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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2023年9月の記事一覧

「瞠目」(詩)

全ては影響のもとでのこと 私の体が動くのも 明るくある夜 求めたものが 明日にあるとは 限ら…

とし総子
8か月前
9

「また 穴が空く」(詩)

大穴が空いた 名前をなんとしてあげよう 私に空いた穴 いつも名前をつけている ふさがらない…

とし総子
9か月前
10

「一粒だったもの」(詩)

水がこぼれる 一粒 淵をこえれば あとは いっそ 惰性がつらなる くもった空 落ちるには ち…

とし総子
9か月前
9

「明日は鋭く貫く」(詩)

私は涙に塞がれる 思い出は被さって 涙をつよくする 明日は鋭さを最大にして 肉を貫く角度を…

とし総子
9か月前
7

「地平」(詩)

あなたがいるかもしれない まだ見ぬ地平を 私は 見に行かなくてはいけない

とし総子
9か月前
11

「噛み痕」(詩)

噛みついた手に 汚い歯型がうかぶ 染みのような痛さ ぼんやりとしているから 振り払えないま…

とし総子
9か月前
6

「耳を信じる」(詩)

わたしはわたしが猥雑なものであることを 識っている わたしはわたしが悪事を平気な様子で 眺めているのを観た わたしはわたしが言い様の無い不安を 食べ続けているのを見上げる わたしはわたしに裂かれる尊いものたちに 泣くべきではない 思いを運んではならない 外にはつよい風が吹く それでも あなたはわたしに立つと言う わたしの耳を信じ 言葉と成って

「つむる」(詩)

ゆれることばが あなたをゆらすなら わたしは ずっとこのまま 目をつむっている

とし総子
9か月前
9

「ほんとうのこと」(ちょっと付け足した詩)

君が好きで 本当によかった あなたがいない明日は 影もないほど明るく澄んで 私の心は それを…

とし総子
9か月前
11

「ほんとうのこと」(詩)

君が好きで 本当によかった あしたの色は明るく澄んで 心はそれを透かして光る 涙の音も 閉…

とし総子
9か月前
9

「言えない」(詩)

どうしようもない気持ちが しずかに 沈んでいくのを 両の手で両の目をふさいで 息を殺して 見…

とし総子
9か月前
10

「あげたくて」(詩)

あなたに あげましょう 本棚いっぱいの本たちも 集めた すてきな歌たちも すずしい家も 持…

とし総子
9か月前
6

「静日」(詩)

正しい日 正しい目に 成りにいく 粛清の日 静養の目 藪の中の世界ね、と 手を引いて 盲いたひ…

とし総子
9か月前
9

「たかく、たかく」(詩)

ちがう 違うんだ 泣くまでこらえたんじゃない 泣いて流してもらえと 勢いを期待して ぼうぼうと涙を暴風にのせた あなたが舞い上がる どこらへんがいいあたり まっすぐな頭が どうかそのまま進みますように どこも凹まず どこまで までも 小さな香りを飲み込んだ 思い出をしゃぶりだすと 喉がふるえだすんだ あの日 あの日、とうたうみたいに ちがっていてもいい あなたがどこまでも 静かさの中に 埋もれていきますように