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「零れる一瞬」【詩】

未来はなにひとつ
ぼくのものではない
過去もなにひとつ
ぼくのものではない

この一瞬だけが
ぼくのものだ
けれどもぼくはこの一瞬に
触れたことさえない

ポケットをまさぐって
とりだした一瞬は
すでに過去へと成り果ててい

触れようとして手を伸ばせば
砂のようにこぼれおちる
ぼくの
失くしたものと
叶えた夢との
あわいにある
人生という
儚い詩のように

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