社会人大学院に1年通って思うこと

あっという間に早くも1年目が終わろうとしているので、ここで一度、振り返り。

なぜ入ろうと思ったか

仕事への不安

私はオーケストラやホールなど、クラシック音楽の業界で25年ほど働いてきました。この業界は音楽家などステージに近いほど専門性が高くなりますが、逆に言えば離れるほど専門人材が少ないのが実情で、経理や人事、広報などの重要性があまり理解されていない気がします。また、基本的に助成金ビジネスなので経営感覚を持つ人があまりいない(あるいは、民間とかけ離れている)。少なくとも、私が見てきたところについてはそう思いました。
そしてコロナ禍で、ますますバックオフィスの脆弱さに危機感を持ちました。また、同じようなバックグラウンドを持つ人が多いため、考え方に多様性がなく、狭い業界内で人材が回っており、変化を嫌い新しい考えに触れる機会が少ないことも不安に感じていました。

私は10年ほど広報の仕事をしてきましたが、悩んだ時に相談できる経験やキャリアを持った人が周りにいないので、好き勝手に出来る一方、何をやっても確信を持つことができず、軸が定まりませんでした。今までは「コンサートの告知をすること」が仕事の大半だったわけですが、コロナ禍でそうもいかなくなってしまった時期に、広報と言うものを一度ちゃんと勉強してみたい、と思ったのが「広報・情報研究科」のある大学院の門をたたいたきっかけです。

ちょうど仕事人生の半分

私はいま46歳です。65歳まで働くとしてちょうど仕事人生の半分まで来たということになります。キャリアチェンジを考えるとしても、これ以上遅いと新しいことにチャレンジするのはどんどん難しくなるだろうと思いました。また家庭内を見ても、2人の子どもの次の受験まであと5年、夫の定年まであと5年(歳が離れています)あり、時間をかけて何かをするなら今が最適だとも考えました。乳幼児がいたり、受験生を抱えていたら自分の勉強どころではありませんから。

1年経ってみて

オンライン授業って超便利!

社会人に特化した大学院のいいところは、とにかく社会人に通いやすく設計されているということです。授業は平日夜と土日ですし、すべての授業がオンラインをベースに、基本的には対面とのハイブリッドで開講されています。
在宅勤務で18:15に定時で終業し、18:30からの授業に参加できる。
なんて無駄のない生活!
オンラインがベースなので、首都圏以外から通っている同期もたくさんいますし、外出先から受講できるのも便利。欠席しても録画でキャッチアップできます。
あと、オンラインでの議論やワークショップも全く問題ないですし、寝てばかりいた学部の授業よりよっぽど参加感があります苦笑
私は、気分を変えるために土曜はなるべく通学するようにしていました。

社会人だからこそ

入学してみると、同期は様々な業種、年齢層の人がいて、似たような悩みを抱えている人も多いことがわかりました。とはいえ、少々浮世離れした業界にいることもあり、最初は自己紹介からして他の人が何言ってるのか本気でわからなかったです。。いかに自分が、狭いところで通じる言葉だけで成立する世界にいたのかということを痛感しました。

1年間で、無事に成績がつけば30単位を取得予定です。
概論から演習まで、コミュニケーションデザインに関わる多彩な領域を一気に学びました。
復習に時間をかけ、できるだけ関連書籍も読みました。
来年度はいよいよ修士論文を完成させねばなりません。
入試時に提出した研究計画書は大幅に変更となり、やっとフォーカスが定まってきたという状態。間に合うのかとても不安💦

入学時は浦島太郎状態だった私も、大量のインプットを経て、やっと自分の言葉で学んだことの説明ができるようになってきたところです。「理論と実践の往還」という言葉を専門職大学院では何度も聞くことになります。やはり実践だけでは業務範囲以上の発想力に限界を感じます。背骨になる理論に基づいて手を動かしたり発想したりするほうが人も組織も創造的で強くなれると思います。

自分の業界でいうと、アートマネジメントを教える大学はいくつかありますが、この分野こそ社会人のリカレント教育がほしいところです。大学生の時よりも、社会人として経験を積んでから研究を行うことで理論が蓄積され、社会に還元できるようになるのではないでしょうか。

社会人大学院に入って私はとても新しい日々を送っています。
何歳になっても学びは楽しい。苦しいけど楽しい。
物事の見え方が変わるというのはこういうことかと。
仲間もできますし、それまで考えもしなかったチャンスが巡ってくることもあります。
人生に悩んだら勉強する、というのがこれまでの私のスタンスでもありましたが、思い切って新しい環境に飛び込んでよかったです。
あとは無事に卒業できれば・・・!



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