「春、バーニーズで」吉田修一著 を読んで。
「最後の息子」の未来の話と聞いて、さっそく読んでみた。
正直、読まなければよかったと思った。
未来の「僕」は、どうしようもなく悲しかった。
ままならない日々を、きっとみんな矛盾を抱えながら、何となくバランスをとって生きていて、一見グラグラでも崩れずいける人もいれば、しっかりと立っていたのにある日突然それが砂になってサラサラと流れてしまう人もいる。
作中に村上春樹の「羊をめぐる冒険」出てくる。私にはそれが示唆をしているように思えてならない。
失っていくだけの僕を。
どうしようもない僕を。
読み終えてしばらくどうにも悲しくて、元気を取り戻すために「イカちゃんクマちゃん」を全部読み返す必要があった。
ところがAmazonのレビューを覗いてみたら、なんとびっくり。私とはまったく反対の感想を抱いている方がいっぱいいたのだ。
「爽やかな読了感!」
私が絶望の淵と感じた箇所を、希望の架け橋と捉えた方までいた。
読み手の状況や心情によって、与える印象が随分変わるのかもしれない。
私もいつか、また読んでみよう。
(まだ少し悲しくて、タイトルは思いつかなかった。)
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