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俺たちは花火師という伝説を目の当たりにした(簡易解説)

 いや~~~~~~~~~~~~、PLAY!PLAY!PLAY!のアーマードコア・スペシャルブリーフィング、すごかったね。
 まだ見てない方はこちらからどうぞ。


 新情報の数々もさることながら、司会の松嶋初音さんがしっかりと要点をおさえて良いトークを引き出していて、素晴らしいプレゼンテーションになってましたね。すごく予習と内容のまとめをやって臨まれたんだなというのが伝わってきます。ひとつの番組として良い仕上がりだった。


 しかし番組終盤(配信動画アーカイブで言うとちょうど一時間あたり)何よりも俺たち視聴者の度肝を抜いたのは抽選番号36番・Fireworks氏。これはもう、みんなたまげてましたよね。いやもう、こんな怪物がいるのかと。



©山口貴由

 この方の「肩までアセンが間に合っておりませぬぞ!」「肩にはミサイルが付いておる。安泰じゃ」みたいなブッ飛んだ猛者ぶりにおれは興奮が冷めやらず、昨日から今日まで神州無敵のいくさを目の当たりにする柳生宗矩になっていたのですが、ちょっともうこれはヤバい、記事にしようということで本記事を書き始めました。



 さて、X(旧Twitter)でもちょっとこんなふうな話をしていたのですが、postへの反応で「新規だからこういう解説がもらえると助かる」みたいな反応をされている方がいらっしゃったので、少し私見を交えながら感想を書かせていただきたいなと思います。新規の方にもあのときのACプレイヤーたちの興奮を共有できたら嬉しいので。
 とはいえ自分はACVDを最後にPS3を8年近く触っていない退役兵、ヨボヨボの引退おじちゃんレイヴンですので、おそらく不正確なところ・記憶違い等あると思います。どうかそのあたりは「ボケジジイなんだな……」とご寛恕いただければと。




ブリーフィング

 さて、配信中でも解説されていましたが、アーマードコアとは「失敗しながら試行錯誤して、ミッションをうまくクリアできる機体を作っていく」……そういうゲームです。そう、失敗していいんです。何度も何度も組み直して考えて、ガレージにいる時間のほうが長くなるなんていうのがザラのゲーム。
 ですからFireworks氏をはじめ、各地のヨドバシで行われている体験会での一発クリアプレイヤーたちも、機体を本来かなりいじってから戦うところを操作スキルで補っているわけですからすでにその時点でちょっとどこかしらヤバい腕前の人たちという認識になりますね…。

 今回Fireworks氏が持っている情報は、直前になって「防衛戦」という初出しのブリーフィングを与えられたのみ。普通は一回挑戦して現場を見てからああしようこうしようと考えるものですから、字面で情報をもらっているだけでは判断材料が足りない。
 しかもフロムの連中がよくやってくる悪質な手口なのですが「終盤に敵ACが乱入してくる」など絶対なにかしら仕掛けてくるので、ブリーフィングの情報ですらちゃんと説明してないことが多いです。今回で言えばあの猛攻のあと弾もAPも尽きかけるだろうタイミングでバカでけえ強襲艦が出てくる、というのがそれに当たるでしょう。よくあれに対処できたなと思います。


アセンブル ~匠の設計~

 いやほんとにこのアセンブル、すごいですね。何がすごかったか挙げるとキリがない。御本人はアセンが苦手とおっしゃっていましたが、あの短時間で最適解を見つけているのであれを苦手というのは刃牙と勇次郎の戦いを親子喧嘩と称するくらいの謙遜だと思います。

 Fireworksさんは会場で少し試遊していたということですこしパーツ情報が頭に入っていたのかもしれませんが、壇上に上がってからいきなり持ち時間1分を宣告されます。


無理です。


 アセンブルというのはじっくり腰を据えて10分、20分と考えながらやるのが当たり前。
 1分というと、まず確実に機体の全部には手を入れられない。つまり、用意してある機体をどれだけ改良できるか、という勝負になります。
 これはむしろイチから自分で機体を組み上げるのよりも難しい。他人が組んだ機体をあとからいじり直せと言っているようなもの。十分な時間をもらって自分でコンセプトを考えながら組んでいくなら、勝手知ったるで得意な武器種を使ったり慣れてる脚部を使ったりいくらでもやりようはありますが…。
 社会人の方は経験があるかもしれませんが、お仕事かなんかで誰かが作った知らんエクセルとかプログラムとかの成果物を「どっかが壊れたからあとから中身を覗いて直せ」と言われたらウゲェッ!!って声が出るかと思います。他人が作った意図がまったくわからんスパゲッティコードを後から読まさせられるやつね。おそらくあの状況はそういう感じです。

