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8月鉱工業生産指数は2カ月連続前月比低下か。8月商業販売額・小売業の前年同月比は7月から伸び率が高まると予測―日本の主要経済指標予測(2023年9月20日)―

8月の鉱工業生産指数の関連指標、景気ウォッチャー調査などは前月比上昇を示唆だが、輸出関連指標から低下を判断(9月29日発表)

 8月31日に発表された7月の鉱工業生産指数・速報値は、前月比▲2.0%と2か月ぶりの低下になりました。経済産業省の基調判断は「生産は一進一退で推移している」として、3月~6月の「生産は緩やかな持ち直しの動き」から下方修正になりました。
 
 7月の生産は全15業種のうち10業種で低下しました。半導体製造装置などの生産用機械工業では海外受注の減少が影響し、前月比▲4.8%の減少になりました。スマートフォンの需要低迷を背景に半導体メモリーなどが低調であることが影響し、電子部品・デバイス工業は前月比▲5.1%減少しました。一方、自動車工業など5業種は上昇しました。コロナ禍からの経済回復に伴い航空需要が高まり、緩やかに上昇傾向にある「自動車工業を除く輸送機械工業」は前月比+9.6%の上昇になりました。
 
 9月14日に発表された7月・鉱工業生産指数・確報値の前月比は▲1.8%の低下へと、医薬品・コーヒー飲料等により上方修正されました。業種ごとにみると全体16業種のうち、新たに食料品・たばこ工業が加わり6業種が上昇、10業種が低下という結果でした。
 
 9月29日に発表される8月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は▲1.7%程度と、2カ月連続の低下になると予測しました。また、8月の前年同月比は▲5.4%程度と2カ月連続の低下になると予測しました。
 
 製造工業生産予測指数の8月は前月比+2.6%の上昇の見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、8月の前月比は先行き試算値最頻値で▲1.4%の低下になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲3.1%~+0.3%になっています。
 
 景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年1月43.1、2月43.6、3月46.8、4月46.2、5月48.6、6月48.8、7月46.1、8月47.1と、8月は7月から上昇傾向にありました。ロイター短観(400社ベース)、QUICK短観ともに製造業・業況判断DIは、9月は低下してますが、8月は7月から上昇していました。
 
 一方、8月の財務省の貿易統計で輸出金額の前月比は▲1.7%になりました。日銀の輸出物価指数の8月の前月比は+1.9%です。8月の日銀の実質輸出の前月比は▲6.1%の減少になりました。
 
 トヨタ自動車の部品発注を行うシステムで8月28日にエラー発生し、29日に完成車を生産する国内全14工場が一時的に稼働を停止したことは生産にとってのマイナス要因になりました。
 
 このような関連データなどを、総合的に判断し予測しました。 

※2023年8月は筆者予測値

8月商業販売額・小売業の前年同月比は7月+7.0%増加を上回る伸び率か(9月29日発表)

 8月31日に発表された7月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+6.8%と6月確報値の+5.6%から1.2ポイント増加率が高まりました。9月15日に発表された7月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+7.0%に上方修正されました。6月確報値からみると1.4ポイント増加率が高まりました。
 
 9月29日に発表される8月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+9.8%程度と7月確報値の+7.0%から増加率が拡大すると予測します。
 
 8月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均は+16.9%で7月の+12.0%から4.9ポイント拡大していることなどを参考にして、各種商品小売業・8月前年同月比は7月の+6.3%から増加率が拡大するとみました。また、自動車小売業の8月前年同月比は7月の+8.9%から増加率が拡大するとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の8月前年同月比は+19.8%で7月の+11.4%から増加率が拡大しているからです。燃料小売業の8月の前年同月比は7月の+3.2%から増加率が拡大する可能性が高いとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、8月は+7.9%程度と7月の+1.3%程度の上昇率が高まりました。
 
 なお、景気ウォッチャー調査で7月から8月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、51.9から53.6へ上昇しています。これらを総合的に判断し予測しました。

※2023年8月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。