夏に書いた詩

あなたの世界

分かんないな
分かんないままがいい

あなたを失くした意味も
答えも

あなたが生きた意味も
結んだ先も

ずっとずっと
これかも知れない
いや、あれかも知れない
そうやって

ああきっと
これだったんだ
これもひとつの答えだ
そんなふうに失われたい

いつまでも そうやって

夏の声

夏の声がした
ぼくの汗で濡れた畳
足爪でかいた
滑ってひっかけた
青い
青い、いつかの夏が立ちのぼる

ああ
彼の声こそが
どこかで夏と思ってきたのに
ここまで
歩いてきたのに

もう、
ここで私はたしかに
夏の声を
きいていた

ことば

言葉が無力だとは思わないが
それでもあなたの頬に触るくらい
力のあることではないかもしれない
言葉一つでは、
編み上がり
物語を彩った糸の一本として
はじめて強度を得るのなら
あなたの呼ぶ名前ほど
力はありはしないかもしれない

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