃除してて、模様替えやってまして」
「え!?」
「大丈夫ですよ、どうぞどうぞ!お客さんですー!」
言われるがまま、建物に近づく。え?ほんとに大丈夫!?

建物に入ると、もう一人、人がいた。白髪のダンディな、少なくとも私たちよりも人生の先輩とお見受けするのだが・・・。
「いらっしゃいませ」
こちらの方もニコニコしながら、私たちを出迎えてくださった。
いろんなとまどいを隠せない私たちに、そのダンディな先輩が話を始められた。
「今日天気がいいから、椅子を天日干ししてるんですよ」
うん、確かに。まあちょっと曇ってきてる気もしますが・・・。

その白髪のダンディな方は「店員」だと名乗った。ということは、最初に私たちに話しかけてきた方が「店主」か。うん、そこまでは理解した。問題はここからである。うまくお伝えすることができるかしら???

『本屋アルゼンチン』とは?

開店してまだ2年目。場所は福岡と佐賀のほぼ県境にあって、実は福岡空港から電車一本で行ける小さな(コンテナ1個分ぐらい)本屋さん。
開店日および開店時間は不定期だけど、週末土日の午後だけという、変わった本屋さん。でも、実は全国から、たまに外国からお客さんが来るという不思議な本屋さん。

店主さんは世界中を旅してきた、本屋の建物を大工さんに弟子入りして、一から建てたという、とてもエネルギッシュな店主さん。
店員さんは元先生という、とてもおだやかな、でもお客さんとの会話を大事にされて、その会話から本をススメていらっしゃるダンディな店員さん。

そんなお二人が経営している海に近い『本屋アルゼンチン』は、絵本から人文学系の専門書まで、幅広い選書をしている本屋さん。その中には『小雑誌ウミネコ』と似たような本をちらりと見まして・・・。

『本屋アルゼンチン』と『小雑誌ウミネコ』の出会い!

本屋の建物を建てた笑いあり、しんどさありの店主さんの話と、そこに集っている多くの本からまだまだ勉強中ですよと語る店員さんの話を聞きながら、私の頭の中に、ふと『小雑誌ウミネコ』がよぎった。

なんだかとてもご縁を感じる。こうして今日『本屋アルゼンチン』さんにやってきたのは、実は『小雑誌ウミネコ』の九州の上陸地点を探すためだったのではなかろうかと。

そこで、話がひと段落したところで、ダメもとで、ウミネコを置いていただけないか、話してみた。すると店主さんが、「うち、こんな変わった本屋で売れるかどうか分からないけど、それでもよかったら、置いてもいいですよ」と。え!本当にいいんですか?マジでいいんですか?ならば、近いうちに持ってきます!と息巻く私。でも、息巻いた相手はダンディな店員さんで、「店主はあちらなので」とにこやかにおっしゃる。でも、二人ともウエルカムモードである。

それから、またしばらく本や本屋さんの話をして、本も数冊購入して、『本屋アルゼンチン』をあとにした私と友人は、ファーストフードで夕食を食べて解散した。

『本屋アルゼンチン』さんに『小雑誌ウミネコ』を置いてみませんか?

温泉旅行というより、本を巡る旅から帰ってきた私はさっそく、ぼんらじさんにメールを送った。そのメールの長さときたら、noteで1記事書けるよねっていうぐらい長く暑苦しいメールだった。ウミネコ文庫の制作や5月の東京文フリに向けてめっちゃ忙しいぼんらじ編集長にとっては、そのメールを読む時間すら惜しいはずだったと思うが、ぼんらじさんから光の速さで返信がきた。
「とても嬉しいお話、ご縁をつなげて頂けて嬉しいです!!」

