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ある本を読んで

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#太宰治

「パンドラの匣」太宰治著を読んで

登場人物の渾名がよい。
雲雀、マア坊、竹さん、つくし、越後獅子、固パン、かっぽれ。

お決まりのやり取りが楽しい。
「ひばり。」
「なんだい。」
「やっとるか。」
「やっとるぞ。」
「がんばれよ。」
「ようし来た。」

それは結核療養所という過酷な空間を、
なんだか不思議に明るく彩る。

私がなによりこの小説で重要あると感じたのは、文章がすべて「手紙」であるというところだ。

手紙とはすなわち「書

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