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「痛いときにはどうしていたの」(詩)

私は三十年近く 
口内炎を知らなかった
歯医者さんに
「こんなに尖った親知らずがあったら、さぞよく出来て痛かったでしょう」
なんて言われて
「ああ、あれが」
と名を知った

あついものを食べて口の中が火傷をするとか
肩こりを放っておくとリンパ腺まで腫れるとか
ストレスを溜めすぎると顔面が痛みだすとか

痛いものは痛いもの
去っていくときには去っていくだろうと
信じていた
昔話ののんびりさで

だから体中が悲鳴をあげて
マグマの中を細胞が混乱するのも
まあ そのうちにと放っておいてしまった

今の私はそうして傷んでいる
愚かにも痛みを考えなかった私に
根はかろうじて腐らなかったために
傷んで重くて不自由な体は
私は残されている
純粋な痛みの中心に

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