頼むから「オールドファッションカップケーキ」を見てくれないか-日本BLドラマ「OFCC」-5話個人的感想
実に2年ぶりにこのタイトルを書きました。もっとみんなに見て欲しい!と自分から動きたくなるドラマは、過去を振り返っても数多くありませんが、「オールドファッションカップケーキ」はぜひ多くの層に広がって、次につながって欲しいと思ったドラマでした。
1話から最終話まで、原作ファンをもうならせる、隙のないドラマだったと思います。
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野末の葛藤と一歩踏み出す勇気
外川の溢れ出した想いを前に、複雑な表情を浮かべながらも手を伸ばすことができない野末さん。外川が完全にシャッターを下ろしてしまったのもあるけど、野末さんの方もまだまだ複雑な思いを抱えてそう。
どう接すればいいのか、外川の言う通りの普通の上司と部下に…と考えて、ランチに誘ってみたりします。それも断られて「普通の上司と部下は、昼を共有したりしない」と悟ってしまう。
今までの楽しかった時間も、すべては外川の「特別」の上に成り立っていたというのが分かってしまうのが切ない。外川が「普通」の関係でいることを望むということは、今まで見せてくれていた笑顔も全部失ってしまうことになるから…。
最終話は、野末さんが自分の気持ちと向き合うターンでした。きっと外川が想いを溢れさせることがなければ、このまま居心地の良い関係で居続けられたでしょう。でもあんな悲痛な想いを聞いてしまうと、色んなことから逃げていた野末さんが、一番苦手であろう自分の気持ちと向き合わなければならない。
ここでも逃げる理由を一生懸命探しているのに…。
傘を2本持ち歩き、それを渡すために走ってくる。すごく気まずそうなのに、この期に及んでも自分のことを気に掛ける外川に、昔から自分のために用意してくれていた”2本の傘”を思い出し、今度は野末の気持ちが決壊します。
そしてRUN!
ここの野末さんのモノローグも最高で…!
なんだこの感情!これを愛と呼ばずしてなんと呼ぶ!
「俺のせいで泣いて欲しい」ってすごくないですか?「泣かせたくない」じゃなくて「泣いて欲しい」んですよ?外川の感情の揺れは、全部自分が原因であって欲しいって…すごい独占欲。
今までの4話で積もる外川の野末さんへの想いを見せつけられ、最後の1話でそれをすべて受けての野末さんのアンサー。いや~、良かったです!
走って外川のもとに向かっているのも、真っすぐ走るだけでなくて、時々人とぶつかったりつまずいたりしているのが必死さが伝わってよりクルものがありました!
受け入れられない外川
野末さんを好きになったときから「絶対受け入れられることはない」と思いながらも一方的に焦がれ続けて。近づき過ぎたせいで、言わないでいようと思っていた自分の気持ちをあふれさせて。
普通の部下でいようとしているけど、外川もすごく居心地が悪そうな感じでいるのがいたたまれない。だって、あんなに真っすぐ野末さんの目を見て言葉を発していた外川が、一切野末さんの目を見て話さないんだよ!?野末さんはしっかり目を見ているのに、目をそらし続けている…。
野末さんから「好きだよ」という言葉をもらっても、「同情です」とまた一切顔を見ようとしない。
「(男性を口説くことが)自分には常識」と言っていたから、きっと外川はゲイで、今までつらい思いをたくさんしてきたからこそ、野末さんの言葉をなかなか受け入れられないんだろうな、と感じました。
そんな外川から逃げずに、一生懸命自分の方を向かせて気持ちを伝えた野末さんがすごく良かった!昇進も拒んで、変化を恐れて、逃げてばかりいた自分を変えてくれた外川に、最後まで諦めないでぶつかってくれて本当に嬉しかった。
このドラマは、外川の片思いが成就するまでの話がメインストーリーだけど、もう一つの大きなストーリーは、野末さんが今まで投げたことで外川が変わってきたその言葉を受けて、野末が変わる物語でもあった気がします。外川を動かした言葉が巡って自分に返ってきて、その言葉でまた自分も変わる…。情けは人の為ならずではないけど、野末さんが大きな影響を与えた人が自分の人生を変えてくれるって、なんて素敵なんだろう!
