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7月貿易統計・出超額は7月中旬の輸出が前年比プラスに転じたことなどからみて、2カ月連続で若干の黒字を予測。7月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は、6月から鈍化か―日本の主要経済指標予測(2023年8月8日)―

7月貿易統計・通関収支差は950億円程度の黒字を予測(8月17日発表)

 7月28日に発表された6月分貿易統計確報によると、輸出金額は8兆7,438億円、前年同月比+1.5%で28か月連続の増加、輸入金額は8兆7,007億円、▲12.9%減で3か月連続の減少となりました。輸出と輸入の差引額は431億円と23か月ぶりの黒字になった。輸出では、自動車、建設用・鉱山用機械、船舶などが増加し、鉱物性燃料、鉄鋼、半導体等製造装置などが減少しました。一方、輸入では、原粗油、石炭、液化天然ガスが減少しました。
  7月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は950億円程度と2カ月連続で若干の黒字になると予測します。前年同月の▲1兆4,219億円の赤字から黒字に転じると予測しました。なお、7月上中旬の通関収支差は▲2,482億円で、前年同旬比▲81.0%の赤字幅縮小となっています。
  7月の輸出額は8兆7,575億円程度、前年同月比は+0.1%程度とかなり微妙ですが29カ月連続の増加になると予測します。7月上中旬で輸出額は前年比▲0.2%でした。輸出が大きく増加した品目は自動車で、大きく減少した品目は鉱物性燃料、半導体等製造装置、半導体等電子部品でした。但し、7月中旬の輸出を試算してみると前年比+6.9%程度と7月上旬の▲7.3%程度のマイナスからプラスに転じたことなどを月間分の予測に反映させました。
  7月の輸入額は8兆2,662億円程度、前年同月比は▲14.9%程度と4カ月連続の減少になると予測します。7月上中旬で輸入額は前年比▲19.9%の減少でした。輸入で大きく増加した品目は、無く。大きく減少した品目は石炭、原粗油、LNGでした。なお7月中旬の輸入額は前年比▲10.6%程度の減少になります。
  7月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は72,606円/klで前年同旬比▲27.2%程度の低下でした。数量は前年同旬比▲11.4%程度の減少、金額は前年同旬比▲35.5%程度の減少でした。7月月間の単価(入着原油価格)の前年同月比は、4カ月連続の下落になる可能性が大きいと思われます。輸入全体の金額の減少要因になるでしょう。
 

※2023年7月は筆者予測値

7月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比+3.1%程度と6月+3.3%から伸び率が鈍化すると予測。(8月18日発表)

  6月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.3%と、5月の+3.2%から2カ月ぶりに上昇しました。6月の生鮮食品を除く総合も前年同月比で+3.3%と5月の+3.2%から2カ月ぶりに上昇しました。大手電力7社が6月に家庭向けの電気料金を引き上げた影響が出ました。生鮮食品を除く食料は+9.2%の上昇で、伸び率は5月から横ばい、1975年10月の+9.9%以来となる高水準でした。なお、政府の電気・ガス料金の抑制策と全国旅行支援の政策効果で、総合指数の上昇率は1.1ポイント程度抑えられました。また、高病原性鳥インフルエンザやエサ台の高騰の影響で、鶏卵は前年同月比+35.7%と高い伸び率になっていました。
  6月の生鮮食品とエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.2%で、上昇率は5月から0.1ポイント縮小しました。前年同月比が前月を下回ったのは22年1月以来17カ月ぶりになります。
  7月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.3%程度と6月の+3.3%と同程度の伸び率になり、23カ月連続の上昇になると予測しました。7月の前月比は+0.4%程度とみました。政府の電気・ガス料金の負担軽減策(寄与度、2月▲1.01%、3月▲1.00%、4月▲1.00%、5月▲1.00%、6月▲1.00%)や、全国旅行支援(寄与度、2月▲0.13%、3月▲0.13%、4月▲0.05%、5月▲0.05%、6月▲0.12%)は引き続き物価安定要因として働くとみます。但し、ガソリン補助金は6月から段階的に縮小され9月末で終了することになっているので、7月にはその影響が上昇要因として現れます。一方、鶏卵の前年同月比は、高病原性鳥インフルエンザが発生しなくなったことなどで卸売価格が鈍化傾向にあり、消費者物価指数でも高い伸び率ながら鈍化することが期待されます。
  7月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+3.1%程度と6月の+3.3%と0.2ポイント程度上昇率が鈍化するものの、23カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.2%程度とみました。7月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.4%程度と6月の+4.2%から0.2ポイント程度上昇率が高まり、16カ月連続の上昇になるとみました。+4.4%という伸び率は42年1カ月前の81年6月の+4.5%以来の高水準です。前月比は+0.6%程度と予測しました。
  既に発表されている7月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と7月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータを参考にして予測しました。
関連データである7月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+3.2%と6月の+3.2%と同じ上昇率になりました。7月の電気代は前年同月比▲16.7%と6月の▲10.9%から下落率が拡大し、前年同月比寄与度差は▲0.20%と低下要因になりました。一方、7月は、ガソリンの前年同月比寄与度差は+0.01%と上昇要因になりました。生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差は+0.02%の上昇要因に、宿泊料の前年同月比寄与度差は+0.12%の上昇要因に、通信料(携帯電話)の前年同月比寄与度差は+0.07%の上昇要因になりました。また、大阪市消費者物価指数・総合・7月(中旬速報値)前年同月比は+3.4%で6月の+3.4%と同じ伸び率でした。
  7月の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+3.0%で6月の+3.2%から0.2ポイント上昇率が鈍化しました。一方、大阪市の7月は前年同月比+3.2%で6月の+3.4%から0.2ポイント上昇率が鈍化しました。
7月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+4.0%と6月の+3.8%から0.2ポイント上昇率が高まりました。一方、大阪市の7月前年同月比は+4.9%で6月の+4.8%から0.1ポイント上昇率が高まりました。

※全国消費者物価指数7月前年同月比は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。