 ここで何が起きているのか、順に大改造ビフォーアフターを見ていきましょう。


腕武器をWガトに換装

 まず両方の武器をガトリングにしてますね。ガトリングは近~中距離で使われる武装で、とにかく装弾数が多く継戦能力がある。パラメーターを見ても実に1300発あることがわかります。ここはまさしく司会の松嶋さんが指摘された通り、たくさん敵が出てくることを考えての選択だと思います。これだけあればまあ過去作のミッションだったら普通は撃ち切ることはないんじゃないかなくらいの弾数です。普通はね。なんかオグとかいう人が初出ししてきた鬼畜ミッションだったら知らんけど。
 ここで上手いなと思うのは、単純に継戦能力だけで言うなら弾持ちの良いライフルとかアサルトライフルにするという手もあったなかでガトリングを選んでるところですね。ガトリングは発射レートが高くてある程度一気に火力を吐き出すこともできるので、防衛対象に敵が肉薄してしまったときにすぐザコ処理できるという点で鋭い選択ではないかと思います。


脚部を重量二脚にし、腕部の防御力を重視

 これもう流石だなぁ~~と舌を巻くところです。武装の次にすぐ脚部をいじってるのは、やってる人の発想ですね。
 少し前にアーマードコアの機体の組み方について簡単な記事を書いたので詳しくはそちらを見てもらえばと思うのですが、先に脚部から機体をいじるのは優秀な設計者アーキテクトの証左と言えるでしょう。
 かいつまんで説明するとアーマードコアにおいて脚部は機体のほとんどの性格を決めると言っても過言ではないパーツです。タンクや四脚、逆関節などで移動の感触はガラッと変わりますし、また重量級にするのか軽量級にするのかで耐久力や移動速度、積載量が全然違います。ですから最初にここをバシッと決めると全体の方向性がまとまりやすいですね。
 ここでFireworksさんが重量二脚にしたのは、長期戦になると見込んでAP(アーマーポイント。他ゲーでいう体力のこと)と積載量に余裕を持たせたいからではないか…と見えます。「重量二脚そのものがそもそも汎用性が高く大抵のミッションに通用する」というシリーズ恒例の傾向もあるので、これは手堅いチョイスですよね。
 腕部を防御力の高いものにしているところも細やかです。射撃補正の数値ももとの腕からそんなに落ちていない、というのがセンスが出てますね…。腕パーツは射撃補正というパラメーターを持っていまして、これが低すぎると弾がバラけすぎて集弾しなくなります。狙撃メインの機体を作るときなんかは非常に重視される値です。
 近づいて数撃ってナンボのガトリングですから確かに過剰な射撃補正はいらんのですが、あんまり値が低すぎると無駄弾が出まくるので下げすぎずいい具合のところを狙ってます。シブいねぇ。


外装選びを中断しジェネレーターを確認

 ここですぐ内装をいじりに行っているところが迷いがなさすぎてすごい。おそろしく速い決断……オレだったらボディいじりに行っちゃうね。
 脚部に次いでAPや防御力に関わってくる重要部位なので本当だったらここは胴体をいじりに行きたい場面ですけども、ボディパーツはかなり重量を左右する要素なのでここを触ってしまうとまた脚部の積載量との兼ね合いを考え直す必要が出てしまう。…まあ本当はじっくり兼ね合いを考えていいゲームなんですけどね!本当はね!今は制限があるので、ここで一瞬もボディを見ることなく「切り捨てた」のは時間の使い方がうまい。
 Firewoksさんはすぐにジェネレーターを選びに行っていますが、やはりここんとこも放送中に指摘されてますが玄人の着眼点です。もともとそれなりのものが積まれていたようなので変更はしなかったようなんですが、ここを見る見ないだとぜんぜん違う。
 ジェネレーターについてざっくり解説すると、機体のブースターやエネルギー武器で使用するENを作ったり貯めたりしといてくれるパーツです。あえてソウルボーンにたとえるならスタミナゲージに相当するパラメーターですかね。これがカラッケツになると移動も回避もドンくさい動きしかできなくなるので、外装に負けず劣らずかなりの重要部位。「供給量が多い」「容量が多い」「容量も供給量も少ないけど軽くて軽量機体に向いている」などいろんな種類があるので、自分の機体に合ったジェネレーターを選ばないと痛い目に遭います。今回で言えばもともと中量~重量機向けのバランス型ジェネレーターが積まれてたので、それでGOしたのではないか……と思います。


