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240519.SAT〜240524.FRI

今週から、週刊ビル経営へのコラム連載が再開した。技術論に偏って技術屋みたいな見られ方をしてしまった前回の連載を反省して、できるだけ建築論として書くことを課してみたい。
初回は、先日竣工した<ウィンド小伝馬町ビル>を取り上げる。丹青社が始めた中小規模の古ビルを再活性化するR2という活動の一環のプロジェクトだ。都心の幹線道路沿いという立地を、耐震化へのハードルではなく建築を都市と接続させるチャンスと捉える視点を書いてみた。
丹青社へのインタビュー記事も載せると記者から聞いていたので、僕のコラムと同じ号に載せれば相乗効果があるのではと提案していた。届いた紙面を見るとその通りになっている上、裏一面が丹青社へのインタビュー記事に当てられていた。再生の意義や可能性が少しでも広まることに繋がれば…。そういえば丹青社のプレスリリースには設計者が明記されていなかったのだけど、今回の記事ではAWAに触れてもらっていて少し安心。

Aビルは18回目の現場定例と施主MTG。現場から提示されていた空調機の納入書について、能力が設計図書と異なるのは既存に合わせたからだと説明を受ける。仮に承認して、施主に念のため再確認するようAWAの担当に指示。現場からは他の宿題事項の解答を催促される。AWAの担当者が消防に出す協業資料をまとめられていなかったことが、現場に指示できない直接的な原因である。さらにその原因は、AWAの業務ではない部分の尻拭いを彼がしてくれているからなのだし、毎日のように多方面からイレギュラーな報連相が飛び交うから大変なことも分かるが、流石に待たせすぎだ。まず消防へのアポと協力事務所への連絡を今日中に済ませるよう指示。微かな彼の苛立ちも感じる(もちろん彼はそれを言動や表情に出すようなことはしないけど)。
施主には工程死守のためには待ったなしの部分を伝え、早急な回答を依頼する。できればその場で了承して欲しかったが、テナントの意向を確認したいようだ。

Lビルは8回目の現場定例。屋内側の躯体について、構造的な補修と意匠的に補修(というよりは左官仕上げでの成形)する部分を現場で整理し。後者は通常のモルタルで良いのに対し、前者はポリマーセメントモルタルなど躯体の設計基準強度と同程度の素材を強うことを確認。両者を左官工事で一緒に進めないよう、よくよく注意する。
これでようやく追加工事の項目が決まった。このプロジェクトは予算に余裕がないから増額ができない。VEとして未利用だった塔屋のボイラー室を物入れに転用するのをやめて自火報の設置を回避することを提案したのだけれど、どうしても採用できないと言われて少し頭を抱える。

デザインのポイントが見出せていなかったSビルは、外装の低層部を更新することで敷地周辺の陰気さを払拭することと、排煙区画と天井の設定で内装制限をコントールすることが見出せてきた。
早速、施主と協議。合わせて遅れている基本設計の帳尻を合わせる方法を探る。今回は基本設計の間に既存の内外装を一部壊して調査できるのが良いのだけれど、調査の段取りに時間がかかって設計スケジュールを圧迫している。

同年代の建築家の植松さんがモデレーターを務めるトークイベントに坂牛さんが登壇されるので公聴。坂牛さんは、サステナブル建築という多分普段は積極的に扱っている訳ではないテーマに対して、皆が長く使い続けたくなる美しいものをつくるべきだという展開。自分にはて嵌めて、長寿命化の技術論だけではダメだという批判と受け取ってみよう。
昨年出版された「教養としての建築入門」が、良い建築を判別する審美眼は建築家だけでなく社会一般に必要だというメッセージだと知って共感。

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