人生のすべてになる
野末さんの「良くも悪くも君の人生の一部になる自信がある」のアンサーが、「俺の人生の一部じゃなくて、すべてになってください」。もうこれは実質プロポーズ!
野末さんの言葉は、やっぱりどこか保証のない未来を信じられなくて。「良くも悪くも一部になる」ってことは、将来的にどっちに転ぶかわからないっていう怖さも秘めた言葉ですよね。
それを受けての「すべて」って、もう逃がさないぞ!っていう外川の強い意志を感じます。
「年の差とかマイノリティとかはなんてことない」って伝えたのだって、野末さんのその怖さを見越して言ったのであって、外川自体はきっと痛いほど”なんてことないなんてことはない”ことも実感してきていそう。「周りの目がなんてことない」というよりは、「野末さんと一緒にいる以外のことは、どんなつらさもなんてことない」ってことなんだろうな。そんな強い気持ちを感じました。
(ここの言葉が続編に響いてくるんだよな…絶対続きやってくださいね?)
路地裏のシルエットも良かったです!あの色味とシルエットを効果的に使っていたと感じたのが、野末さんが手を伸ばしたところ。あそこはしびれた…。かんとくううううう!ってなったことをここにお知らせします。。。
日々の積み重ねが特別じゃない幸福感につながる
最後のシーンはドラマオリジナルでしたが、多幸感あふれる素敵なシーンでした!光の入り方が美しくて、原作漫画の表紙でもありドラマのタイトルバックでもあるパンケーキを食べさせるカットにつながる…。満点の終わり方じゃないでしょうか。
外川が野末さんから教えてもらったことが、ここに活かされているのもいい。
「何でもない笑顔」
「特別じゃない幸福感」
「寝るだけじゃない週末」
2人で笑い合いながらいつもみたいに一緒にランチをする。そして明日の約束をする。お互いがいればどこでなにをしようが幸せ…。
あー!!!とってもいい!!!
日々生活に追われて忘れがちなパートナーへの感謝とか、健康に生きて楽しく家族で食卓を囲める幸せとか、子どもへの愛情とか…そんな「特別じゃない幸福感」へのありがたさを思い出させてくれました。
色々突っ込み集
①「はいはい」問題
野末さんの「はいはい」は通常運転なんだけど、だからこそ外川とギクシャクしてたときの「はいはい」が痛々しかった…。普通の上司に戻ろうと努力しているのがここで分かって切ない。
②パフェを食べる問題
桐島部長はお酒飲んでるのに、パフェ食べちゃう野末さんを見てると胸が…。しっかり外川の影響で変わってるじゃん!
③「なんだ、中村くんか」問題
外川が隣に来るの期待してるー!そして中村君の役回りよ(笑)。中村くんは一番原作からそのまま飛び出して来た感のある役者さんでしたね!2人の物語にちょっとした癒しを提供してくれました。
④外川はおかん問題
微妙な空気になっているのに、野末さんのことを気にかけて飲み過ぎてないかまでチェック。間接キスすらさせないぞ!という独占欲も見せつつ、ひょいと持って帰る姿がおかんなんだかなんなんだか…。
⑤階段つまずき問題
酔っぱらっててあそこで足踏み外したら、あんなナイスキャッチできないし、足グキっといくか転げ落ちてます。外川の反射神経に感謝!
⑥気持ちに気づくと走りがち問題
片思いされてた方が相手への気持ちに気づくと、だいたい走って相手の元に駆け付けるんだよな…。とっても素敵でドラマティックだったけど!
しかも運動不足の人の走り方じゃなかった。中の人出てた。超速かった。
⑦傘はどこへ問題
せっかく外川が貸してくれた傘、落としましたよね?ちゃんと回収しました??
