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9月の自殺者数・暫定値は前年同月比▲11.6%、5カ月連続減少。9月の完全失業率は2.6%程度を予測―日本の主要経済指標予測(2023 年10月16日)―

9月有効求人倍率は1.29倍を予測。8月は1.294倍と1.30倍に限りなく近い1.29倍だった(10 月 31日発表)

 9 月29日に発表された8 月の有効求人倍率は1.29倍で7月と同じになりました。求職では、物価高で実質賃金が伸び悩み中、転職などをめざす動きが出ています。求人は、人手不足の宿泊業・飲食サービス業などの業種では増えているものの、原材料高による収益悪化で製造業や建設業で求人を抑える動きが見られました。

 8月の有効求人数は前月比+0.1%の増加、有効求職者数は前月比▲0.2%の減少になりましたが、変動率は小幅だったため、有効求人倍率は7月1.2897倍から8月1.2936倍へと増加したものの、小数点第二位までだと四捨五入の関係で、どちらも1.29倍になりました。

 景気動向指数の先行系列に採用されている新規求人数は8月では前月比+2.8%と2カ月連続増加しました。新規求職者数も2カ月連続増加しましたが前月比は+0.2%でした。

 求人倍率などの指標は、厚生労働省からハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめたものが毎月公表されています。有効求人倍率の 1.00 倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1 を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。
 
 9月の有効求人倍率は 1.29倍程度を予測します。予測通りなら7 月と8月に続いて 3カ月連続同水準になります。

 景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:50 が判断の分岐点)は 22 年 10 月の 52.8 をピークに 1 月の
47.2 まで低下基調にありましたが、その後 2 月 51.2、3 月 53.9、4 月 53.4、5 月54.4、6 月54.3 のあと7月55.3に極大値をつけますが、8月52.5、9月51.5とやや弱含みに推移しています。一方、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は8月2.33倍で、7月の2.27倍に比べて0.06ポイント上昇しました。また、8月の有効求人倍率1.294倍 と極めて1.30倍に近い1.29倍であったことも考慮しました。

※2023年9月は筆者予測値


9 月完全失業率は 2.6%程度と8月の2.7%から低下か(10 月 31日発表)

 9 月 29日に発表された8月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第 1 位までの季節調整値)は 2.7%で7月と同水準でした。8月は就業者数が6,773万人と前年同月から22万人増加しました。13か月連続の増加です。完全失業者数は186万人と前年同月から9万人増加しました。2か月連続の増加です。求職理由別に前年同月と比べると、「勤め先や事業の都合による離職」が3万人減少。「自発的な離職(自己都合)」が11万人の増加。「新たに求職」が2万人減少しました。

 ちなみに、8月の完全失業率は小数点第2位までだと2.66%です。7月は2.65%でした。8月の女性の失業率は2.43%で7月の2.58%から低下しましたが、一方、8月の男性の失業率は2.87%で7月の2.73%から上昇しました。男女別の失業率の動きは6月から7月にかけてのものと逆の動きになりました。

 9月の完全失業率(季節調整値)は 2.6%程度と 8月の 2.7%から低下すると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第 2 位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、23 年 1 月 2.42%、2 月2.60%、3 月 2.81%、4 月 2.59%、5 月 2.55%、6 月 2.48%、7月 2.65%、8月 2.66%と推移しています。仮に9月に0.02ポイント低下すれば2.64%で2.6%になります。また、原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である 23 年9 月の推計季節指数は1.023で 23 年 8月の1.004より大きいため、季節調整値の完全失業率は8 月の 2.7%から大きく上昇する可能性は小さいとみました。

 自殺の原因には経済・生活問題も多く、78 年から 22 年までの 45 年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は 0.91 と完全一致の 1 に近い強い正の相関があります。自殺者数の前年同月比は 23 年 1 月+8.7%、2 月+10.6%、3 月+1.5%、4 月+7.5%の増加のあと、5月は▲13.3%と13 カ月ぶり減少になり、その後6月は▲10.6% 、7 月▲3.3%、8 月▲4.4%、9 月暫定値は▲11.6%と5カ月連続の減少になりました。減少率は2カ月連続で拡大しています。こうした情報を総合的に判断し予測しました。

9 月新設住宅着工戸数の前年同月比は、4カ月連続の減少か(10 月 31日発表)

 9 月29 日に発表された8月の新設住宅着工戸数は、前年同月比▲9.4%の7万399戸で、3カ月連続減少しました。資材価格高騰などから減少傾向が続いています。季節調整済み年率換算81.2万戸で前月比+4.5%の増加でした。

 持ち家は前年同月比▲5.9%で21カ月連続の減少、貸家は前年同月比▲6.2%と2か月ぶりの減少になりました。分譲住宅は前年同月比▲15.5%で3カ月連続の減少、うちマンションは昨年8月に大型物件の着工があった反動が出て前年同月比▲26.4%と大幅マイナス、2カ月連続の減少となりました。

 9月の新設住宅着工戸数の前年同月比は▲4.5%程度と 7月の▲9.4%から減少率は縮小するものの、4カ月連続の減少になると予測しました。9月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は82.0万戸程度、前月比は+1.0%程度の増加になるとみました。

 景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、23 年 1 月 40.7、2 月40.0、3 月 42.3、4月 42.6、5 月 43.2 、6月 43.2 、7月 43.4、8月 41.5、9月 43.8と 推移していることなどを参考に予測しました。

※2023年9月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。