おざき 優杏

ウキョウ、と読みます、恋とことばとすきなこと。

おざき 優杏

ウキョウ、と読みます、恋とことばとすきなこと。

最近の記事

  • 固定された記事

すきなもののこと

「アイスクリームの誘惑」 わたしの恋人は、根っからの甘党。 そんなにたくさん食べるというわけでもないのに、食後のデザートは嬉しそうに食べるし、あまいカフェオレやミルクティが好き。お酒をのんでいるのにチョコレートケーキのような甘ったるいお菓子を平気で食べているときもあるのだから、ついつい、わたしは驚いてしまう。 わたしはあまり、甘いものは食べない。これは常々思っているのだけれど、甘いものを食べない女のひとは、どうしたって我慢弱くて、少し怒りっぽい。(わたしだけだとしたら、本

    • すきな人のすきな人はわたし。

      初めて一緒に、目のくらむような美しい夜景を見に行った日。 ”気品のある人でいて” と恋人は言った。 「上品」じゃなく「気品」。 恋人は、自分を飾らないと生きていかれなかったわたしに、いつもありのままでいさせてくれるひと。 女性らしく、しおらしく、上品に。誰かに愛される術を知らずそんな思いに溺れていたわたしに。 上品でなんて、いなくていいから、って。 似たことばなんだけどね、きっと気品って、自信のある人にしか出せない魅力なんだと思う。 誰よりもあなたの隣が似合うように、気高く

      • 忘れたいこと、忘れたくないこと

        恋人が浮気をした。 いったいわたしは、浮気、という言葉がきらいだ。 気持ちが浮つく、ってどういうことなのだろう、と思う。 浮ついたからなんの気無しによその女のひとのところへいってしまったのだとしたら、わたしはそれを許せない。よその女のところにいく理由なんて、明確になくてはこわいではないか、と思う。 そもそも、わたしといるときは地に足がついている、みたいな言い方なのも不思議でならない。わたしは、恋人がわたしといるとき、地に足をつけていてほしいなんてこれっぽっちも思っていない

        • 神様からのプレゼント

          わたしは神様、ってあんまりすきじゃないし、ほんとうのところあんまり信じていないのだけれど、こればっかりは感謝したいと思うことがある。 それは、つらかったことを思い出すのを難しくしてくれた、ということ。 痛みも同じ。 もちろん記憶があるから、事実としては思い出せるのだけれど、どんなふうにつらかったか、とか、どんなふうに痛かったかという痛みそのものを思い出してもう一度苦しむことって、全然できない。 それなのに、幸せな気持ちは逆。 例えば、おいしいご飯を食べたとか、だいすきな

        • 固定された記事

        すきなもののこと

          センセイ

          「萩元朋也といいます。」 わたしが先生に出逢ったのは、高校1年生の春だ。 少し足早に教室に入ってきた先生は早口に自己紹介をした。どちらかといえば高い、しかし落ち着いた声だった。先生を一目見たとき、私の中の何かが大きく震えた気がした。ああ、私はこの人に惹かれるのだろう、と無意識に思った。先生は黒板に大きな字で『萩元朋也』『B型』『大阪府』『餃子』『一人旅』と書いた。几帳面な字だった。『萩元』のもとは、『本』じゃなくて『元』と書くのだな、と瑣末なことを考えた。彼がこれらの単語

          『隣人の愛を知れ』に学ぶ、「人の愛を知る」ということ

          「まったく、結婚というのは残酷なことだと思う。結婚するということがどういうことなのかというと、いちばんなりたくない女に、いちばん好きな人の前でなってしまうということなのだ。いやになる。」そう綴っていたのは、わたしの大好きな江國香織さんだ。(『泣かない子供』) 夫の浮気に苦しみ、ハンガーストライキを起こしてしまう、ひかり。 「一体なんなんだ。泣きたいのはこっちだ。直人に嫌われたくないのに、こんなに恐ろしい自分を晒したくないのに、責めずにはいられない。」心の底から愛している夫を、

          『隣人の愛を知れ』に学ぶ、「人の愛を知る」ということ