見出し画像

6月貿易統計・通関収支差は3カ月連続の赤字に。6月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による押し下げ効果半減で5月から上昇率拡大の見込み。―日本の主要経済指標予測(2024年7月8日)―

6月貿易統計・通関収支差は▲3,400億円程度と3カ月連続の赤字。輸出の前年同月比は7カ月連続・前年同月比増加を予測。(7月18日発表)

 6月27日に発表された5月貿易統計確報によると、輸出金額は8兆2,769億円、前年同月比+13.5%で6カ月連続の増加、輸入金額は9兆4,970億円、前年同月比+9.5%で2カ月連続の増加となりました。輸出と輸入の差引額は▲1兆2,201億円と2カ月連続の赤字になりました。前年5月に比べ赤字幅は▲11.7%縮小しました。
 
 前年同月比でみて、輸出では、自動車、半導体等製造装置、半導体等電子部品などが増加しました。大きく減少した品目はありませんでした。一方、輸入では、石油製品、原粗油、電子計算機類(含周辺機器)などが増加し、半導体等電子部品、石炭などが減少しました。
 
 6月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲3,400億円程度と3カ月連続の赤字になると予測します。前年同月の365億円の黒字から赤字に転じると予測しました。なお、6月上中旬の通関収支差は▲3,768億円で、前年同旬の▲1,085億円から赤字幅が+247.2%拡大しています。
 
 6月の輸出額は9兆2,878億円程度、前年同月比は+6.3%程度と7カ月連続の増加になると予測します。6月上中旬で輸出額は前年比+6.4%の増加でした。輸出が大きく増加した品目は半導体製造装置、半導体等電子部品、通信機などでした。大きく減少した品目はありませんでした。
 
 6月の輸入額は9兆6,278億円程度、前年同月比は+10.6%程度と3カ月連続増加になると予測します。6月上中旬で輸入額は前年比+11.0%の増加でした。輸入で大きく増加した品目は電子計算機類(含周辺機器)、原粗油、通信機などでした。大きく減少した品目はありませんでした。
 
 6月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は86,743円/㎘で前年同旬比+19.9%程度の上昇でした。数量は前年同旬比+4.7%程度の増加、金額は前年同旬比+25.6%程度の増加でした。

※2024年6月は筆者予測値


6月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度と、5月の+2.5%から上昇率拡大を予測。(7月19日発表)

 5月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.8%と4月の+2.5%から伸び率を0.3ポイント高め、33か月連続上昇しました。5月から再生可能エネルギー発電促進賦課金単価が1.40円/kWhから3.49円/kWhに引上げられたことを主因に電気代が上昇しました。全国消費者物価指数では電気代は4月前年同月比▲1.1%の下落から5月+14.7%上昇し、0.50%ポイント総合・前年同月比上昇に寄与しました。
 
 生鮮食品の前年同月比5月は+8.8%で4月の+9.1%から上昇率がやや鈍化しましたが、▲0.00ポイントと、総合の前年同月比への寄与は僅かでした。一方、生鮮食品を除く食料の前年同月比5月は+3.2%で4月の+3.5%から上昇率が鈍化し▲0.07ポイント総合・前年同月比の鈍化に寄与しました。
 
 5月の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で+2.5%と4月の+2.2%から0.3ポイント伸び率が高まり、33か月連続での前年同月比上昇でした。
 
 エネルギー価格全体の前年同月比は5月+7.2%で4月の+0.1%が電気代を主因に大幅上昇し+0.53ポイント総合・前年同月比の上昇に寄与しました。
 
 5月の生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は前年同月比+2.1%上昇で、+2.5%だった4月分から0.3ポイント低下しましたが、26カ月連続での前年同月比上昇になりました。
 
 6月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.9%程度と5月の+2.8%から0.1ポイント程度上昇率が高まり、34カ月連続の上昇になると予測しました。前月比は+0.4%程度とみました。5月全国消費者物価指数の公表資料によると、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による押し下げ効果・寄与度は▲0.48[試算値]となっていましたが、一旦7月の終了に向け段階的に6月支払い分で半分押し下げ効果がなくなり、総合の前年同月比を押し上げることになります。
 
 6月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度と5月の+2.5%から0.2ポイント程度上昇率が高まり、34カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.5%程度とみました。6月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+2.2%程度と5月の+2.1%ら0.1ポイント程度上昇率が高まり、27カ月連続の上昇になるとみました。前月比は+0.3%程度と予測しました。
 
 既に発表されている6月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と6月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータなどを参考にして予測しました。
 
 6月の東京都区部消費者物価指数・総合・前年同月比は5月の+2.2%から+2.3%に0.1ポイントと伸び率が高まりました。なお、全国に比べ東京都区部の前年同月比が低いのは、東京都では24年度から高校の授業料助成の所得制限を撤廃し実質無償化した影響があるためです。
 
 6月の生鮮食品は前年同月比+7.3%と5月の+8.7%から上昇率が1.4ポイント鈍化し、前年同月比寄与度差は▲0.07%の低下要因になりました。
 
 6月生鮮食品を除く総合・前年同月比は+2.1%上昇と5月の+1.9%から0.2ポイント伸び率が高まりました。生鮮食品を除く総合の前年同月比は4月+1.6%から2カ月連続で上昇率が高まりました。
 
 6月のエネルギーの前年同月比は+7.5%と5月の+5.9%から上昇率が拡大し、寄与度差は+0.82%の上昇要因になりました。このうち、+0.22ポイント分は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による押し下げ効果縮小の影響です。5月東京都区部消費者物価指数の公表資料によると、「押し下げ効果・寄与度は▲0.45[試算値]となっていましたが、6月分押し下げ効果・寄与度は▲0.23[試算値]と半分になっています。
 
 生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差が▲0.03%の下落要因になりました。宿泊料は総合の前年同月比寄与度差が+0.05ポイントの上昇要因となりました。
 
 6月の東京都区部の生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数・総合・前年同月比は5月の+1.7%から+1.8%に0.1ポイント伸び率が高まりました。
 
 6月の大阪市消費者物価指数をみると、総合は・前年同月比は+2.9%で5月の+2.7%から0.2ポイント伸び率が高まりました。生鮮食品を除く総合・前年同月比は+2.7%で5月の+2.5%から0.2ポイント伸び率が高まりました。生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+1.9%と5月の+2.1%から0.3ポイント上昇率が低下しました。

※全国消費者物価指数24年6月前年同月比は筆者予測


※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。