見出し画像

「底を浸す」(詩)

私の底を舐めたことがある

光は遠慮気味に落ちてきて
それを辿って
悲しみは広がる

この底は
たぶん愛で出来ていて
どれだけの広さを悲しみが浸しても
私の舌に委ねる

何度 掬い
何度 飲み下しても
永遠はやさしく膝をつく

時々 私は 鳥になったように
光にむかって口を開く
喉が欲しているのは それでも光ではないのに

私は底を舐めたことがある

来る日も 来る日も
明日も 今日も 
同じ日を溜めていくような日々

それはあまりに閉じた行為だった
そしてそれなのにたしかに
それはある種の愛の正体だった

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?