秋芳洞の未公開洞を旅する
秋芳洞は全長11kmのうち1kmほどが観光コースとして整備されています。
ご存じの方は300円追加して冒険コースで天井近くまで登るかもしれません。
ところが秋芳洞内の川を地底湖までたどる未公開部ケイビングツアーはジオフェスなどの不定期開催なので行った人はほとんどいません。
本格的な未公開鍾乳洞ケイビングツアーを取り扱う秋吉台アドベンチャーツアーズがプラニングをするこのツアーは秋芳洞の延長なのでそれほどハードではなく、鍾乳洞探検を満喫できます。
以下は2023年のジオフェスに参加したレポートで、2024年には予約制でツアーの受注が予定されています。
秋芳洞エレベーター口からスタートしますがケイビングなのでそれなりの装備が必要です。
トレッキング用の装備を自分で準備してもよいですが、秋吉台アドベンチャーツアーズでも必要な装備は準備してもらえます。(長靴、つなぎ、ヘルメット、ヘッドライト)
他の未公開鍾乳洞で行う本格的な鍾乳洞ツアーほどではないですが川をじゃぶじゃぶ渡り、泥汚れの岩に取り付くので着替えは下着まで用意します。
ツアーは500メートルとはいえ3時間ほどのトレッキングになるので飲料は持参した方が良いです。
自己責任ですがカメラ・スマホも持ち込み可能です。
ちなみに未公開エリアではスマホの電波やGPSは通りません。
当然、トイレもないのでエレベーターの手洗いで整えてからスタートします。
参加章のテープを手首に巻いて9時にエレベーターで洞内に入ると、千畳敷の大空間に転がる巨石の下方から水音がします。
ヘッドランプを点灯しフェンスを乗り越えると鎖とアメニティステップ(足掛金物)が整備された調査路を使って地下河川まで降ります。
上流に進むと観光コースのような歩道や照明はありませんからヘッドランプとガイドの巨大な防水ランプが頼りです。
マーキングを道しるべに高湿度で常に濡れて滑りやすい岩場を進みます。
湿度で濡れるだけでなく、地下水が滴り落ちるところは今も二次生成物が生まれています。
観光コースからの直線延長部が終わる場所には鍾乳石と石筍の見本のような一対があり、ここから地下河川の向きが大きく左に曲がり、ドコモの電波も入らなくなります。
対岸に渡ると滲出した水が緩やかに流れ出しており、このツアーの参加者しか見ることができない景色が広がります。
二次生成物の表面はミクロな結晶が林立しているので岩と違って滑りにくいです。
洞窟の中なのに途中で登山が始まるのが須弥山です。
須弥山は標高差50mほどのガレ山で落石に注意しながら登ります。
秋芳洞最大の空間は観光コースの長瀞ですがにここの空間も須弥山を包含する巨大空間です。
残念なことにヘッドライトの視野では全容は見えませんが頂に立つと天井はさらに20メートルも上方にあるのがわかります。
見上げると穴が二つ見えており、右はエレベーター奥の林にある風穴に吹き上がっています。
左側の穴は新洞で、開口から1時間登った場所に高さ15メートル、長さ80メートルの空間を持つ回廊につながってます。
須弥山から先も比較的大きなホールが現れます。
地下河川の上流は長登にまで続いているので酸化銅の変色域も見られます。
最終的には地底湖の水面で終わりになります。
ここが琴ヶ淵で100年前は秋芳洞観光の終点であり、未公開部ケイビングツアーもここがゴールです。
専門家のダイビング調査の結果、この水流は直線で2.5km先の葛ヶ穴という巨大シャフトにつながり、水系としては直線でさらに2.5km先の白魚洞に至ります。
当時の落書きが残っており大正13年のものも読めます。
新たな落書きは当然禁止です。
帰路は映えスポットで写真を撮りながら千畳敷の橋にまで戻ります。
今回は時間があったので鍾乳洞特有なヨコエビを観察し、百枚皿の水源池を見ています。
観光コースでは考えられない真の闇を楽しむツアーで、水があるので景清洞の探検コースより格段にレベルが高く秘境感が強くなります。
車で行けるにある石灰台地下に広がる秘境をガイドしてもらえる機会も稀だと思いますのでいかがでしょうか。
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