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前回のnoteを使ったら、このように変化した。

 前回、noteした応用行動分析理論を使って、対象のお子さんの行動に変化が起きました。
 やはり大切なのは、お子さんにとって、何か結果事象になっているのか?そして、何よりも信頼関係が大切な事が気付きました。

ある支援の日のことです。
発音が苦手なお子さんが来院して、いつも通り言語室で練習が始まります。
始まりの挨拶を済ませ、絵を使って、学校での様子を尋ねたり、楽しくコミュニケーションを取ります。
時には体を使った遊びを導入して、発音の練習の土台作りをします。
対象のお子さんにとって、発音の練習はとても退屈な、面白くない練習なのでしょう。

STと子どものやりとり

『』→話している事
" "→動作

ST『(舌圧紙を使って)この棒を、お口の天井に置くから、ベロで舐めてねぇ』
Pt"ニコニコ"
ST『はい、どうぞー』
Pt"(アイスの棒を)カミカミ"
ST『(困った顔で)待ってまって!いつもと同じだよ。もう一度いくよーはい、どうぞー』
Pt "ニコニコしながら(アイスの棒を)カミカミ"
ST『(驚いた顔で)どしたのー?いつもやってるじゃーん(笑顔)』
Pt"ニコニコしてはしゃぐ"
ST『分かった!じゃーいつもより、回数を少なくしよう!5回でどうだぁ!はい、どうぞー』
Pt"ニコニコしながら(アイスの棒を)カミカミ"
ST『(表情を変えずに)さ、もう一度』
※最後の2行を何度か繰り返して、適切な行動が起きる。
ST『やったねぇ(ハイタッチ)かっこ良かったよ』
Pt"ニコニコ"

 この状況で、私が子どもにやって欲しかった行動は、『カミカミ』ではなく、『舌の運動』でした。
 しかし、子どもにとって、舌の運動は苦手な課題です。そのため、退屈な練習の過ごし方は、ふざける事で、適宜変化していくSTの表情を眺めることで、楽しむことだったようです。

ABCの考察

前回のABCを思い出してみましょう。
Aは『先行事象』、Bは『行動』、Cは『結果事象』でしたね。
それを今回のケース当てはめるとこうなります。

先行事象(Antecedent)→お口の中に、棒が入ってくる
行動(Behavior)→棒を噛む
結果事象(Consequence)→ STの表情が、コロコロ変化して面白い

そこで、結果事象を変えてみました。
子どもはSTの表情を見て楽しんでいる為、子どもの行動に関わらず、表情を変えるのをやめました。(選択的無視)その代わり適切な行動が取れた時のみ、笑顔で対応したり、褒めたり、ハイタッチをしました。
その結果、このように行動が変化しました。

先行事象(Antecedent)→ お口の中に、棒が入ってくる
行動(Behavior)→指示された場所を舐める
結果事象(Consequence)→ STの表情が変化して面白い

 このように、お子さんにとって、何がプラスの報酬なのか?嬉しいことなのか?をしっかり考えた上で、結果事象に変化をつけていく事が、お子さんの行動に変化をつけていく上で大切なことと感じました。

今回のケースでの気づき&反省

 限られた60分という、個別支援時間を充実させるために、STも対象者も協働で集中できると良いなぁと思います。そのためには応用行動分析が適応できるだけの、信頼関係が重要です。

 結果事象だけに変化をつけても、信頼関係がなければ、お子さんはふてくされて終わりでしょう。
 行動自体が消去もしくは拒否される事も予測されます。
 信頼関係があった上で、ABCに基づいてアプローチしていくことが必要です。

もちろん、遊戯療法(Play Therapy)をされる先生の立場からすると、退屈な練習っていうのが原因だ!というご指摘もあるでしょう。
確かにその通りです。遊びの中で、子どもが自身でその機能の必要性を感じることが理想的です。

これから沢山勉強して、両者を併用できるようなSTになれるように努力を積み重ねていきたいです。

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