受験数学に必要な能力(総論)
数学ができるようになるためには・・・
入試問題を解けるようになるためには・・・
一体どんな能力が必要なのだろうか?どのような能力を身に着ける必要があるのだろうか?
それに関して、3つの力が必要だと僕は考えている。
① 定型解法の定着
② 数学的思考力の養成
③ 計算力
の3つだ。
① 定型解法の定着
単語を覚えずに英文を読めるはずがない。これと同じように数学においても覚えなくてはいけないことがある。
まず公式や定理を覚えなくてはならないというのは共通の認識だろう。
では、公式や定理を覚えていたから入試問題が解けるかというとそうではない。それより上の概念として知らなくてはならない解法がある。定石や典型解法と良く呼ばれるものだが、僕はこれを定型解法と呼ぶ。
この定型解法を定着させることが必要だ。
ここで「解法暗記」という言葉が浮かぶかもしれない。暗記というとどうしても負のイメージが伴う。それゆえこれに否定的な人も多い。
これに関して僕は定着という言葉を用いるのだが、理解して覚えるというイメージを持ってもらうのが良い。
例えば、囲碁や将棋で上を目指そうとするなら定石(定跡)を知るのは当然のことだ。これは仕事においてもそうだし、何にでもあてはまることである。
数学の勉強の初期段階においては定型解法の定着が最優先である。
これについて、網羅系をまわすというのがよくある方法だが、網羅系は量が多くほとんどの受験生には不向きである。傍用問題集も良くない。
市販のものを使うとすれば薄くて解説の詳しいものを周回するのが良い。
薄いものだと網羅度が劣るのではないかと気にする生徒が多い。だが、それはとりあえずは気にしなくて良い。
各分野の重要な定型解法を自分のものにし、骨格を形成することを意識しよう。
また、ここで重要なことはどこまでが定型解法でどこからが応用なのかをしっかりと線引きすることである。
どこまでは知識として知っておく解法でどこからが自分で考えなくてはいけない解法かを線引きするかということだ。
傍用問題集などは定型問題と応用問題が混在しており、どこまでが定型解法なのかがわからず、数学に苦手意識を感じる生徒も多い。
定型解法というのは初見で解ける必要はない解法で二度目から知っている前提で解ければ良いのだ。それなのに、そこについても「こんなの思いつかない」となってしまう。
数学が得意な生徒の多くは、自分のなかで無意識に線引きできており、この解法は覚えようと割り切って接することができているように思う。
僕は授業で教えるときにはここまでは定型解法でここからは考えるところとその線引きをしっかりとする。
1つの大まかな基準として河合塾の模試偏差値で高1高2で65を切る、高3で60を切る生徒は基本的に定型解法が定着していないと思って良い。
定型解法の定着としては僕が薦めているいくつかの参考書を利用するのが良いが中級から上級レベルの定型解法を得るにあたって絶対的に薦められるものが無い。
これについてはいずれ全てをyoutubeで無償提供出来たら・・・と思っているが、まだ1つの動画も挙げられていないのでいつになることやら・・・。(ここに書くことで少し強制力になるはず。。)
② 数学的思考力の養成
定型解法が定着したところで入試問題が解けるようになるかというとそうではない。特に難関校は難しい。よく〇〇だけで合格できるという話を聞くが半信半疑だ。実際それだけで合格できる生徒もいるのかもしれないが、頭の良し悪しも影響するだろう。
たとえば、東大の入試問題を解くとして、参考書をとりあえず理解した生徒が好きなだけ参考書を見ながらやっていいと言われても解けない問題が多いのではないか。
入試問題には未知のものや、一見未知に見えるものも多い。そういったものへの取り組みかたとして「普遍性」と「必然性」のある思考が出来るようになる必要がある。
解答を見れば理解できるものが多いと思うが、ある分野の問題を考えるにあたって普遍的にいくつかの解法を思い浮かべ、そこから必然的にある定型解法に行きつくというイメージだ。
高いレベルで数学が出来る生徒は意識的だとしても無意識だとしてもこれが出来るように思う。
また、この②は①と切り離して行うのではなく、①と同時に出来ることが理想だ。
実際に参考書で独学する生徒は①が終わって良問のそろった難しすぎない問題集でアウトプットしながら身に着けることになるのではないか。
もちろん僕は意識的に②が身につくような授業を心がけて行っている。
③ 計算力
そして、最後に重要なのが計算力だ。解法は合っていたのに計算ミスで不合格だったという生徒は多い。
計算力は2つに分けられる。
Ⅰ 上手な計算をする能力
Ⅱ その計算を遂行する能力
の2つだ。
Ⅰについては追及するとキリがないのだが、個人的にはそこまで必要だとは思わない。よく特別な暗算法や計算法を売りにする動画や参考書があるが、そのほとんどは出来なくてもなんら問題のないものばかりだし、むしろ計算ミスが誘発されるのなら堅実に計算したほうが良い。
ただ、一定のレベルでは必要である。
Ⅱについては一朝一夕に身につくものではなく、ある程度の量をこなすことが必要になる。そのうえでミスをミスで片付けず、自分はどういうところでミスをしやすいか、なぜそのミスをしたかを自己分析すると良い。
よくあるものとしては
途中式を省略しているがゆえに起こるミス→途中式を省略しない。
など対策していくと良い。
受験数学に必要な能力について大まかなことを述べた。
①~③についてまた別の記事で掘り下げて書こうと思っている。
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