⑧昼休みに会ってパンケーキ問題
社屋変わっても毎日ランチ一緒にするとか、どんだけ仲良し!?って噂になりそう。
原作に色がつき、生き生きと動き出した
これぞ実写化の鑑!というほど、満足感が高かったです。実際に野末さんと外川がいたらきっとこんな感じで動くんだろうな、こんな風にしゃべるんだろうな、というのが感じられました。
原作自体も淡々としていて、特別派手なことは起こらない、ただ誰かの日常を、誰かを想っている日々を描いているだけ。そんな雰囲気をそのままドラマに持ち込んでいました。変な当て馬とか、よく分からない事件とか追加されなくて本当に良かった…。配信で良かったドラマだと思います。
野末役の武田さんと外川役の木村さんも、原作を大切に演じてくださったのが見てる方にも伝わってきて嬉しかったです!
武田さんは野末の性格的にボールを受け続ける演技だったと思いますが、静かに攻め続けた外川木村さんのおかげで、最後の告白のシーンが力強いものになっていたと思います。終始可愛くて、外川が惚れるのもうなずける素敵な上司がそこにいました。「四十路なのに場所を選ばずキスしちゃいそう」なんて…言い方100億点満点です!!!ありがとうございます!!!!
野末の代名詞でもある「はいはい」も、2人が想いを通わせた後は500倍可愛く感じました!(倍率は当社比w)
そして木村さん!4話の告白を見てから1話から見返すと、小さなお芝居をいっぱい散りばめてて、最初気づかなかった!普通の部下だと思っていたのに!と驚きました。野末さんの言葉に小さく一喜一憂してるんですよね。
告白のときの大粒の涙も、最後の嬉しさを隠しきれない「クソっ!!!」も大優勝です!100万回見ても絶対飽きないわ…と無限リピしております。
あんなに嬉しそうな「ここから動かないでくださいね」「帰らないでくださいね」あります?外川と一緒に「良かったねぇぇぇ!涙」と泣き笑いしてしまいました。
2人の演じてくれた野末と外川があるからこそ、原作を読み返したときに漫画の2人が息をして、そこにいるようなそんな感覚にさせてくれました。
俳優さん2人だけでなく、監督さんやほかのスタッフさんの愛がなければこんないい作品にならなかっただろうな…。野末さんのおうちなんて、漫画から飛び出してきたみたいだもの。あそこでwithカプチーノのやり取り見たい…。
まとめ:これでいいのだ
短いのは悲しいけど、多分テレビ尺に伸ばしたらこんなに満足度高くなったかな?という疑問があるので、これでいいのだ、と私は思っています。番外編もやって欲しいけど…なかなかセリフが攻めているので(笑)難しいだろうな…。
楽天VIKIやLINE TV、WATCHAなどで海外への配信が決まっています。タイではまだ配信されてない?WeTVあたりに行ってくれると、タイ、フィリピン、ベトナムでいっぱいファンつかめそう。
日本はFODか楽天TVでしか見られないのがもったいない…。なる早で地上波放送お願いします。素敵なドラマですから、きっともっと多くのファンを巻き込めると確信しております!
しつこいけど、本当に続編して欲しいんですよ!いっぱい武田野末さん、木村外川くんに言ってもらいたいセリフがある!もちろん桐島部長にも!ぜひぜひ、偉い人よろしくお願いいたします。(もっとブログ書きたいよー!)
最後に、このドラマを作ってくださった監督、制作陣の皆さま、俳優の皆さま、そしてなにより、野末と外川を生きてくれた武田航平さんと木村達成さんに、最大級の感謝を込めて!素敵な物語をありがとうございました!!!!
↓ FODさんのメイキングがとても良かったので、ドラマ視聴済みの方はぜひ。
※トップ画像は「オールドファッションカップケーキ」公式Twitterより引用させていただきました。
おまけ:亜胡、ハマった結果がこちらです↓
武田航平さんのFCとっても素敵ですよ! → コチラ
木村達成さんの舞台観に行っちゃうよ! → コチラ
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