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建築家の子育て記 010「わたし、パパになる」

 長女がよく変顔をする。

 変顔だけではなく、妙なポーズもとる。

 ひょうきん、というかなんというか。これが4歳児の性なのだろうか。

 そして、最近のお気に入りは、変顔をしながらクネクネとダンスを踊り出し「いぇーい! さとーしっ!!」という掛け声のもと、妙なポーズをとることである。

 ちなみに、さとしは私の名前。

 父親の名前を連呼しながら奇妙な踊りを披露する姿は、嬉しいのだけれど、そもそもなぜそんなことを?という疑問ばかりが頭のなかでぐるぐると渦巻き、苦笑いを浮かべるしか術がない。

 なんでパパの名前を叫んでいるの?

 と聞くと「だって、パパのことが好きすぎるんだもん」という答えだった。


 良いね。

 うん、なんだか、その踊り、すごく良いよ。

 すごい斬新で素敵に見えてきた。


 事あるごとに、パパのことが大好きと言ってくれる娘。願わくはこの先もずっと、パパのことを大好きでいて欲しい。

 パパ臭い。とか、パパきもい。とか、パパ嫌い。とかはできるだけ避けて欲しい。


 ちなみに、いまのところ、娘の将来の夢は「パパになること」です。

 パパみたいになる。とかパパと同じ建築家になる。とかではなく『パパそのものに、なる』という。

 理由は「パパがかっこいいから」だそうです。

 世の中に娘から「パパと結婚したい」と言われる父親は数多いようとも、「パパになりたい」と言われる父親はそんなに多くないのではないだろうか。

 自慢とともに、将来、娘がパパ臭いとか言い出した時に、昔はこんなこと言ってたんだよという証拠を残すために、ここに記します。

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