FCSをミサイル型から近~中距離戦型に積み替え

 FCSというのはロックオン距離やミサイルの制御に絡んでくるパーツです。たとえば「ロックオンが速いかわりに近距離までしかロックできない」「遠距離までロックオンできるがロックオン視野が狭い」というように、ジェネレーターと同じくこれも色々種類があるので機体にベストマッチしたものを選びたい。
 ここまでで選んできた武装は近距離戦向けのガトリングですから、ここでまかり間違って狙撃向けのロックオン視野が狭くて長距離(昔の言い方だとnarrow-deepあたり)なんてFCSを選んでいたらキツかったでしょう。制限時間が時間が迫る中で近距離型にきっちり積み替えたのは、これはもう脱帽と言わざるを得ないですね。


 皆さんこれ、1分ですよ。この方、おれがここまでつらつらと書いてきたことをいきなり言われて1分で判断して全部やってます。たとえやり込んでいても土壇場でこれができるとは限らない。まったくあたふたしていなかったのが凄いですよね。
 あまり上手い説明ではなかったかも知れませんが、これだけ大量の判断を瞬時に下して機体を改造していったのであろう、というのはわかっていただけたかと思います。バケモンです。


立ち回り

 そして組んだACをすぐ使いこなすこの適応力。もうなんか言葉でない。すげえなぁ……。
 たとえ機体を組んだとしても…慣熟飛行じゃないですけど、やっぱシミュレーターやテストモードで慣らし運転をしてカンを掴まないとわからんところってのがあるわけですよ。なんかいきなり乗りこなしてますね。なんで?????

 第一波のMTを掃除したあと、高台に登って左右を見回しながらどこから敵が来るか探ってるあたりがもうプロいですね。
 第二波の輸送機もミサイルとガトリングで一気に潰してる。これもまた松嶋さんが指摘してますけど(本当にこの人司会上手いな)、このタイプの敵は輸送機ごと落としてなかったら大量の敵機がワラワラ着陸してたはずなので「ここでケチらずミサイルも使っちゃおう」とすぐ潰してたのは最善手ではないかと。ゲーム開発者殺しですね。は、発売前に難易度上げられちゃうよ…!

 第三波からさすがに残弾数が厳しくなってきたかというところで、蹴りを盛り込んで弾を節約。武器をパージしてここまでかと思いきやまさかのルビコニアンカラテが炸裂するという驚愕の展開に……。ここチャット欄大盛りあがりでしたね。あまりにもすごすぎた……。ミサイルもどんどん使ったれで撃ってたのも良い判断。
 ここで格闘戦がうまく行っていたのも、ここまでで被ダメージがほぼほぼなかったからこそ殴り合いで戦う余裕があったんじゃないかなと。トータルでここまでの積み重ねがあったからアドリブを出す余裕があったんじゃないかなぁ…。いや凄すぎる。
 これはおれも最初わからなくてフォロワーが指摘してて初めて気づいたんですが、どうもパンチは見た感じクールタイムが長めで連発できないようなので、とっさに気づいてあいだに蹴りを織り交ぜてたのもなんか、ニュータイプだなこの人……。「武器がダメになったら蹴ってブン殴ったれ」がすぐ思いつくのは天パの発想なんだよな……。


トークや魅せ方も良かった

 さて、ここまででFirewoks氏のその腕前の異様さというところに注目してきたんですが、トークも面白かったしすごくいいプレイイングでしたね。


 喋りもすごく落ち着いていて、「こういうふうに組んでみました」というアフタートークもわかりやすく、プレイ自体もミサイルが打ち上がるところを見せたりとカメラワークも良かった。話題性や撮れ高的にも素晴らしくて、そういう方面でもすごいプレイヤーさんだったなと思います。
 メタな話をすると、たぶんフロムの企画的には「泣きの一回!」を予定していたかもしれないけど、いやいやそれがなくても十分すごいというか、それを凌駕する企画にせしめたな……というふうに感じましたね。

 いやはやおみそれしましたというか、こんな記事を書いて話題に便乗するようで申し訳ないくらいなのですが……。良いものを見せてもらって興奮が冷めないですね。ますます発売が楽しみになりました。おれもブランクで付いた錆を落とし、腕に磨きをかけたいと思います。


25日が待ちきれない!

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