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憂鬱を期待して_『向日葵の咲かない夏』を読んで

8月31日に読み終える予定でしたが、
ちょっと間に合いませんでした。

今朝、
病院に行く前に読み終えたのですが、
読後最初に思ったことが、

「え?どんでん返しは?」

でした。

あと、これはそんなにバッドエンドなのかな、、、
でした。


(ネタバレします!)



最初に、
主人公のミチオ君が妹と話をする場面で、
ああ、これは妹さんは人間じゃなくて、
ミチオ君の頭の中でしゃべっているやつなんだろうな、
と気付きます。

妹の話し方が、三才とは思えない、
ということよりも、
あまりにミチオ君の話し方に近かったからです。

ああ、これはミチオ君の中で、いてほしいと願っている妹なんだな、と。

そうしたらお母さんがミチオ君に冷たい理由も
妹が亡くなる理由を作ったのが彼だからなんだろう、とつながり、
お母さんは人形でも可愛がっているんだろう(化粧してるとこで)というところも芋蔓式に納得しました。

トコお婆さんも怪しいな、、、と思ったのは商店街で尾行しているときに声をかけてきたときで、
担任の先生が犯人ではないだろう、と思ったのは、
そもS君の言うことが全て物事が起こってから、
何かを示唆できるものが出て来てから転がっていくのを見ていて
「ああ、S君も彼の内側が話させているんだな」
と感じ、
それじゃあ、彼の言う「殺された」も「先生が犯人」というのも疑わしいなと。

そしてラストの、
火事の場面は、
終わろうとしているミチオ君を、
ほとんど壊れてしまっているお母さんも、諦めていたお父さんも、
結局力を尽くして助けてしまっているのを読んで、
「きちんと基本には愛があるのをこんなに決定的に書くんだな」
とちょっと感動しました。
ミチオ君が生きていることが、全ての証明になるくらい、
決定的な愛の証明だなと。

たとえミチオ君が再び“よみがえり”の物語をすてられなくても、
仕方ないことだとも。
そして冒頭に語られた絶望色濃い彼の独白を読んでも、
命を懸けて伸ばされた自身の命を思えば、
完全に絶望できない。
それはよっぽど絶望なのかもしれないけれど、
たしかに愛の物語でもあるよなと思いました。


あまりどんでん返し感は薄く、
ただただ面白く読み終えた一冊でした。

そんな私は、
読み終えてまず、
ちょっと焦りました。
こんな爽やかな気持ちで(ダンサーインザダークを見た後に似てる)
読み終わるなんて!
とか
どこがどんでん返しだったんだろう??
とか
思わず読み返すっていうのは??
とかを考えてしまいました。

私の読み方あってる??
とネットで調べまわってしまいました笑
ある意味、合い過ぎていた小説なのかもしれません。

ついに、夏になると読まなきゃと思う一冊を読了出来て、
心から大変満足でした。

もう夏も終わる、
ここで読み終えられてよかったのかもしれません。


さて、
読んだことがある方。
このお話は憂鬱な物語だったのでしょうか?

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