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4月鉱工業生産指数は2カ月ぶりに前月比若干低下か。 4月商業販売額・小売業の前年同月比は3月から伸び率若干鈍化を予測―日本の主要経済指標予測(2024年5月23日)―

4月鉱工業生産指数の関連指標のうち、実質輸出などは若干の上昇示唆だが、経済産業省の機械的な補正値、景気ウォッチャー調査などは前月比低下を示唆。(5月31日発表)

 4月30日に発表された3月の鉱工業生産指数・速報値は、15業種中、工場稼働再開などの影響を受けて上昇した自動車工業や、生産用機械工業など9業種が上昇、鉄鋼・非鉄金属工業など6業種が低下し、全体として前月比+3.8%と3カ月ぶりに上昇しました。
 
 経済産業省の基調判断は23年7月~12月は「生産は一進一退で推移している」で6カ月連続同じ判断でしたが、24年1月の基調判断については、「一進一退ながら弱含み」に引き下げられ、2月に続き3月も同じ判断に据え置きとなりました。
 
 5月16日に発表された鉱工業生産指数・3月確報値では前月比+4.4%と速報値の同+3.8%から0.6ポイント拡大しました。生産指数 の上方修正は医薬品、鉄道車両等によるものです。新たに加わった食料品・たばこ工業は前月比上昇になりました。全16業種中、10業種が上昇、6業種が低下しました。
 
 5月31日に発表される4月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は▲0.2%程度と2カ月ぶりの低下になると予測しました。また、4月の前年同月比は▲1.1%程度と6カ月連続低下になると予測しました。
 
 鉱工業生産指数・3月速報値段階で発表された製造工業生産予測指数の4月は前月比+4.1%の上昇見込みです。過去のパターン等で 製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、4月の前月比は先行き試算値最頻値で▲1.0%の低下になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲2.9%~+0.9%になっています。
 
 4月の財務省貿易統計で輸出金額の季節調整済み前月比は+0.9%の増加になりました。4月の日銀・輸出物価指数の前月比は+2.0%です。一方、4月の日銀の実質輸出の前月比は+0.1%の増加になりました。
 
 景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年10月44.5、11月44.2、12月45.5、24年1月46.7、2月48.8、3月47.3、4月46.7と、4月は3月から低下しました。
 
 ロイター短観(400社ベース)の製造業・業況判断DIは、3月10から4月9に1ポイント低下しました。なお、5月8日~5月17日の調査機関の5月も9になっています。一方、QUICK短観の製造業・業況判断DIは、3月7から4月は11に4ポイント上昇しました。5月1日~5月14日の調査機関の5月は14に上昇しています。
 
 このような関連データを、総合的に判断し予測しました。

※2024年4月は筆者予測値

4月商業販売額・小売業の前年同月比は3月+1.1%からやや鈍化するものの、26カ月連続増加か。(5月31日発表)

 4月30日に発表された商業販売額・小売業・3月速報値の前年同月比は+1.2%と⒉月確報値の+4.7%から3.5ポイント増加率が鈍化しました。5月16日に発表された3月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+1.1%に下方修正されました。
 
 5月31日に発表される4月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+1.0%程度と3月確報値の+1.1%から増加率は若干鈍化すると予測します。
 
 4月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均は+16.5%で3月の+21.7%から5.2ポイント縮小していることを参考にして、各種商品小売業・4月前年同月比は3月の+6.2%から増加率が縮小するとみました。
 
 また、燃料小売業の4月の前年同月比は3月の+7.4%からやや低い伸び率になるとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、4月は+4.0%程度と3月の+4.1%程度から僅かに上昇率が鈍化しました。
 
 一方、自動車小売業の4月前年同月比は3月の▲15.4%から減少率がかなり縮小するとみました。一部工場稼働再開の動きを受けて、新車新規登録届出台数(乗用車)の4月前年同月比は▲10.6%で3月の▲19.6%から減少率が縮小しているからです。
 
 なお、景気ウォッチャー調査で3月から4月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、44.6から45.9へと1.3ポイント低下しています。これらの関連データの動きを総合的に判断し予測しました。
 

※2024年4月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。