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ご存じですか?フリーランスが活躍するために重要な「心理的柔軟性」

「心理的柔軟性」ってご存じですか。
心理的「安全性」は聞いたことあるけど、心理的「柔軟性」は聞いたこと無いって人も多いんじゃないかなと思います。
心理的安全性ってその「場」にあるものなので個人で短期的にどうにかできないことも多いけど、心理的柔軟性は「個人の心のあり方」なので、身につけるととっても働きやすくなります。
今回は、「心理的柔軟性」ってなんなのかという話と、フリーランスの働く環境をベースに、その必要性・重要性について書いてみたいと思います。

「心理的柔軟性」ってなに?

「心理的柔軟性」とは、

「今、この瞬間」への気づきを持ちつつ、自分が本当に大切にしたい価値に集中し、効果的な行動をとる能力のこと。

『日本の人事部』HRペディア人事辞典より

「状況・立場・文脈」に応じて、とっている行動をより役立つように切り替えられるしなやかさのこと

石井遼介氏「心理的安全性のつくりかた」より

と説明されています。

心理的柔軟性が低いとどうなる?

心理的柔軟性の概念を習ったとき、すごくドキッとしたのを覚えています。
私の心理的柔軟性は、あまり安定していなくて、すぐ低くなる。その心当たりがありまくりで。

・苦手な人の苦手なところをぐるぐると「どうしてあんなに嫌な人なんだろう」と反芻
・厳しい指摘を受けたとき、言い訳ばかりが浮かんでくる
・チームメンバーのミスを正論で叱責する

これらは、ぐるぐるした思考に捕らわれて、現実に役に立つ行動につながらない、足止めされてる状態。それが「心理的柔軟性が低い」状態だと私は理解しています。
ポイントは、自分の心の反応はそれはそれとして受け止めつつ、それに足止めされずに「役に立つ行動」ができるかどうか。

心理的安全性と柔軟性の関係

チーム一人一人の心理的柔軟性が高いと、そのチームの心理的安全性は高まるという研究結果があります。特に、リーダーの心理的柔軟性とチームの心理的安全性の相関は高いそうです。
つまり、自分が心理的柔軟性が高ければ、自分がいる場の心理的安全性を高められる可能性が上がる、と言えると思います。

フリーランスの働く環境と心理的安全性&柔軟性

フリーランスが働く環境は、ひとによって様々という大前提はありつつ、一般に以下のような状況があると思います。

・「はじめまして」のひととチームを組むことが多く、勝手がわからない
・失敗したら次の契約がもらえないかもしれないプレッシャーが常にある
・お客さんの状況が一部しか見えていないので、どのぐらい踏み込んでいいのかつかみにくい

これらは、心理的安全性を感じにくい状況と言えると思います。私はフリーランスになってからしばらく、かなりビクビクしながら働いてたような気がします。
ビクビクしてると、いいパフォーマンスって出ない。挑戦もできなくて、その結果、成長もできない。
この「ビクビク」した心理的安全性が低い状況から早く抜け出せる人が、フリーランスとして息長く活躍できるというのが私が9年フリーランスをしてきた実感です。

自分の心理的柔軟性が高いと働きやすくなる

新しい環境にビクビクしちゃうのは、なにもフリーランスに限ったことではないですし、その心の反応はアタリマエのことです。しかしそこで大事なのは、心理的柔軟に、その心の反応を受け止め、脇に置いて、その時の目的に向かって役に立つ行動をとることです。

例:苦手な人に厳しい指摘を受けた
<心理的柔軟性が低い>
「どうしてあの人ってあんな言い方するんだろう・・・そもそもあの人って・・・」とその人のことばかり考えてしまい、ずっと不快。

<心理的柔軟性が高い>
「あの人のあの言い方、嫌だな。あの人に言われるとどうも受け入れにくいんだよな」「それはそれとして、指摘自体は、役に立つ内容なのかどうかちょっと考えて見よう」→「あの人」から早期に離脱して自分の問題として考えられる。

