ボールペンのはなし
アルゼンチンではボールペンをほかのスペイン語の国でいう「Boligrafo」じゃなくて「Birome」と呼びます。
文房具屋さんで「Birome」はメーカー名だと聞いたけど「Birome」というメーカーは見かけない。てっきりラップをサランラップと呼んじゃう的なことかと思ったのに。
それで、なんでボールペンを存在しないビロメと呼ぶのか調べてみました。
世界最初のボールペンは、第一次世界大戦でナチスの迫害から逃れるためにハンガリーからアルゼンチンに移住したBiroさんと、移住を手助けした共同経営者のMeineさんの名前をとって「BIROME」というブランドで1938年にアルゼンチンで発売されたんだそうです。しかもなんと、子どものおもちゃとして売ってたらしい。
その後特許を売って、フランスのBicが低価格のボールペンを出して世界中に普及したけど、アルゼンチンのBIROMEは会社経営がうまくいかずに破綻。その後Biroさんは、同じ原理のロールオンの香水瓶やデオドラントも発明したらしい。確かに同じ原理。
彼がアルゼンチンに移住する前に偶然ユーゴスラビアで出会ったのが、アルゼンチン大統領を辞任したばかりのフストで、彼は忌まわしき10年間と呼ばれる期間に不正選挙で大統領になったと言われているけれど、彼がビロさんに「アルゼンチンに来ちゃいなよ」って言ってなかったら、ボールペンは誕生していなかったかもしれないと考えるとフストの隠れた功績かな。
そんなわけで、アルゼンチンではいまだにボールペンのことをBIROMEと呼んでいるんだとわかりました。
それからビロさんファミリーが住んでいたコレヒアレス地区の家は今は発明家の施設になっていて、彼の誕生日9月29日は、アルゼンチンでは発明家の日になっています。
おわり。
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