第六意識の能変性(唯識に学ぶ009)
目に映る空は、地球の反対側の空に繋がっている。一滴の水の中にも宇宙のすべてが内包されている。目に映るのは、ただの空、一滴の水だけど、その奥行きを観るのが第六意識の働きなのですね。
ピンチに直面した時にピンチから逃げるのか、それとも、腹を据えて取り組み起死回生のチャンスとするか。それを判断するのも第六意識の働き。
「苦しい時は苦しみ抜け」という良寛和尚の言葉の通り、主体的に飛び込んでいくという姿勢を問われている様に思いました。
また、本の中には、小林秀雄 小品「モーツァルト」一節を取り上げてこのように書かれています。
このように六識には、前五識(感覚領域)と関わりを持ちながら、それを変えていくという働きとともに、感覚とは別に独自に働くという一面もあります。
たとえ、幻聴や空耳であろうと小林秀雄にとっては事実として「音楽」が聞こえました。周りの環境の音よりも、第六意識の働きによる「音楽」の方がより実在性があったといえます。
第六意識の働きは、思った以上にわたしたちの生き方に影響を及ぼしているのかもしれません。
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