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2月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度へ、電気・ガス価格激変緩和効果一巡で1月の+2.0%から上昇―日本の主要経済指標予測(2024年3月8日)―

2月貿易統計・通関収支差は▲8,700億円程度と2カ月連続の赤字を予測。(3月21日発表)

 2月28日に発表された1月貿易統計確報によると、輸出金額は7兆3,328億円、前年同月比+11.9%で2カ月連続の増加、輸入金額は9兆931億円、前年同月比▲9.6%で10カ月連続の減少となりました。輸出と輸入の差引額は▲1兆7,603億円と2カ月ぶりの赤字になりました、前年同月比は▲49.8%で赤字幅縮小になりました。
 
 前年同月比でみて、輸出では、自動車、半導体等製造装置、自動車の部分品などが増加し、鉱物性燃料などが減少しました。一方、輸入では、石炭、LNG、通信機などが減少しました。
 
 2月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲8,700億円程度と2カ月連続の赤字になると予測します。前年同月の▲9,199億円の赤字から前年同月比▲5.4%赤字幅が縮小すると予測しました。なお、2月上中旬の通関収支差は▲8,065億円で、前年同旬比+5.4%の赤字幅拡大となっています。
 
 2月の輸出額は7兆7,149億円程度、前年同月比は+0.8%程度と3カ月連続の増加になると予測します。2月上中旬で輸出額は前年比▲0.7%の減少でした。輸出が大きく増加した品目は自動車で、大きく減少した品目は鉱物性燃料、半導体製造装置、半導体等電子部品でした。
 
 2月の輸入額は8兆5,849億円程度、前年同月比は+0.1%程度と微妙ですが11カ月ぶりの増加になると予測します。2月上中旬で輸入額は前年比+0.1%の増加でした。輸入で大きく増加した品目は衣類・同付属品、電子計算機類(含む周辺機器)、金属製品、大きく減少した品目は石炭、LNG、半導体等電子部品でした。
 
 2月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は77,802円/㎘で前年同旬比+9.3%程度の上昇でした。数量は前年同旬比▲8.2%程度の減少、金額は前年同旬比+0.3%程度の増加でした。

※2024年2月は筆者予測値


2月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度と、データ収集方法の変更による外国パック旅行費・前年同月比の高騰で事前予測が総外れだった1月実績+2.0%から上昇を予測。(3月22日発表)

 1月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.2%と12月の+2.6%から伸び率が0.4ポイント鈍化しましたが、29か月連続上昇しました。生鮮食品の前年同月比1月は+4.7%で12月の+9.7%から上昇率が鈍化し、▲0.19ポイント総合の前年同月比の鈍化に寄与しました。生鮮食品を除く食料の前年同月比1月は+5.9%で12月の+6.2%から上昇率が鈍化し▲0.08ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。
 
 1月の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で+2.0%と12月の+2.3%を0.3ポイント鈍化したものの、29か月連続での前年同月比上昇でした。22年5月+2.1%以来の低い伸び率となりましたが、事前にほとんどのエコノミストが予測した22年3月の+0.8%以来22カ月ぶりの+2.0%割れにはなりませんでした。
 
 外国パック旅行費が前年同月比+62.5%と高騰したためで、これがなければ+2.0%ではなく+1.8%でした。外国パック旅行費のデータ収集方法として、Webスクレイピングによる方法を20年1月に開始した後、コロナ禍で海外への渡航が制約され安定的にデータが取れなくなったため21年1月から停止されていました。前年同月比は0.0%が続いてきました。23年5月新型コロナ感染症が5類になり、制約が緩和されたことを受け、Webスクレイピングによる収集自体は再開したものの、安定的に収集できるかを確認する時間が必要だったため、実際に公表資料に反映したのは、24年1月の全国分からでした。1月の東京都区部分に関しては、2月のデータ公表時に1月に遡ってデータは修正されました。3年分の価格変化が一気に反映されたため、高い前年同月比になったようです。アナウンスなしの突然のデータ変更のため、エコノミストの予測は概ね総外れ状態になりました。
 
 エネルギー価格の前年同月比1月は▲12.1%で12月の▲11.6%から下落率が拡大し▲0.05ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。電気代は▲21.0%下落、都市ガス代は▲22.8%下落と、ともに12月より下落率が大きくなりました。政府の電気・ガス価格激変緩和対策により▲0.48ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。一方、ガソリンは前年同月比+4.7%で、12月の+4.5%を上回ましたが、総合・前年同月比の上昇への寄与は0.00%でした。
 
 なお、自動車保険料(任意)は総合・前年同月比の上昇への寄与は+0.09%になりましたが、インフレのため修理料金の上昇と、移動制約緩和後の交通事故増加によるもののようです。
 
 生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は前年同月比+3.5%上昇で、+3.7%だった12月分から0.2ポイント低下しましたが、22カ月連続での前年同月比上昇になりました。
 
 2月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.9%程度と1月の+2.2%から0.7ポイント程度上昇率が高まり、30カ月連続の上昇になると予測しました。2月の前月比は+0.1%程度とみました。
 
 2月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度と1月の+2.0%から0.7ポイント程度上昇率が高まり、30カ月連続の上昇になると予測します。前月比は0.0%程度とみました。2月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+3.3%程度と1月の+3.5%から0.2ポイント程度上昇率が鈍化するものの、23カ月連続の上昇になるとみました。前月比は+0.2%程度と予測しました。
 
 既に発表されている2月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と2月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータを参考にして予測しました。
 
 関連データである2月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+2.6%と1月の+1.8%から0.8ポイント上昇率が高まりました。24年2月の前月比(季節調整済み)は+0.1%ですが、23年2月の前月比が電気・ガス価格激変緩和対策開始の影響を主因に、▲0.4%低下した反動が影響しています。また、2月の生鮮食品は前年同月比+3.5%と1月の+3.7%から上昇率が鈍化し、前年同月比寄与度差は▲0.01%の低下要因になりました。
 
 2月のエネルギーの前年同月比は▲7.9%と1月の▲20.1%から下落率が縮小し、寄与度差は+0.82%の上昇要因になりました。うち、電気代は前年同月比▲4.9%のマイナスで、電気代だけで総合の前年同月比寄与度差が+0.62ポイントの上昇要因、都市ガス代は前年同月比▲16.4%のマイナスで、都市ガス代だけで総合の前年同月比寄与度差が+0.21ポイントの上昇要因となりました。
 
 生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差が▲0.14%の下落要因になりました。宿泊料は前年同月比+33.3%と1月の+26.9%から上昇したため、総合の前年同月比寄与度差が+0.07ポイントの上昇要因となりました。
 
 2月の生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.5%と1月の+1.8%から0.7ポイント程度上昇率が高まりました。2月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+3.1%程度と1月の+3.3%から0.2ポイント程度上昇率が鈍化しました。
 
 一方、大阪市消費者物価指数・総合・2月(中旬速報値)前年同月比は+2.4%で1月の+1.7%から0.7ポイント伸び率を高めました。2月の生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.5%と1月の+1.6%から0.9ポイント程度上昇率が高まりました。2月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+3.1%程度と1月の+3.4%から0.3ポイント程度上昇率が鈍化しました。

※全国消費者物価指数24年2月前年同月比は筆者予測

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。