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9月鉱工業生産指数は輸出動向などから見て3カ月ぶり前月比上昇か。9月商業販売額・小売業の前年同月比は8月から伸び率が鈍化すると予測―日本の主要経済指標予測(2023年10月23日)―

9月の鉱工業生産指数の関連指標、景気ウォッチャー調査・製造業DIなどは低下だが、実質輸出、製造工業生産予測指数などは前月比上昇を示唆(10月31日発表)

 9月29日に発表された8月の鉱工業生産指数・速報値は、前月比0.0%と横ばいになりました。経済産業省の基調判断は「生産は一進一退で推移している」で、3月~6月の「生産は緩やかな持ち直しの動き」から下方修正になった7月と同じでした。
 
 8月速報値では、石油・石炭製品工業等が上昇する一方で、自動車工業等が低下したことなどから、全体として横ばいとなりました。8月速報値の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、5業種が上昇、10業種が低下という結果でした。上昇寄与度の最も大きかった石油・石炭製品工業は、生産設備の定期修理の完などを受けたガソリンや灯油等が主な上昇要因となりました。一方で、低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、工場の稼働停止などを受けて低下した普通乗用車や、シャシー・車体部品等が主な低下要因となりました。
 
 10月16日に発表された鉱工業生産指数・8月確報値の前月比は▲0.7%の低下と、医薬品・コーヒー飲料等により速報値から下方修正されました。前月比は2カ月連続の減少となりました。業種ごとにみると全体16業種のうち、新たに食料品・たばこ工業が加わり6業種が上昇、10業種が低下という結果でした。
 
 10月31日に発表される9月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は+2.6%程度と、3カ月ぶりの上昇になると予測しました。また、9月の前年同月比は▲2.3%程度と3カ月連続の低下になると予測しました。
 
 製造工業生産予測指数の9月は前月比+5.8%の上昇の見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、9月の前月比は先行き試算値最頻値で3.7%の上昇になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は+2.4%~+5.0%になっています。
 
 9月の財務省貿易統計で輸出金額の前月比は+7.2%になりました。日銀の輸出物価指数の9月の前月比は+1.7%です。9月の日銀の実質輸出の前月比は+4.6%の増加になりました。
 
 一方、景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年1月43.1、2月43.6、3月46.8、4月46.2、5月48.6、6月48.8、7月46.1、8月47.1、9月43.7と、9月は8月から低下しました。ロイター短観(400社ベース)、QUICK短観ともに製造業・業況判断DIは、9月は8月から低下していました。
 
 このような関連データなどを、総合的に判断し予測しました。

※2023年9月は筆者予測値

9月商業販売額・小売業の前年同月比は8月+7.1%増加を下回る伸び率か(10月31日発表)

 9月29日に発表された8月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+7.0%と7月確報値の+7.0%と同じ増加率でした。10月16日に発表された8月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+7.1%に上方修正されました。
 
 10月31日に発表される9月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+5.1%程度と8月確報値の+7.1%から増加率が縮小すると予測します。
 
 9月の大手百貨店5社の売上高・前年同月比の単純平均は+16.3%で8月の+18.3%から2.0ポイント縮小していることなどを参考にして、各種商品小売業・9月前年同月比は8月の+7.2%から増加率が縮小するとみました。また、自動車小売業の9月前年同月比は8月の+8.8%から増加率が縮小するとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の9月前年同月比は+12.4%で8月の+18.8%から増加率が鈍化しているからです。燃料小売業の9月の前年同月比は8月の+8.6%から増加率がやや拡大する可能性が高いとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、9月は+8.1%程度と8月の+7.9%程度の上昇率が若干高まりました。
 
 なお、景気ウォッチャー調査で8月から9月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、53.6から47.7へ低下しています。これらを総合的に判断し予測しました。

※2023年9月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。