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6月鉱工業生産指数は2カ月ぶりに前月比低下か。 6月商業販売額・小売業の前年同月比は5月から伸び率鈍化を予測。―日本の主要経済指標予測(2024年7月18日)―

6月鉱工業生産指数の関連指標のうち、実質輸出、輸出数量指数など前月比上昇を示唆するものもあるが、ロイター短観、製造工業生産予測指数、景気ウォッチャー調査など多くは前月比低下を示唆。(7月31日発表)

 6月28日に発表された5月の鉱工業生産指数・速報値は、15業種中、自動車工業、電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業など大半の13業種が上昇、低下は生産用機械工業、無機・有機化学工業の2業種にとどまり、全体として前月比+2.8%と2カ月ぶりに上昇しました。
 
 経済産業省の基調判断は23年7月~12月は「生産は一進一退で推移している」で6カ月連続同じ判断でしたが、24年1月の基調判断については、「一進一退ながら弱含み」に引き下げられ、2月に続き3月~5月も同じ判断で据え置きとなりました。
 
 7月12日に発表された鉱工業生産指数・5月確報値では前月比+3.6%と速報値の同+2.8%から0.8ポイント伸び率が高まりました。生産の上方修正は、医薬品、スピリッツなどによるものです。新たに加わった食料品・たばこ工業は前月比上昇になりました。全16業種中、14業種が上昇、2業種が低下しました。
 
 7月31日に発表される6月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は▲4.0%程度と2カ月ぶりの低下になると予測しました。6月の前年同月比は▲7.6%程度と2カ月ぶりの低下になると予測しました。
 
 鉱工業生産指数・5月速報値段階で発表された製造工業生産予測指数の6月は前月比▲4.8%の低下見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、6月の前月比は先行き試算値最頻値で▲6.0%の低下になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲6.9%~▲5.0%になっています。
 
 6月の財務省貿易統計で輸出金額の季節調整済み前月比は▲0.2%の減少になりました。6月の日銀・輸出物価指数の前月比+0.8%でした。一方、6月の内閣府輸出数量指数は前月比+2.1%になりました。また、6月の日銀の実質輸出の前月比は+1.6%の増加になりました。なお、5月の鉱工業生産指数・前月比は+3.6%で、5月の輸出数量指数は前月比▲4.1%、実質輸出・前月比は▲1.5%で符号が逆です。
 
 景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年10月44.5、11月44.2、12月45.5、24年1月46.7、2月48.8、3月47.3、4月46.7、5月43.0、6月42.6と、6月は5月から低下しました。
 
 ロイター短観(400社ベース)の製造業・業況判断DIは、5月の+9から6月は+6と3ポイント低下しました。なお、7月3日~7月12日の調査期間の7月は+11になっています。一方、QUICK短観の製造業・業況判断DIは、5月の+14から6月は+21に7ポイント上昇しました。なお、7月1日~7月10日の調査期間の7月は+20に鈍化しています。
 
 このような関連データを、総合的に判断し予測しました。

※2024年6月は筆者予測値


6月商業販売額・小売業の前年同月比は+1.5%程度と5月+2.8%から伸び率が鈍化するものの、28カ月連続増加か。(7月31日発表)

 6月27日に発表された商業販売額・小売業・5月速報値の前年同月比は+3.0%と4月確報値の+2.0%から1.0ポイント増加率が高まりました。7月16日に発表された5月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+2.8%に速報値から0.2ポイント下方修正されました。
 
 7月31日に発表される6月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+1.5%程度と5月確報値の+2.8%から増加率は鈍化するものの、28カ月連続増加になると予測します。
 
 6月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均は+23.2%で5月の+24.3%から1.1ポイント鈍化していることを参考にして、各種商品小売業・6月前年同月比は5月の+5.4%から増加率が低下するとみました。
 
 自動車小売業の6月前年同月比は5月の▲3.8%から減少率が拡大するとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の6月前年同月比は▲7.3%程度で5月の▲3.9%から減少率が拡大しているからです。
 
 また、燃料小売業の6月の前年同月比は5月の+5.1%から伸び率が低下するとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、6月は+2.9%程度と5月の+4.0%程度から上昇率が鈍化しています。
 
 一方、景気ウォッチャー調査で5月から6月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、42.6から45.6へと3.0ポイント上昇しています。これらの関連データの動きを総合的に判断し予測しました。

※2024年6月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。