「ひとつの詩」【詩】
わたしは信じる。
偶然、
そこにある百万の詩よりも
苦労のはてに
守り抜いた
たったひとつの詩を
わたしは信じる。
虹の色で
飾りたてた絵画よりも
どこまでも
おわりのない
一本の線を
わたしは信じる。
推敲のかぎりをつくした
長編小説よりも
振り向きざまの
あなたの言葉を
わたしは信じる。
雨の音よりも
濡れた頬を
遠くの稲光よりも
か弱く細めた目を
わたしは信じる。
この世界に
ありふれた
まごころを
わたしは信じる。
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