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11月鉱工業生産指数は3カ月ぶりに前月比低下か。11月商業販売額・小売業の前年同月比は10月から伸び率が鈍化すると予測―日本の主要経済指標予測(2023年12月20日)―

11月鉱工業生産指数の関連指標、景気ウォッチャー調査・製造業DI、製造工業生産予測指数などは前月比低下を示唆(12月28日発表)

 11月30日に発表された10月の鉱工業生産指数・速報値は、前月比+1.0%と2か月連続の上昇になりました。経済産業省の基調判断は「生産は一進一退で推移している」で、3月~6月の「生産は緩やかな持ち直しの動き」から下方修正になった7月から4カ月連続同じ判断になりました。
 
 10月速報値では、全体15業種のうち、10業種が上昇、5業種が低下という結果でした。電子部品・デバイス工業や自動車工業等の多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇しました。
 
 12月14日に発表された鉱工業生産指数・10月確報値の前月比は+1.3%の上昇と、速報値から上方修正されました。生産 の上方修正は、医薬品、チューハイ・カクテル等によります。業種ごとにみると全体16業種のうち、新たに食料品・たばこ工業が加わり10業種が上昇、6業種が低下という結果になりました。
 
 12月28日に発表される11月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は▲1.9%程度と、3カ月ぶりの低下になると予測しました。また、11月の前年同月比は▲2.5%程度と2カ月ぶりの低下になると予測しました。
 
 製造工業生産予測指数の11月は前月比▲0.3%の低下の見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、11月の前月比は先行き試算値最頻値で▲1.9%の低下になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲3.0%~▲0.8%になっています。
 
 11月の財務省貿易統計で輸出金額の季節調整済み前月比は▲1.8%の減少になりました。日銀の輸出物価指数の11月の前月比は+0.2%です。一方で、11月の日銀の実質輸出の前月比は▲5.7%の減少になりました。
 
 景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年1月43.1、2月43.6、3月46.8、4月46.2、5月48.6、6月48.8、7月46.1、8月47.1、9月43.7、10月44.1、11月43.7と、11月は10月から低下しました。
 
 12月調査の日銀短観の調査期間は他の時期の調査より早めで11月9日から12月12日でした。全規模・製造業・業況判断DIは9月0から12月は5へと上昇しました。ロイター短観(400社ベース)の製造業・業況判断DIは、10月から11月、11月から12月ともに2ポイント、6ポイントそれぞれ上昇しました。QUICK短観の製造業・業況判断DIは、11月は10月から4ポイント低下、12月は11月から2ポイント上昇しました。
 
 このような関連データなどを、総合的に判断し予測しました。

※2023年11月は筆者予測値


11月商業販売額・小売業の前年同月比は10月+4.1%を下回る増加率か(12月28日発表)

 11月30日に発表された10月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+4.2%と9月確報値の+6.2%から増加率が鈍化しました。12月15日に発表された10月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+4.1%に下方修正されました。
 
 12月28日に発表される11月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+3.7%程度と10月確報値の+4.1%から増加率が鈍化すると予測します。
 
 11月の大手百貨店5社の売上高・前年同月比の単純平均は+10.8%で10月の+10.0%から0.8ポイント拡大していることなどを参考にして、各種商品小売業・11月前年同月比は10月の+3.5%から増加率がやや拡大するとみました。一方、燃料小売業の11月の前年同月比は10月の▲1.2%から減少率がやや拡大する可能性が高いとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、11月は+3.5%程度と10月の+3.8%程度から上昇率がやや鈍化しました。また、自動車小売業の11月前年同月比は10月の+9.9%から増加率が縮小するとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の11月前年同月比は+11.7%で10月の+13.1%から増加率が縮小しているからです。
 
 なお、景気ウォッチャー調査で10月から11月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、46.7から46.0へ低下しています。これらを総合的に判断し予測しました。 

※2023年11月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。