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恋ぐらいで

とても好きだった人のことを話すと、
「その恋は身体に悪そうだね」って言われたことがある。
確かにあたしは毎日ほとんど泣きそうで、
どんな幸福も、きっとふしあわせだった。
その人に触れていると全てを手に入れたような気持ちになるのに、同時に、全てを手放してしまったような気持ちになった。

人間というのはどうしてこうも複雑なんだろう。
頭でわかっていることを、実現させてくれない。
恋は盲目、なんていうが、
何も見えないことに例えるなんて生半可な気がするほど、洗脳であり、拘束だ。あまり気を病むと「恋ぐらいで」なんて言ってくる人もいるが、それはもう、君とあたしは同じじゃないから分からないよね、くらいの理由で片付けてしまっていい。
君とあたしは、だって、一生理解し合えないもの。

恋ぐらいで、髪型を変えて、
恋ぐらいで、新しい洋服を買う。
恋ぐらいで、どうでもいい人と遊び、
恋ぐらいで、人を傷つける。
恋ぐらいで、ただ朝が虚しく、
恋ぐらいで、仕事をサボった。
恋ぐらいで、四六時中ぼーっとして
恋ぐらいで、生きてる意味を考え込む。

たかが、恋ぐらいで、
もう何度、自分を嫌になった?

たかが恋ぐらいで、未来が真っ暗になって、

たかが恋くらいで、あたしはいつかこの街を捨てるだろう。

今日はすごく暑かったのに、空がぜんぜん夏の色じゃなくてホッとした。
夏は、まだ少し先だ。

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