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パンプシェード類似品騒動について、デザイナーが思ったこと

写真はhttps://reblogfire.com/post-965/りめぶろ様より引用しております
左側:パンプシェード作品 右側:宝島社の「ヴィドフランス」ムック本付録

自分は有名クリエイターでもなんでもなく、都内の1企業(某電気メーカーデザイン部)に勤めるCGデザイナーである。
今回の件で「パンのランプ」というものがあることを初めて知った。
今回の騒動について、1企業に勤める1クリエイターとしての「私見」を述べてみたいと思う。


1.パンプシェード類似品騒動 とは

経緯についはこちら↓
【酷すぎ】宝島社の「ヴィドフランス」ムック本付録がパンプシェードの模倣品疑惑浮上!
https://reblogfire.com/post-965/

宝島社ムック本 VIE DE FRANCE クロワッサンライトBOOK の付録でクロワッサン型ライトをついたものを販売発表

Twitterにて、元々本物のパンを使用してランプを制作していたパンプシェードの作者がVIE DE FRANCE社にクロワッサンの形を含めたランプのサンプルを送付していた経緯を発表
サンプル送付は、2021年10月 宝島社ムック本販売は2022年7月の下旬
一時炎上のような事態に。

パンプシェードの作者が感情が先行した、と謝罪 一連のツイート削除、
その後、類似品についての思いの文章を発表
https://yukikomorita.com/project/archives/140

その後、宝島社がTwitterにて
パンプシェードの盗用流用でないこと、知的財産権の侵害がないこと、等の文章発表
https://twitter.com/brandmook/status/1557263735999561728

2.1企業のデザイン部に勤めるデザイナーとしての私見

疑問1・宝島社は類似品に対し事前調査をしていないのか?

まず、自分の勤務先では、今回の宝島社のものと似たようなものは絶対に作らないと思う。
うちでは、何か企画があった場合、まず同業他社、過去の似たような作品を徹底的にリサーチする。
無論、参考にすることはあっても、似ないように絶対の注意を払っているし、上司からもうざいくらいチェックが入る。
このようなリサーチや情報共有、既存作品に似ないようにする配慮は、どこの企業も当たり前にしているものと勝手に思っていた。
もし、法律的にはOK、ということだったとしても、うちの企業では絶対に、宝島社のパンランプのようなものを作らないだろう。
企業のブランドイメージを傷つけるし、モノづくり企業としてのプライドがあるからだ。

事前に同じクロワッサン型のライトのサンプルをVIE DE FRANCE社に持ち込みしていた。

この経緯があったことで、パンプシェード作者が驚いたのも無理はないと思う。
無論、宝島社、VIE DE FRANCE社側が、「真似た」証拠はない。だけど「真似しなかった」証拠もない。

自分自身が「真似たのでは?」と疑いをかけられる側になることも十分あり得る。
形やアイデアが似たのが偶然だったら、パンプシェード側は無論、宝島社とVIE DE FRANCE社にとっても災難だ。

だからこそ、事前調査は、必ずめちゃくちゃするわけなンだわ。

勿論パンのランプすべてがダメなんてことはないし、パンプシェード側もそういうことを言っていない。
もし同じパンのランプでも、同じクロワッサン型を避けたり、形状をデザインぽくしたり、企業ロゴを入れてリアルさを避けたりして、既存のものと差異をつける工夫はいくらでもできると思う。
そういう工夫もいくらでもできたと思うんだけど。

もし事前調査めちゃくちゃしていて、でも相手がかなりマイナー作品でどうしても知らなかった
てことはさすがに気の毒だけど、「パン ランプ」で検索したら一番上にパンプシェードは出てくる。

疑問2・VIE DE FRANCEは同じ部署内で情報共有をしていないのか?

・同じ企画部内で、たまたま、サンプルを見ていない人間だけが宝島社の商品開発にかかわったのだろうか?
・企画部内で、情報共有はしていないのだろうか。
・それともサンプルを知っていたけど、そっくりな商品をプラで量産することには抵抗はなかったのだろうか?

自分の私見としては、企業としての体制に疑問を感じざるを得ない。

3.自分がパンプシェード側の立場だったらどうしたらよいか考えてみた

・SNSでの共有は慎重に慎重を重ねたほうがいい
ただ、沈黙や、泣き寝入りはよくない 経緯説明や、自分の意思表示は大切である。

と感じた。

Twitter上で、パンプシェード側が経緯を発表後、なんだか、勝手な憶測で論ずるアンチも同時に湧き出ている。
SNSでの共有は、慎重にしないと諸刃の剣であると思った。
焚きつけることや拡散させるような行動はマズイ。
ただ、沈黙し続けることは黙認と取られたり、泣き寝入りになってしまう。
非常に難しい感情の中、冷静に経緯を検討後、自身の意見表示や経緯説明は必要なことだと思った。
今回、実際に模倣があったかなかったかは別にして、事前に同じようなサンプルを持ち込んだ、という事実は共有されるべきだと思う。
これは、絶対に沈黙してはいけない。

無論、誹謗中傷でなく、クリエイターであってもそうでなくても
小さな違和感や感じたことを言語化していくことは、小さな声であっても大切なことだと考えている。
そういうこともあって自分もこの記事を書いてみた次第である。

4.結論として思ったこと

法律的にはOKなそうなので、販売は差し止められないし、プラ製を買いたい人もいると思うので、他人事ながらまあモヤモヤするもののいいんでないかい?と思う次第。

ただ、こういう事件は、物を作る側の人間にとっては、企業の性質や品格が透けて見える良い機会だと思っている。
これに対しては私見であるが、そのまま消費者に対する態度に直結するものだと考えているので、(模倣であったにしろそうでないにしろ、)自分はこのような製品にお金を出さない。
あとそういうこと色々別にしても、商品として安っぽいので単純に欲しくないだけなのもあるが。

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