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9月国内企業物価指数・前年同月比は+2.5%程度と8月の+3.2%から鈍化か。8月機械受注・前月比は2カ月ぶりの増加を予測―日本の主要経済指標予測(2023年10月2日)―

9月国内企業物価指数・前年同月比は前年9月が前月比+0.7%と高かった反動もあり8月から鈍化を予測(10月12日発表)

 8月の国内企業物価指数・前年同月比は+3.2%の上昇でした。7月の+3.4%から0.2ポイント低下し、前年同月比は22年12月の+10.6%をピークに8カ月連続で鈍化しました。輸入物価指数(円ベース)の前年同月比は4月にマイナスに転じ8月まで5か月連続下落となっており、価格転嫁の進展や円安などの影響はあるものの、輸入物価の上昇を起点とする物価上昇の動きの弱まりが、国内企業物価指数・前年同月比の鈍化に結びついてきたように思われます。但し、8月の輸入物価指数(円ベース)の8月の前年同月比は▲11.8%で原油価格が上昇と円安進展で、7月の▲14.4%より下落幅は縮まりました。 

 国内企業物価指数では、石油・石炭製品が前年同月比+7.5%と、原油価格の上昇や政府のガソリン補助金の縮小を受けて7月の+1.8%から大きく伸び率を高めました。一方、電力・都市ガス・水道は前年同月比▲10.9%と、燃料費調整単価の低下を反映して7月の▲3.6%から下落率を拡大しました。なお、8月国内企業物価指数の前月比は+0.3%で2カ月連続の上昇でした。

 9月の国内企業物価指数の前年同月比は+2.5%程度と、8月の+3.2%から鈍化するものの、31カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.3%程度と3カ月連続の上昇になるとみました。 

 国内企業物価指数に対し先行性がある関連指標の日経商品指数42種は、9月は前月比▲0.3%と4カ月ぶりの低下となりました。前月比▲9.5%だった石油の下落が目立ちました。原油高の影響を緩和するため政府が石油元売りなどへの補助金を9月上旬から拡充したことが影響しました。鋼材も前月比▲0.2%低下しました。人手不足や資材価格の高騰で着工の遅れや工事の見直しが多く需要が低迷しているようだ。9月の日経商品指数42種の前年同月比は+4.1%で、8月の+3.6%から0.5ポイント上昇率が高まっています。昨年9月の前月比が▲0.7%下落の反動が出たためです。

※国内企業物価指数9月前年同月比は筆者予測値

8月の機械受注(除船電民需)・前月比は、9月短観の堅調さを加味し2カ月ぶりの増加を予測(10月12日発表)

 設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力除く民需、以下、除船電民需)の7月前月比は▲1.1%と2カ月ぶりの減少になりました。製造業は前月比▲5.3%3カ月ぶり減少で全体を押し下げました。非製造業(除く船舶・電力)は前月比+1.3%増と2カ月連続の増加でした。機械受注(除船電民需)の大型案件は0件でした。内閣府は全体の基調判断を9カ月連続で「足踏みがみられる」に据え置きました。

 7~9月期は▲2.6%の減少見通しですが、各月▲0.6%ずつで、達成となります。7~9月期の前期比実績は見通しと比べ、09年から22年までの14年間でみると、上振れ11回、下振れ3回で上振れる確率が高い四半期です。
 
 8月機械受注(除船電民需)の前月比は+0.6%程度と2カ月ぶりの増加を予測します。前年同月比は▲6.1%程度と6カ月連続の減少を予測します。
 
 関連データである、日本工作機械工業会の工作機械の国内向け受注額をみると、23年8月速報値の前年同月比は▲31.1%です。21年3月から22年8月まで18カ月連続増加となった後、19カ月ぶりの減少になった22年9月は▲8.9%でした。以降、10月▲11.4%、11月▲8.7%、12月▲17.4%、23年1月▲1.7%、2月▲20.2%、3月▲18.0%、4月▲21.5%、5月▲23.6%、6月▲30.4%、7月▲24.2%に続き、8月は12カ月連続の減少になりました。
 
 10月2日に発表された9月の日銀短観の2023年度設備投資計画調査(設備投資額、含む土地投資額)は、大企業・全産業の設備投資計画額・前年度比が6月から0.2ポイント上昇した+13.6%、中小企業・全産業が6月から5.5ポイント上昇した+8.0%と、どちらもしっかりした数字になりました。背景として、9月の日銀短観は大企業・製造業・業況判断DIが+9と22年6月以来の水準に戻り、大企業・非製造業・業況判断DIが+27と91年11月の+33以来31年10カ月ぶりの水準になるなど予想外に堅調だったことが挙げられます。日銀短観との整合性を考えると、最近弱含みだった機械受注にも底打ち感が出てくるものと考えました。

※23年8月は筆者予測値

景気ウォッチャー調査の8月設備投資関連・現状判断DIは判断分岐点の50.0だが

 景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、23年1月42.9(回答したウォッチャー7人)、2月41.7(同3人)、3月64.3(同7人)、4月54.2(同6人)、5月50.0(同6人)、6月52.1(同12人)、7月53.6(同7人)、8月50.0(同4人)と推移しています。8月では、「客の設備投資意欲に変化はみられない。(東北:通信会社(営業担当)」というコメントがありました。

 また、設備投資関連・先行き判断DIは23年1月50.0(回答したウォッチャー7人)、2月57.1(同7人)、3月62.5(同4人)、4月75.0(同2人)、5月71.4(同7人)、6月52.8(同9人)、7月60.7(同7人)、8月54.2(同6人)と推移しています。8月では、「企業における設備投資の伸びが生産性向上をもたらすのであれば、低い失業率、上がる給料、そして企業の成長の3拍子が出そろい、景気の好循環がもたらされる。その結果、金利上昇、インフレ、増税による消費後退が払拭できればと、今後に期待している。(甲信越:ゴルフ場(経営者))」というコメントがありました。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。