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6月国内企業物価指数・前月比上昇、前年同月比は僅かな鈍化にとどまるか。5月機械受注・前月比は2カ月ぶりの減少を予測。4~6月期・見通しに対し下振れ傾向に。―日本の主要経済指標予測(2023年7月3日)―

5月分国内企業物価指数・前年同月比は+5.0%程度、21年6月+5.0%以来の伸び率に(7月12日発表)

6月12日に発表された5月の国内企業物価指数・前年同月比は+5.1%と27カ月連続の上昇になりましたが、4月の+5.9%から0.8ポイント縮小しました。電力・都市ガス・水道の前年同月比が+13.1%と、4月の+24.3%から大きく縮小しました。電気料金は再生可能エネルギー普及のための賦課金の単価が下がったことが寄与しました。一方、飲食料品の前年同月比は+7.9%と4月の+7.5%から0.3ポイント上昇率が拡大しました。価格転嫁の動きが続いていることを示唆していると考えられます。
国内企業物価指数・前年同月比は22年12月に+10.6%の直近ピークをつけてから5カ月連続で縮小しています。+5.1%の前年同月比は21年6月の+5.0%以来の23カ月ぶりの低い伸び率です。前月比は▲0.7%の低下でした。
6月の国内企業物価指数の前月比は+0.8%程度の上昇に転じると予測しました。前年同月比は+5.0%程度と、5月の+5.1%から0.1ポイント程度と上昇率が僅かに鈍化し21年6月の+5.0%以来の伸び率になるものの、28カ月連続の上昇になると予測します。前年6月の前月比は+0.9%でした。
国内企業物価指数に対し先行性がある関連指標の日経商品指数42種は、6月は、中国の景気対策への期待で国際価格が上昇したことや円安が急速に進んだことが影響し非鉄金属などが上昇したため前月比+0.9%となりました。食品も上昇しました。但し、前年同月比は+1.3%で、5月分の+1.5%から上昇率が鈍化しています。昨年6月前月比が+1.1%の上昇だったためです。

※国内企業物価指数6月前年同月比は筆者予測

5月の機械受注(除船電民需)・前月比は2カ月ぶりの減少か(7月12日発表)

6月15日に発表された、設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力除く民需、以下、除船電民需)の4月前月比は+5.5%と3カ月ぶりの増加になりました。前年同月比は▲5.9%と2カ月連続の減少でした。大型案件は0件でした。ちなみに3月の大型案件は3件(内訳は非鉄金属1件、造船業2件)でした。内閣府の機械受注の判断は「足踏みがみられる」で、5カ月連続据え置きになりました。
4~6月期は+4.6%の増加となる見通しです。これを達成するには、5月と6月が、各月前月比+3.4%になることが必要です。なお、4~6月期の前期比実績は見通しと比べ09年から22年までの14年間でみると、上振れ6回、下振れ8回であり、どちらもあり得る可能性がある四半期と言えます。
5月機械受注(除船電民需)の前月比は▲3.0%程度と2カ月ぶりの減少を予測しました。4~6月期の見通しに対しては弱い数字になりそうです。機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲3.9%程度と3カ月連続減少になるとみました。
関連データである、日本工作機械工業会の工作機械の国内向け受注額をみると、23年5月の前年同月比は▲23.6%です。21年3月から22年8月まで18カ月連続増加となった後、19カ月ぶりの減少になった9月▲8.9%、10月▲11.4%、11月▲8.7%、12月▲17.4%、23年1月▲1.7%、2月▲20.2%、3月▲18.0%、4月▲21.5%に続き9カ月連続の減少になり、5月の減少率は拡大しました。

※23年5月は筆者予測値

4月・5月2カ月連続70台と高水準になった、景気ウォッチャー調査の設備投資関連・先行き判断DI

景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、22年7月42.9(回答したウォッチャー7人)、8月46.9(同8人)、9月43.8(同4人)、10月51.1(同7人)、11月35.0(同5人)、12月45.8(同6人)、23年1月42.9(同7人)、2月41.7(同3人)、3月64.3(同7人)、4月54.2(同6人)、5月50.0(同6人)と推移しています。5月では、「ゴールデンウィーク等は行楽地への人出が多く、消費が刺激されている様子がうかがえた。また、企業の生産活動も引き続き上向きで、生産量が増加し設備投資も増えている。(北関東:経営コンサルタント」というコメントがありました。

また、設備投資関連・先行き判断DIは22年7月50.0(回答したウォッチャー3人)、8月60.7(同7人)、9月55.6(同9人)、10月31.8(同11人)、11月25.0(同4人)、12月65.0(同10人)、23年1月50.0(同7人)、2月57.1(同7人)、3月62.5(同4人)、4月75.0(同2人)、5月71.4(同7人)と推移しています。5月では、「大手半導体メーカーにおける新用地取得方針の表明等、九州域内で半導体産業を中心として、設備投資の気運が高まっている。産官学連携による更なる進展に期待している。(九州:金融業(調査担当)」というコメントがありました。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。