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6月国内企業物価指数・前年同月比、5月から上昇率高まると予測。5月機械受注(除船電民需)前月比は2カ月連続の減少を予測。―日本の主要経済指標予測(2024年7月1日)―

電気・都市ガス価格激変緩和策の割引額半減という上昇要因と、非鉄金属の鈍化要因が混在。6月国内企業物価指数・前年同月比は+2.6%程度と5月から若干上昇率が高まると予測。(7月10日発表) 

 5月の国内企業物価指数・前年同月比は+2.4%になりました。39カ月連続前年同月比プラスが続いています。+0.9%から+1.1%に上方修正された4月から1.3ポイント上昇率が高まりました。
 
 国内企業物価指数・前年同月比は22年12月の+10.6%をピークにして23年12月+0.3%・24年1月の+0.3%まで鈍化傾向でしたが、2月は+0.7%と14カ月ぶりに前月を上回りました。3月以降も5月までも前年同月比は前月を上回りました。
 
 再生可能エネルギー発電促進賦課金単価が引き上げられたことが主因です。5月の電力・都市ガス・水道は前年同月比▲7.4%と4月の同▲19.6%から下落率が大きく縮小しました。 

 上昇した類別をみると、5月は非鉄金属が前年同月比+20.7%と4月の+11.8%から大きく上昇しました。一方、23年2月の前年同月比が+8.5%もあった飲食料品の前年同月比は4月に+3.1%に鈍化したあと、5月も+3.1%と同じ前年同月比にとどまりました。 

 6月の国内企業物価指数の前年同月比は+2.6%程度と5月の+2.4%から若干上昇率を高めると予測します。前月比は+0.1%程度と見ました。国内企業物価の上昇を抑制してきた電気・都市ガス価格激変緩和策は5月使用分(6月請求分)で割引額が半減され、6月使用分(7月請求分)で措置が一旦終了しました(8月使用分から3カ月復活)。6月、7月の2カ月連続で、この影響は、電力・都市ガス・水道の前年同月比の変動を通じて、国内企業物価・前年同月比の上昇要因になります。 

 一方、国内企業物価指数に対し先行性がある関連指標の日経商品指数42種は、6月は前月比▲0.1と6カ月ぶりに低下しました。5月は+3.9%の上昇と、これまでの伸び率を高めてきた日経商品指数42種・非鉄金属が、中国経済の不透明感を背景に前月比▲1.6%となり、低下に寄与しました。6月の日経商品指数42種・非鉄金属の前年同月比は+23.4%で、5月の+31.1%から7.7ポイント上昇率が鈍化しました。全体の日経商品指数42種の6月前年同月比は+7.4%で、5月の+8.4%から1.0ポイント上昇率が鈍化しました。こちらは国内企業物価指数の低下要因になるとみました。 

※国内企業物価指数24年6月前年同月比は筆者予測値


5月機械受注(除船電民需)・前月比は2カ月連続の減少になると予測。(7月11日発表)

 設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力除く民需、以下、除船電民需)の4月前月比は▲2.9%と3カ月ぶりの減少になりました。製造業は前月比▲11.3%と3カ月ぶりの減少。非鉄金属、食品製造業等の8業種が増加で、造船業、 情報通信機械等の9業種は減少となりました。非製造業(除船電)は+5.9%と2カ月ぶりの増加になりました。非製造業・全体では+18.1%と2カ月ぶりの増加でした。鉱業・採石 業・砂利採取業、電力業等の8業種で増加、リース業 (30.4%減)、卸売業・小売業等の4業種は減少となりました。
 
 4月の機械受注(除船電民需)の大型案件はありませんでした。3月の機械受注(除船電民需)の大型案件は全部で5件でした。内訳は、製造業・非鉄金属の金属加工機械1件、製造業・造船業の内燃機関3件、非製造業・通信業の通信機の1件でした。
 
 4月の機械受注(除船電民需)の3カ月移動平均が前月比+2.4%と3カ月連続の増加になり、内閣府の基調判断は2カ月連続で「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」になりました。
 
 5月機械受注(除船電民需)の前月比は▲0.5%程度と2カ月連続の減少を予測します。機械受注(除船電民需)の3カ月移動平均は前月比▲0.2%程度と4カ月ぶりに僅かですが減少になるとみます。5月の前年同月比は+5.0%程度と、3月の+0.7%から増加率が拡大し3カ月連続の増加になると予測します。
 
 関連データである、日本工作機械工業会の工作機械の国内向け受注額をみると、24年5月・速報値の前年同月比は▲7.9%です。21年3月から22年8月まで18カ月連続増加となった後、19カ月ぶりの減少になった22年9月は▲8.9%でした。以降、10月▲11.4%、11月▲8.7%、12月▲17.4%、23年1月▲1.7%、2月▲20.2%、3月▲18.0%、4月▲21.5%、5月▲23.6%、6月▲30.4%、7月▲24.2%、8月▲31.0%、9月▲14.1%、10月▲24.5%、11月▲28.4%、12月▲9.5%のあと、24年に入って1月▲29.5%、2月▲16.4%、3月▲0.2%、4月▲12.8%に続き、21カ月連続の減少になりましたが、5月はマイナス幅が縮小しました。

※24年5月は筆者予測値

景気ウォッチャー調査の24年5月設備投資関連・現状判断DIは71.4、先行き判断DIは52.8。

 景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、23年6月52.1(回答したウォッチャー12人)、7月53.6(同7人)、8月50.0(同4人)、9月60.0(同10人)、10月50.0(同7人)、11月50.0(同7人)、12月59.4(同8人)、24年1月46.4(同7人)、2月48.1(同13人)、3月53.6(同7人)、4月58.3(同9人)、5月71.4(同7人)と推移しています。24年5月では、「生成AI市場が注目を浴びている中、AI向け高付加価値DRAMの需要が非常に高くなっており、在庫を抱えていた顧客が設備投資に前向きになっている。(東北:電気機械器具製造業(企画担当))」というコメントがありました。
 
 また、設備投資関連・先行き判断DIは23年6月52.8(回答したウォッチャー9人)、7月60.7(同7人)、8月54.2(同6人)、9月62.5(同6人)、10月58.3(同6人)、11月50.0(同13人)、12月45.8(同6人)、24年1月60.0(同10人)、2月62.6(同11人)、3月50.0(同7人)、4月50.0(同8人)、5月52.8(同9人)と推移しています。と推移しています。24年5月では、「円安の影響もあり、企業が設備投資を控えている印象を受ける。賃上げを実施している企業も多いようだが、その分が消費にはまだ回っていない様子である。政府の通貨政策もあり、企業も消費者も今後の景気動向に不安を感じている印象はあるが、この先の景気に大きな影響はないものと予想する。(東海:公認会計士)」というコメントがありました。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。