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新宿二丁目から発信する文芸誌「或ル日」、10の読みどころ

 新宿二丁目をテーマにした文芸雑誌、「或ル日」の最新号が完成しました。今回は「艶めく」をキーワードに、新宿二丁目とその周辺を読み解いていきます。
 芥川賞作家の藤野千夜さんのインタビューやヒキタクニオさんの短編など、プロとアマの境を超えた作家による豪華ラインナップになりました。
 この街に根差した「二丁目文学」を追求する二丁目文芸部の「或ル日」編集担当が伝えたい、10の読みどころをご紹介いたします。

【その1】藤野千夜インタビュー「この本が『そこにいていい』と伝えてくれた」

 作家デビューの前は、漫画編集者だった藤野千夜さん。子どもの頃から親しんできた読書について、お話をうかがいました。これまでの人生の転機において、隣りにあったのはどんな漫画や小説なのでしょうか。手塚治虫、大島弓子、大江健三郎など、耽溺したという作家の名前を挙げたらキリがありません。「感謝の言葉を伝えたかった」という、近年に逝去したあの作家にもお話が及びます。

 また、二丁目文芸部の部員から寄せられた質問にもお答えいただきました。
「日常と執筆の繋がりは?」「書いていて救われたことは?」「十代に贈りたい本は?」
 思い悩むわれわれに向けた、藤野さんからのメッセージといえるお話です。

【その2】創作・ヒキタクニオ「ハロウィン」

 カラーギャングが台頭していた20年前の渋谷、血気みなぎる3人の高校生は「日の丸」という結社を名乗り、夜な夜なセンター街へと繰り出しています。「浄化」と称してカツアゲを繰り返す日々。しかしハロウィンの日、新たな武器を手に暴力を振りかざす彼らにも、想定できなかったことが起こります。
 ヒキタさんのデビュー作の「凶気の桜」を彷彿とさせる、多感な十代を取り巻くハードコアなボーイズストーリーです。

【その3】創作・ちあきホイみ「真夏の彼らの浮き輪の下では」

 海水浴の計画を立てたゲイバーに集う4人のメンバーは、入念にカラダを仕上げてその日を迎えます。度重なる雨に降られながらも、彼らはバーベキューをしたり、真夏の海でじゃれ合ったり、休日を楽しむのですが……。
 年長者である語り手は、浮き輪で漂いながら、ある記憶と闘い苦悩することに。前号のエッセイが文芸誌「文學界」で注目されたホイみさん。小説第一作となる今作においても、その歌声にも通じるような美しくも儚い感性が光っています。

【その4】巻頭グラビア・ちあきホイみ

 前号に引き続き、二丁目文芸部の部員でもあるホイみさんの「現在地」をご報告します。今回は、この夏におこなわれたライブの会場にて撮影。真夏のライトに輝くようなショットです。

【その5】表紙イラスト・こうき

 夏をイメージしたイラスト、今号も表紙と裏表紙が対になっているデザインです。浜辺に取り残されたかのようなカバンやビーチボールなのですが……。その全体像は裏側に現れます。
 ちなみに、ビーチボールになっているこの可愛いブタ。新宿二丁目のバー「A Day In The Life」にご来店いただければ、それが何を示しているかが分かるはずです。さらにこのビーチボール、ちあきホイみさんの小説にも登場しています。

【その6】3枚創作

 原稿用紙3枚で新宿二丁目とその周辺を描く、二丁目文芸部のメインの企画のひとつです。これはエッセイなのか、それとも掌編小説なのか。虚実が入り乱れる文章で街を炙り出す、読み人知らずの10編を掲載しています。

【その7】フォト&ストーリー「百合の花の暗示」

 新宿二丁目でさまよい邂逅するふたり。囚われ縛りつけるものは、肉体か魂か。艶めかしい写真と磨かれた文章によるセッションです。

【その8】短歌「MONSTERS」紋甲メリー

 三十一音で切り取られた新宿二丁目の息づかい。どこかふがいなさを抱えつつも、秘めたる内なる熱情が伝わる8首です。

【その9】二丁目文芸部の部員による創作

 前号より一年、時間をかけてじっくりと書き上げました。さらに奥へと深く、新たなゾーンに入ったような作品群です。それぞれの作品にも言及したいのですが、まずは掲載作品のご紹介です。

「ゆうさりて」清水公介、「ワンナイト・ジゴロ」ハチ、「セフレの背中」シンジ、「SO CLOSE」K-hiko、「エルメスさん」肉牛、「ボン・ヌールとそれから」(第2回)羽佐間桃子

【その10】「新宿二丁目」

 そして何をおいても主役となっているのは、この類まれなる街です。「或ル日」をルーペのようにして、その一部分でも読み取っていただくことができたなら、われわれも嬉しいです。

 現在、新宿二丁目のバー「A Day In The Life」にて販売しております。この街の艶めく空気に触れつつ、ぜひ「或ル日」を手にしてください。

「或ル日」(Vol.2 第1号)二丁目文芸部発行 1500円



二丁目文芸部
二丁目文芸部は、バー「A Day In The Life」の毎週水曜日に活動しています。

A Day In The Life
東京都新宿区2-13-16 藤井ビル203

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