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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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#詩を書く人と繋がりたい

「ちいさな爪」(詩)

可愛い子供の爪をひろう 細い細い月の形 白はくもってやわらかい 降ってくる満足の月光りを う…

とし総子
1年前
10

「あばれ馬」(詩)

あばれ馬だね さようなら 根こそぎ 刻んで そろえたの この口紅は もう傷んでいて 私の唇…

とし総子
1年前
6

「鍵と情」(詩)

さがすほどのものではなかった ひとつずつ 顔をたしかめて その頬を 撫でたり ひっかいてい…

とし総子
1年前
8

いちのこえ(詩)

いのりには色が とびこんでくる すべが 白によせられ そして 黒のうちがわで身を結び どこま…

とし総子
2年前
5

あなたの森 (詩)

あなたの瞳の奥には 森がある その森は あなたの真珠の声に守られて おだやかな小川や うつく…

とし総子
2年前
8

ここを みて (詩)

足りないものは何なのか 眉にできたふきでもの かわいた喉 走ることもないまま 終わる今日 考…

とし総子
2年前
3

はつげん (詩)

形を開いて 辺を数えて 理解したつもり 中身を測って 成分を分割して 気取ってみせる そんなことで 与え合えるものは少ない 耕すべきは この両手 一番ひろい 平野より はじめに触れる 真ん中の指の 地平と重なる曲線の面 それが互いの果てとなるため

心音 (詩)

いろいろな口が いろいろな頭で わざわざ色付けをして べらべら喋る 私の耳は一方通行 この心…

とし総子
2年前
5

そうだね (詩)

そうだね 首がのびて ぺこりと こわいから 折れて そうだよ 耳を髪が隠し 別れをさいごに通る…

とし総子
2年前
2

した (詩)

たじろいだ君 可愛いな どんな今も さしだして もう一回 舌を突き出して ほしい

とし総子
2年前
4

指先 (詩)

ありがとうも おかえりも さよならも 意味までは流れつかないところに 立っている わたしがこ…

とし総子
2年前
2

このむ (詩)

好きを 投げ込んでも 私は起きなかった どんどんと 色んな好きを 軽いものも 少し黒いもの…

とし総子
2年前
4

手 (詩)

私には 動き回る手が二つ すでに 完璧に 有るのに それでも私は まだ欲しいのだ

とし総子
2年前
4

水鳥 (詩)

試したい 確かめたい 誰のことだったのか あいしたい こわれたい もう向き合えなくなるなら 私が愚かだったこと 知っていて 尚 止めなかった その指先は黒く 笑う角を引き連れて あまりに優美に 失礼するから あなた まるで 形だけの鳥に 変われたみたいよ