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9月貿易統計・出超額は3カ月連続の赤字を予測。9月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は13カ月ぶり2%台後半か―日本の主要経済指標予測(2023年10月10日)―

9月貿易統計・通関収支差は▲6,000億円程度の赤字を予測(10月19日発表)

 9月28日に発表された8月分貿易統計確報によると、輸出金額は7兆9,945億円、前年同月比▲0.8%で2カ月連続の減少、輸入金額は8兆9,323億円、▲17.7%で5カ月連続の減少となりました。輸出と輸入の差引額は▲9,378億円と2カ月連続の赤字になりましたた。
 
 輸出では、自動車、半導体等電子部品などが増加し、鉱物性燃料、半導体等製造装置、有機化合物などが減少しました。一方、輸入では、石炭、LNG、原粗油などが減少しました。

 9月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲6,000億円程度と3カ月連続で赤字になると予測します。前年同月の▲2兆992億円の赤字から前年同月比▲71.4%赤字幅が縮小すると予測しました。なお、9月上中旬の通関収支差は▲743億円で、前年同旬比▲92.9%の赤字幅縮小となっています。
 
 9月の輸出額は9兆2,062億円程度、前年同月比は+4.4%程度と3カ月ぶりの増加になると予測します。9月上中旬で輸出額は前年比+4.4%でした。輸出が大きく増加した品目は自動車、医薬品、自動車の部分品で、大きく減少した品目はありませんでした。
 
 9月の輸入額は9兆8,062億円程度、前年同月比は▲10.2%程度と6カ月連続の減少になると予測します。9月上中旬で輸入額は前年比▲10.6%の減少でした。輸入で大きく増加した品目は無く。大きく減少した品目は原粗油、石炭、LNGでした。
 
 9月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は78,634円/㎘で前年同旬比▲24.8%程度の低下でした。数量は前年同旬比▲14.8%程度の減少、金額は前年同旬比▲30.4%程度の減少でした。9月月間の単価(入着原油価格)の前年同月比は、昨年が9万円/㎘台と高かった反動で6カ月連続の下落になると思われます。

※2023年9月は筆者予測値

9月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度と8月から0.4ポイント程度鈍化を予測(10月20日発表)

 8月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.2%と7月の+3.2%からやや鈍化しましたが、24か月連続上昇しました。生鮮食品が8月は前年同月比+5.3%と7月の+6.5%から鈍化しました。8月の生鮮食品を除く総合は前年同月比で+3.1%と7月の+3.1%と同じ伸び率で、24か月連続上昇しました。
 
 原材料価格や輸送費の高騰を背景に食料品で幅広い商品が値上がりし、「生鮮食品を除く食料」は前年同月比+9.2%上昇しました。宿泊料は観光需要の回復に伴って前年同月比+18.1%伸びました。洗濯機や冷蔵庫など家庭用耐久財は前年同月比+3.0%上昇しました。一部の通信事業者が料金プランを改定した影響から、携帯電話が前年同月比+10.2%上昇しました。
 
 一方、エネルギーは前年同月比▲9.8%の下落だった。このうち、ガソリンは+7.5%と高い伸び率になりましたが、政府の価格抑制策などを背景に、電気代が▲20.9%、都市ガス代が▲13.9%と各々低下しました。
 
 8月の生鮮食品とエネルギーを除く総合の前年同月比は7月と同じ+4.3%で、17か月連続で上昇しました。
 
 9月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.0%程度と8月の+3.2%から伸び率が鈍化するものの、25カ月連続の上昇になると予測しました。8月の前月比は+0.2%程度とみました。政府の電気・ガス料金の負担軽減策(最近の寄与度、3月▲1.00%、4月▲1.00%、5月▲1.00%、6月▲1.00%、7月▲0.99%、8月▲0.99%)は引き続き物価安定要因として働くとみます。ガソリン補助金が6月から9月初めまで段階的に縮小された影響が出ると思われます。レギュラーガソリン価格(全国平均)は、23年9月4日に186.5円/㍑と最高値を更新した後、低下に転じ9月25日180.5円/㍑に低下しました。前年比は9月4日では+10.0%でしたが、9月25日には+6.5%になりました。8月の+7.5%に比べると若干高めの伸び率になると思われます。
 
 9月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.7%程度と8月の+3.1%から0.4ポイント程度上昇率が鈍化するものの、25カ月連続の上昇になると予測します。前月比は0.0%程度とみました。なお、前年同月比が2%台になるのは、22年8月の+2.8%以来13カ月ぶりのことになります。9月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.1%程度と8月の+4.3%から0.2ポイント程度上昇率が鈍化するものの、18カ月連続の上昇になるとみました。前月比は+0.1%程度と予測しました。
 
 既に発表されている9月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と9月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータを参考にして予測しました。
 
 関連データである9月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+2.8%と8月の+2.9%から1ポイント上昇率が鈍化しました。9月の電気代は前年同月比▲25.7%と8月の▲22.3%から下落率が拡大し、前年同月比寄与度差は▲0.12%と低下要因になりました。9月の都市ガス代は前年同月比▲17.1%と8月の▲14.0%から下落率が拡大し、前年同月比寄与度差は▲0.05%と低下要因になりました。一方、9月のガソリンの前年同月比は+10.0%と8月の+9.1%から上昇し、寄与度差は+0.01%と若干の上昇要因になりました。
 
 生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差が▲0.07%の下落要因に、宿泊料の前年同月比寄与度差が▲0.02%の下落要因になりました。また、大阪市消費者物価指数・総合・9月(中旬速報値)前年同月比は+3.2%で8月の+3.6%から伸び率が鈍化しました。
 
 9月の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+2.5%で8月の+2.8%から0.3ポイント上昇率が鈍化しました。一方、大阪市の9月は前年同月比+3.1%で8月の+3.5%から0.4ポイント上昇率が鈍化しました。
 
 9月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+3.8%と8月の+4.0%から0.2ポイント上昇率が鈍化しました。また、大阪市の9月前年同月比は+5.2%で8月の+5.4%から0.2ポイント上昇率が鈍化しました。

※全国消費者物価指数9月前年同月比は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。