ヘルムート・シュミット展 鑑賞レポート
先日、京都dddギャラリーで開催されていたヘルムート・シュミットさんの回顧展へ行きました。
お恥ずかしながら、この展覧会のことを知るまではシュミットさんのことを存じ上げませんでした。
シュミットさんは、有名な企業さんだと大塚製薬のポカリスエットのロゴマーク、IPSAやAYURAのロゴマークなどを手掛けています。
展示室へ足を踏み入れると、室内にはクライアントワーク・プライベートワークを含め膨大な数の制作物が配置されていました。
制作物の他にラフスケッチもあり、ラフには何度も書き直した跡がありました。
シュミットさんの思考の軌跡が垣間見えてワクワク。
わたしはAYURAの化粧品が大好きなのでロゴの制作過程を見ることができて感動しました。
シュミットさんの制作物で好きなのが、封筒や葉書などの印刷物でした。
転居通知の葉書には遊び心(転居前の住所の打ち消し線が新居の住所の罫線になっている)があり、なるほどな〜!と唸ってしまいました。
あとは、とにかく余白の使い方が斬新で美しい。
シュミットさんの言葉を借りるなら、文字を“配置”するのではなくどのように“描写”したら美しく見えるのか、計算し尽くされたレイアウトなのだと思いました。
この特徴はシュミットさんの師であるエミール・ルーダーの制作物にも見られますね。
スイススタイルのタイポグラフィ全般に言えることでしょうか。
そしてこれはシュミットさんから師事を受けた韓国のグラフィックデザイナー、イ・ギョンスさんにも受け継がれています。
連綿と受け継がれる余白の美。素敵です。
余談ですが、わたしには師匠と呼べる存在の人がいないので羨ましくもありました。
いいな〜。
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その後に予定があったので約2時間の滞在でしたが、時間の制約がなければもっとゆっくり見て回りたかったと思いました。
また、素晴らしい展示の数々で、創作意欲を刺激されました。
美術館や博物館に行っても滅多に図録は購入しない人間なのですが、じっくり見たかったので帰る際に作品集を購入しました。
自宅でも余白の美を堪能したいと思います。
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