青春の現実/「エイトグレード」ボー・バーナム監督作を観て
自分が好きで、自分が嫌いで。
変わりたくて、変われなくて。
映像や音楽の効果はとてもポップで映画らしい印象なのとは対照的に、ストーリーの展開はいたってシビアで現実的だ。
ものすごく不幸なわけじゃない。大きな障害があるわけでもない。ただ誰かに認めてもらいたくて、勇気をだしてみても報われるわけでもない。 期待したようには世界は変わらない。
YouTube、Twitter、Instagram、Snapchat、取り巻くツールは変われども、10代のアイデンティティの揺らぎからくる悩みというのは、いつの時代もどこの国でも変わらないのだろう。
それでも前向きな主人公のケイラに、本当は前向きなんかなれないケイラに、涙が溢れて止まらなくなってしまった。その痛みは、私もよく知っていた。
唯一映画的な存在であったのは、主人公の父親だ。彼の言葉に、ケイラと一緒に観ている者も救われる。
作品を観終わって、愛するとは、あなたなら大丈夫と、信じてあげることなのだと感じた。
大切な人を。
自分自身を。
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