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4月貿易統計・通関収支差は2カ月ぶりの赤字に。4月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は3月から上昇率鈍化だが、高校授業料無償化の違いで東京都区部ほど鈍化しない見込み。―日本の主要経済指標予測(2024年5月13日)―

4月貿易統計・通関収支差は▲1,200億円程度と2カ月ぶりの赤字を予測。(5月22日発表)

 4月26日に発表された3月貿易統計確報によると、輸出金額は9兆4,693億円、前年同月比+7.3%で4カ月連続の増加、輸入金額は9兆823億円、前年同月比▲5.1%で2カ月ぶりの減少となりました。輸出と輸入の差引額は3,870億円と3カ月ぶりの黒字になりました。前年3月は▲7,509億円の赤字でした。
 
 前年同月比でみて、輸出では、自動車、半導体等電子部品、船舶などが増加しました。大きく減少した品目はありませんでした。一方、輸入では、航空機類などが増加し、石炭、LNG、非鉄金属などが減少しました。
 
 4月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲1,200億円程度と2カ月ぶりの赤字になると予測します。前年同月の▲4,298億円から赤字幅が▲72.1%程度縮小すると予測しました。なお、4月上中旬の通関収支差は▲8,500億円で、前年同旬の▲,747億円から赤字幅が▲2.8%程度縮小しています。
 
 4月の輸出額は9兆1,769億円程度、前年同月比は+10.7%程度と5カ月連続の増加になると予測します。4月上中旬で輸出額は前年比+11.5%の増加でした。輸出が大きく増加した品目は自動車、半導体等電子部品、半導体製造装置などでした。大きく減少した品目はありませんでした。
 
 4月の輸入額は9兆2,969億円程度、前年同月比は+6.6%程度と2カ月ぶりの増加になると予測します。4月上中旬で輸入額は前年比+9.4%の増加でした。輸入で大きく増加した品目は原粗油、航空機類、電子計算機類(含む周辺機器)などでした。大きく減少した品目は石炭でした。
 
 4月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は81,053円/㎘で前年同旬比+17.2%程度の上昇でした。数量は前年同旬比+9.1%程度の増加、金額は前年同旬比+27.8%程度の増加でした。

※2024年4月は筆者予測値

4月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.3%程度と、3月の+2.6%から上昇率鈍化を予測。(5月24日発表)

 3月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.7%と2月の+2.8%から伸び率が0.1ポイント鈍化したものの、31か月連続上昇しました。生鮮食品の前年同月比3月は+5.5%で2月の+2.5%から上昇率が高まり+0.12ポイント総合の前年同月比の上昇に寄与しました。一方、生鮮食品を除く食料の前年同月比3月は+4.6%で2月の+5.3%から上昇率が鈍化し▲0.14ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。
 
 3月の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で+2.6%と2月の+2.8%から0.2ポイント伸び率が鈍化したものの、31か月連続での前年同月比上昇でした。
 
 エネルギー価格の前年同月比3月は▲0.6%で2月の▲1.7%から下落率が縮小し+0.09ポイント総合・前年同月比の上昇に寄与しました。
 
 3月の生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は前年同月比+2.9%上昇で、+3.2%だった2月分から0.3ポイント低下しましたが、24カ月連続での前年同月比上昇になりました。
 
 4月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.5%程度と3月の+2.7%からポイント程度上昇率が鈍化するものの、32カ月連続の上昇になると予測しました。前月比は+0.2%程度とみました。
 
 4月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.3%程度と3月の+2.6%から0.3ポイント程度上昇率が鈍化するものの32カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.1%程度とみました。4月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+2.6%程度と3月の+2.9%ら0.3ポイント程度上昇率が鈍化するものの、25カ月連続の上昇になるとみました。前月比は+0.1%程度と予測しました。
 
 既に発表されている4月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と4月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータなどを参考にして予測しました。
 
 4月の東京都区部消費者物価指数・総合・前年同月比は3月の+2.6%から+1.8%に0.8ポイントと鈍化しました。生鮮食品を除く総合・前年同月比は+1.6%上昇と3月の+2.4%から0.8ポイント縮小しました。生鮮食品を除く総合の前年同月比、22年3月+0.8%以来の低い上昇率となりました。4月の生鮮食品とエネルギーを除く総合指数・前年同月比は3月の+2.9%から+1.8%に0.9ポイント鈍化しました。
 
 東京都では24年度より高校の授業料助成の所得制限を撤廃し実質無償化しました。これが4月の東京都区部消費者物価指数に影響しました。高等学校授業料(公立)の2020年=100とした指数は3月までの100.0から5.5に低下しました。高等学校授業料(私立)は3月までの100.9から38.7に低下しました。また、東京23区では小中学校の給食費無償化が実現したことも影響しました。学校給食の2020年=100とした指数は23年3月で103.7だったが、9月51.3、24年3月35.7と給食費無償化を実施する特別区が増えるたびに低下し、24年4月に遂に0.0になりました。
 
 前年同月比をみると、4月の私立高校の授業料は▲61.7%低下しました。3月は+0.6%上昇でした。3月から4月へかけて▲0.41%ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。また、4月の公立高校の授業料は▲94.5%低下しました。3月は0.0%と横ばいでした。3月から4月へかけて▲0.08%ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。高校授業料無料化の影響は合計で▲0.49ポイントです。この影響を除くと、0.8ポイントだった総合の前年同月比の低下は0.3ポイントの低下にとどまることになります。
 
 4月の大阪市消費者物価指数をみると、総合は・前年同月比は+2.4%で3月と同じ伸び率でした。生鮮食品を除く総合・前年同月比は+2.0%で3月の+2.3%から0.3ポイントの低下にとどまりました。生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+2.3%と3月の+2.8%から0.5ポイント上昇率が低下しました。大阪市では大学授業料(私立)やPTA会費(小学校)の上昇があり、授業料という項目は上昇しています。
 
 4月の全国消費者物価指数では、他の地域の多くが東京都のような無償化を4月に実施できていないと思われるので、影響はあまり大きくないと思われます。

※全国消費者物価指数24年4月前年同月比は筆者予測

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。