つながった!やった!
『本屋アルゼンチン』は、街なかの本屋というわけではないが、海にふらりとやってきたお客さんがウミネコと出会い、それが縁でまた世界が広がっていくのではないかなという気がしてならなかった。
店主さんと編集長の「ぜひ!」という言葉をいただいて、ウキウキワクワクしながらも、めちゃくちゃ大きな緊張を背負って、数日後ぼんらじ編集長から送られてきた『小雑誌ウミネコ』をバッグに入れて、二度目は公共の交通機関を使って『本屋アルゼンチン』へと向かった。

そして、やっと冒頭のカナヘビ(トカゲみたいなヤツ)狩りの話につながるわけである。
店主の息子さんが狩りの目標を「15匹!」と掲げて狩りに夢中になっている間に店主さんとやり取りをして、無事にウミネコ納品。ウミネコさん、よかったね。やっとあなたの九州の居場所ができたよ。嬉しいね!嬉しかよ!

無事に納品が終わったあと、鳥の声を聴きながら、たまにカナヘビを入れたバケツの音を聴きながら、『本屋アルゼンチン』で読書を堪能したのであった。まさに至福のひとときであった。

さあ『本屋アルゼンチン』へ行ってみよう!と思っている方へ

九州以外からお越しになる方は、福岡空港や博多駅から地下鉄に乗ってください。
地下鉄の行先表示に「唐津からつ」、「西唐津にしからつ」、「姪浜めいのはま」、「筑前前原ちくぜんまえばる」と表示されている地下鉄に乗ってください。
唐津もしくは西唐津行きの列車であれば乗り換えなしで「大入だいにゅう」駅に到着します。それ以外は、ほぼ筑前前原駅で乗り換えがあります。
ちなみに、地下鉄は姪浜駅から地上に出て、福岡市営地下鉄→JR筑肥線に切り替わりますが、そのまま乗って車窓をお楽しみください。進行方向に向かって左側のロングシートに乗ると、大入駅手前から海が見えてきますよ。

開店日時は、土日の12時半~16時です。ただし、事情により、急な変更も大いにあるようです。店主さんより、来る前には必ずインスタグラムをチェックしてください、とのことです。

『本屋アルゼンチン』インスタグラム
(私のスマホの設定で背景が黒くなってますが)

上の画像をクリックしていただくと『本屋アルゼンチン』のインスタグラムが開くはずです。開かない場合は、お手数ですが『本屋アルゼンチン』で検索をお願いします。

もしお店までたどり着いても開いてる気配がなければ、インスタチェックしてください。万が一、急に変更になって開店しないことが分かっても、そんなにがっかりせず、近くにはカフェや食事処もありますし、線路を渡って道路を渡って、海へ行くこともできますので、帰りの電車まで周辺散策をお楽しみください!こちらもオススメです!

また、ホームページはこちらになっております。


海と山に囲まれた、いまだに謎部分が多いけど、とっても素敵な『本屋アルゼンチン』。あ、なぜこの店名なのか、店員さんにお聞きしましたところ、
「うーん・・・語感ですかね」
と語っていらっしゃいました。いただいた本屋アルゼンチンの小冊子にも「諸説あり」と書かれていたし・・・そういう部分で、まだ謎が多いと思っておりますが・・・。

福岡の街から電車で1時間ほどかかりますが、
ぜひ『本屋アルゼンチン』の旅をお楽しみください!!!
さあ、『本屋アルゼンチン』へ遊びに行こう!!!


追記
せっかくなので、数枚ほどご紹介します!

『本屋アルゼンチン』全景。右の白っぽい建物が『本屋アルゼンチン』です。
模様替え前の店内です。


模様替え後の店内です。
どちらも素敵!!!


『本屋アルゼンチン』の看板とウミネコキャップのツーショット!


これも『本屋アルゼンチン』の大事な看板。


唐津行きの電車。これに乗ると最寄り駅に着きます!


ウミネコさんオフショット!


肝心のもう一人の主役を忘れておりました(^^;)
『小雑誌ウミネコ』編集長のぼんやりRADIOさんです!!!↓↓↓


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