心理的柔軟性が高い方が、役に立たない不快なことを考える時間が短く済むし、指摘内容が妥当であれば、それを受け入れて自分をより良くすることができます。
ミスが起きたときも同様で、契約終了などの「罰」のことを気にしてビクビクしていると、どうしても少しでも良く思われようと言い訳をしてみたりして、ミスのリカバリーと再発防止というそのとき大事なこと以外のコミュニケーションが増えます。
その結果として、ミスの対応スピードは落ち、相手からの信頼もさらに落としてしまうのです。
「やばい、契約打ち切られちゃうかも。」と思っても「それはそれとして、いま大事なことをすぐに最大限やる」となれば、信頼回復につながる可能性があります。
自分の心を柔軟に保ち、その時々に起こることに柔軟に行動を起こせると、次のように、働きやすくなっていきます。

自分のこころの「ビクビク」や「イヤイヤ」と距離がとれる

そのときに必要な、効果的な行動をとれる

仕事の成果につながる

顧客からの信頼獲得

信頼を得て、安心して働きやすくなる

これは、フリーランスに限ったことでは無く、新しい環境で働く全ての人に言えることですが、うまくかなければ「次が無い」フリーランスにとってはより重要性が高いものと思います。

心理的柔軟性の高め方

詳しくは、最後にご紹介する書籍をぜひ読んでもらいたいのですが、私が特に気に入っている考え方を2つご紹介します。

嫌な気持ちをコントロールしようとしない

嫌なことがあったとき「こんなことをいつまでも考えてちゃダメだ!忘れるために、なにかして気を紛らわそう」としたことがありませんか?
ミスを恐れて過剰なマイクロマネジメントをしたり・されたり、細かい報告書を要求したり・されたりしたことがありませんか?
それらが「嫌な気持ちをコントロール」しようとする行動です。
私たちは仕事や日常生活において、「問題解決」をすることを良しとして生きてるので、この「嫌な気持ち」も解決しようとすることが多いです。
しかし、心の中のことについては、解決しようと考え始めると、問題が大きくなるのです。
石井遼介氏「心理的安全性のつくりかた」では、例として「赤い風船のことを考えないようにしてください」というエクササイズが紹介されています。
これを読んで、赤い風船を頭に思い浮かべなかった人はいるでしょうか。「考えないようにする」と、より考えてしまうのです。
従って、嫌な気持ちには「打ち勝とう」としたり「考えないように」しようとしたり「解決しよう」とするのではなく、「受け入れて味わう」のがそこから離脱する近道なのです。

大切なことを明確にしておく

よく言われることではありますが、ビジョンやミッションなどを明文化しておくことで、目の前の利益やリソース、リスク回避だけを判断基準としてしまうことが避けられます。
会社・チームやプロジェクトといった単位でもそうですし、個人でも大事なことだと思っています。
私は、ひとりひとりが、自分以外の何かになろうとするのではなく、そのままの自分を伸ばしていける社会を望んでいます。このことを自分の中で明確にするまでは、全ての人の全ての期待に応えないと、自分に価値がないように感じたし、そのためにいろんな不安と迷いの中に常にいました。ところが、自分がなにを大切にして目指しているのかを明確にしてからは、判断基準がはっきりして、不安や迷い(細かいことはもちろんあれど)からかなり解放され、行動がとりやすくなりました。

まとめ

心理的柔軟性が高い人が増えると、その個人が働きやすくなるのはもちろん、周りにいる人も働きやすくなります。これは私の感覚的なはなしですが、心理的柔軟性って、伝染する気がします。固い人がいると固く、柔らかい人がいると柔らかくなっていく。
だから私は、自分自身のためにも心理的柔軟なひとがもっともっと増えるといいなと思っています。

ここまでで、心理的安全性の前段に必要となる「心理的柔軟性」に少しでもご興味をお持ちいただけたでしょうか?
もし、もっと知りたいと思っていただけたなら、こちらの書籍をおすすめします!心理的安全性について書かれた本はいろいろあるけど、一番わかりやすくまとめられていると思います。

私は、著者の石井さんが代表をされているZENTechの「心理的安全性マネジメント講座」の卒業生です。Twitterでも発信しているので、フォローしていただけたら嬉しいです。


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